メルセデスAクラス、当然のPHEV 次期型で開発進む 日産の経営戦略も見え隠れ
2018年1月11日 11:40
メルセデスベンツはAクラスでPHEV(プラグインハイブリッド)モデルをシリーズに加える決断をしたようだ。ご存知の通りヨーロッパでは排気ガス不正のため「クリーンディーゼル」の信頼が揺らぎ、ドイツ・フランスなどトヨタに対抗するため、HVを飛び越してEVへ移行する国家レベルの方針を打ち出している。その中でメルセデスベンツがAクラスにPHEVを加えてくるのは、生き残りのため必須要件でもある。
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さすがにテスラのように一足飛びにEV専用車とするには、バッテリーの性能が不足している。当分は1車種のバリエーションとしてEVを加えてくるかもしれない。日産リーフの存在は、もしかするとHV先駆者トヨタ・プリウスのように、EV先駆者となるのかもしれない。
メルセデスベンツ・AクラスPHEVのパワーユニットは、直列4気筒1.6Lにモータを組み合わせているようだ。EV走行で50km以上の走行を可能にしているのは当然であろう。EUの排ガス規制のPHEVに対する「不自然な優遇処置」を活用するつもりだ。その他1.6L直4・NAエンジン、2L直4ターボ・ディーゼル、2L直4直噴ターボ・ガソリンエンジン、日産ルノーの開発による1.3Lターボ・ガソリンエンジンなど、このところのEUの混乱ぶりを見せるように、多彩なパワーユニットが計画されている。
■日産ルノーとの共同開発 カルロス・ゴーンの戦略は?
さらに注目すべきは、日産ルノーとの共同開発の成果になる、「MFA2」と呼ばれるプラットフォームに現れており、コストダウンの試みがなされている。そのことは発表はされていないが、当然に運転支援システム・EVユニット・IoTユニットなど、多岐にわたって共同開発が進んでいるものと思われる。もちろんEUのことだから、メガサプライヤー・ボッシュなどとの連携も含まれているだろう。
このあたりに日産カルロス・ゴーン会長のEV開発戦略が見えてくる。おそらくはバッテリーの開発はサプライヤーに任せて、出来るだけ多くの自動車メーカーと共同採用し、コストを下げる作戦だ。開発のサイクルが目まぐるしくなってきている自動車において、開発費の回収を速め次の開発に備えるのであろう。バッテリーの自社開発は、最先端のバッテリーを常に採用することを狙って、諦めた。これが特徴をなくすことにつながるのか?最先端のバッテリーを積んで商品価値を高めることが出来るのか?経営戦力の見どころだ。
■小型車開発のノウハウ
メルセデスベンツAクラスは、開発された当初、スラロームで転倒するという欠陥を出してしまった。高い走行性能を謳うメルセデスベンツとしては大きな痛手となったことがある。今回、日産ルノーと共同開発をしていることは、やはり「小型車開発」では苦手な部分があるのであろう。
日本車やEUでも小型車に慣れたメーカーでは自然に低重心に出来るパッケージングが、なぜか高重心で登場した。アメリカの石油ショック後、日本車の追い上げを受けて初めて作った小型車の姿を思い浮かべる。コストダウンのノウハウがあっても大型車を造り続けるアメリカメーカーでは、採算を取るのが苦手のようだ。民族性も絡んで、不思議な現象である。
この様子ではバッテリーの開発が進めば、世界中から最先端なものを採用するのであろう。カルロス・ゴーンの基本的スタンスだ。トヨタが進める共同開発の姿勢とは、どこが違うのか?今後、各社の経営戦力にも注視していこう。(記事:kenzoogata・記事一覧を見る)