スポーツの世界にもVR登壇 NTTデータの打撃練習装置が大リーグにも
2018年2月1日 05:41
NTTデータがVR(仮想体験)技術を活用した、打撃練習装置を開発した。大リーグの1チームが来季からの導入を決めたという。一口で言えば「打者が投手の投げる球を仮想体験することで、試合でのパフォーマンスの向上を目指す装置」。NTTデータでは今後、様々なスポーツを対象に装置の開発を検討していくという。
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件の打撃練習装置はバッターがVR端末を装着すると眼前に360度の球場映像が出現。足元にはバッターボックスも見え、そこに立つと正面に立つ投手が投げる。球種は現実に投げ込まれている文字通り、多種多様。かつ実在している投手の動きや球筋を忠実に再現している。
実証実験は2016年に、同社と楽天と共同で行われた。そして翌年から本格運用が始まっている。本格運用に乗り出し野球界に大きな衝撃を与えたのは、昨年12月に米フロリダ州で開かれた大リーガーのウインターミーティングでのこと。注目を集めた。そして間もなく1チームが導入を決めたからである。
装置のカギは、一つは「スポーツ一人称視点合成技術」。NTTデータ系研究所が開発。ポイントは「球場の360度カメラ映像」「投手の投球時の映像」を再現し、かつ「投球データ」の蓄積が可能という優れもの。 そしていま一つは、楽天が導入している「トラックマン」というレーダー・システム。球が投手の手を離れてからキャッチャーのミットに収まるまでの軌道を、3D座標や速度・回転などをデータ化できるシステム。「球筋が予測できる」「変化球がイメージしやすい」という好評な代物。
この二つのシステムを合わせ活かし投手の投球映像を合成し、あたかも目の前で投球されたかのごとき再現映像の作成に成功した。
極論すると投手が球をリリースするまでの動作から、どんな球が投げられるのか予想が可能。日頃、苦手球種克服の練習を積むことができる。VRという科学の進歩のすさまじさを改めて痛感させられる。
だが頭のどこかに、「スポーツの魅力である臨場感が薄れてしまう」という思いが強いことも事実である。(記事:千葉明・記事一覧を見る)