【理解が進まないトヨタ生産方式(4)】newspicksのコメントを取り上げてみよう(3)
2018年2月5日 11:24
Newspicksに転載されている財経新聞の上記記事に対するコメントからの引用:newspicks 【豊田章男の戦い】製造が分らないメディア達(中) IoTの機能の使い方で勝負は決まる
前回は:【理解が進まないトヨタ生産方式(3)】newspicksのコメントを取り上げてみよう(2)
“トヨタ生産方式で重要なのは、製品、半製品、部品を、どこで、どれだけ在庫するかがポイントだと思う。
完成車の在庫は少なくしたい、半製品の在庫も少なくしたい、部品の在庫も少なくしたい、だからサプライヤーで部品在庫を持ってもらい、必要なときに納品して欲しい。
それが最もキャッシュフローが良くなるので。
これを実現するための仕組みがトヨタ生産方式であり、それを支える生産技術やITを保有しているのだと思っている。
つまり、生産戦略、モジュラーデザイン、SCM、生産の仕組み(トヨタ生産方式)、ハードウェア技術、ソフトウェア技術(ここではIoT)、はセットで考えなくては機能しないと考えている。
故に、トヨタ生産方式を導入したが失敗した、という企業がたくさんあるのだ。”
※アドバイス):このコメントは基本的な理解の間違いといってよいであろう。「どこで在庫する」などは関係なく、現状、トヨタ生産方式では「ロット生産から完全に抜け出ていない」ために起きる在庫だ。在庫はどこにできても在庫でムダだ。部品メーカーの在庫もトヨタはムダととらえており、連結決算対象の系列企業はもちろん、サプライヤーチェーン全ての在庫をムダと見ている。
最大の在庫は製鉄メーカーの溶鉱炉だ。6カ月前から溶鉱炉の予約をすることから生産計画は始まるが、実際は、その前MRの段階から生産計画は始まっており、これで売上予想が必要となってしまうのだ。完全な「受注生産」が資金効率としては良いのだが、溶鉱炉は車1台ごとの生産とはできないのだ。しかし、エンジンヘッドカバーなど、ごく限られた部品では試みられている。
この「工程結合」の試みは60年ほど前から製造業では行われてきており、現在も改革が進んでいる。そのため「最新技術」が必要との見識は誤っている。「行程結合」の概念が理解できれば、「総資金量削減」は進んでいく。最新技術を使うことで前進はするが、必ずしも必要とはしない。考え方が大事だ。
私が45年ほど前から始めたとき、現在IoTを取り入れた最先端のトヨタ生産方式を進めている小松製作所の生産技術課長と交流があったが、「概念」では私が当時先行していた。どこまで続くのかとどまることはできない。「トヨタ生産方式を導入したが失敗した」とするのは、「理解不足」であり、「途中で投げ出した」としか言いようのない状況が大多数だ。
それは、「トヨタ生産方式」はトヨタしか採用していないのではなく、全世界の自動車メーカーはもとより、多種多様な製品の量産工場で採用しなくては成り立たないのが現実だ。テスラの工場でも当然にトヨタ生産方式を基礎としているはずで、現在「レベル3」生産工程を造るために格闘中のようだ。
さらには、「コンビニはトヨタ生産方式の応用」と言えるのだ。物流でもトヨタ生産方式を意識できなければ成り立たないだろう。私が提案した「提案型販売」は、物流向けに「トヨタ方式」を一歩進めて、「ジャスト・イン・タイム」ではなく「売りたいときに、売りたい商品を、売りたいだけ仕入れる」との概念で組み立てている。「まさか!」と言われるのだが、採用できると数倍から数十倍の資金効率が得られる。ポイントは「広告技術とセットでとらえること」だ。これはいずれまた。(記事:kenzoogata・記事一覧を見る)