苦しむ小僧寿しに僅かな光明
2017年12月26日 22:35
小僧寿しが介護関連事業に足を踏みいれたのは、2016年6月の「けあらぶ」の子会社化が契機。第三者割当増資に応じ50%の株式を取得。「持ち帰り寿司」を展開する小僧寿しには「デリバリーを軸にした新たなビジネス展開のプラットホームを構築したい」「高齢者向け商品開拓・サービスに進出したい」という事業の多様化で底を脱する契機が欲しいという狙いがあった。
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「けあらぶ/子会社化」を、日経デジタルヘルス16年7月号はこう伝えている。『けあらぶは、全国通所介護事業者連絡会代表理事の藤田英明氏が社長を務め、高齢者向け婚活サイトや介護職者の逆求人サイト、「お泊りデイ」(2カ所)の運営などを手がけている。けあらぶは今後、小僧寿しと共同で「小僧の助(たすけ)」(仮称、通所介護事業所を想定)を開発する予定。利用者にすしなどの普通食や、独自開発の介護食を提供する方針だ。また、藤田氏のネットワークを利用して、他法人の介護事業所への商品宅配などの新事業も検討する』(原文まま)。
以来、1年半。意図は進んでいるのか。小僧寿しの管理本部では「新規の事業は今年9月で単年度黒字になりました」とした。
けあらぶの「子会社化」で、千葉県船橋市と八千代市に「サ高住2棟」「高齢者用住宅1棟」が「パイロット店」の役割を果たしている。介護施設の定食に生ものは厳禁。だが高齢者は寿司好き。小僧寿しは注文に応じデリバリーする。出向いてその場で調理する。営業部隊は「ドミナント効果」を求め近隣エリアの施設でイベントなどを催し「いかがですか」と売り込む。と同時に「介護食(トロミ食・キザミ食)」の営業も展開している。「徐々にだが着実に進んできている」いま「高齢者向け弁当の宅配も視野に入れている」という。
ちなみに傘下の施設は今年度内にも「満室」状態が見込まれている。介護施設の運営自体は同社の意図するところではないが、結果として「黒字化」が見えてきた。
だが株価(2桁の推移)が示すとおり、記した展開が減少傾向入りの赤字、そして「継続前提の疑義注記」の消滅には余程のサプライズが求められよう。(記事:千葉明・記事一覧を見る)