【全固体電池のもたらす革命】すべては温暖化対策のために
2017年12月26日 23:47
EVは、実用レベルにもう少しのところまで来ている。技術的にはバッテリーの性能向上とコストの引き下げ、モーターのコスト引き下げで世界は変わる。この2つの問題が解決すれば、EVは一気に普及するところまで来ている。現在もっとも注目されるのは、リチウムイオン電池の欠点を補い、性能をアップできる全固体電池の開発動向だ。
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■全固体電池の特徴
(1)安全性が高い
電解質が固体であるために、安全性が高い。電解質の揮発性が低いので発火しにくい。電解質が固体のため、電極のショートが防げる。形の自由度が高いのも長所だ。
(2)熱変化に対応できる能力が高い
リチウムイオン電池ではマイナス30度~70度ぐらいまでが限界だが、全固体電池では性能を保持できる。
(3)充電時間は3分程度
密度は2倍で、充電は3分程度と見られており、軽量化と何より充電時間が実用域に入ってきた。
■EVは過疎地で普及
全固体電池の性能は、現在のガソリンエンジンの使い方に近くなり、充電で心配することがなくなる。そして充電スタンドは、ガソリンスタンドよりも設置が易しく安価である。さらには自宅で充電することが基本なので、過疎化に悩む地方でも自動車を使い続けることが出来る。これはガソリン車に対して大きなアドバンテージとなるだろう。
現在EVの欠点としては、普及に最も壁となっているのが価格だ。全固体電池が普及し始めれば、大量の電池を積む必要性がなくなり、小型車でも十分な航続距離を確保できるようになり、価格も安くなる可能性が高い。
さらに、現在のEVやHVのデメリットと考えられるのは、中古車値段の暴落である。電池の寿命が5年ほどであることから交換が必要なのだが、電池の価格が高く、中古車価格が成り立たない。しかも、寿命が5年と言っても、急速充電を繰り返すと、航続距離がだんだんと短くなっていく。新車で実質280kmと言われるリーフだが、みるみる200kmを切ってしまうだろう。それではタウンカーとしてしか利用できず、実用にはならない。
これらの問題を解決する「全個体電池」の商品化は2~3年程度とみられ、その頃にはトヨタも大量のEV車を発売し、もし、自然エネルギー発電が行き詰まっても、熱効率を60%以上に上げたガソリンエンジンが登場出来れば、対応幅は格段に広がるだろう。
■投資家目線は「石油・石炭発電削減」でなく、「自然エネルギーによる石油・石炭発電廃止」
「投資家目線」の問題は注視していかねばならないが、「短絡的」で移ろいやすいものだ。現在、世界の投資家は、EV化に消極的な自動車メーカなどから資金を引き揚げる情勢だ。太陽光・風力発電など「自然エネルギー」利用に集中していこうとしている。たしかに投資家目線は、資金を動かす張本人であることから「絶対」と思えてしまうのだが、実際の技術的考察と違いが出やすい。仕事をもらうために、専門家もなびいてしまう。しかし、技術的現実路線では、熱効率60%を超える発電方式であるのなら、エンジンの利用もまたあり得るのだ。
「大規模集中発電と配電」よりも、「個別発電」のほうが配電線、変電所などの維持管理よりも「Co2削減」の可能性が高いのと、大震災・台風などの災害に強いことが考えられる。バッテリー・太陽光・風力・地熱・波力などは、どれも完全に火力発電・原子力発電などに、技術的、実用上とって替われない実情がある。もう一段の技術開発を見る必要がある。
EVブームに終わらせずに、全てを地球温暖化対策に結び付けてほしいものだ。(記事:kenzoogata・記事一覧を見る)