【スバル・XV-S vs インプレッサ-L】サスペンションセッティングはどっちがいい?
2017年12月16日 21:14
■S&Lサスペンション・セッティングはどちらが良いのか?
XV-Sとインプレッサ-Lは、SUVとワゴンで性格が違うのだが、同じプラットフォーム、エンジン、ミッションを積んでいる。SとLでサスペンションセッティングの違いを見極めようと試乗してみた。
<スペック>
スバル・XV-S タイヤ225/55R18 車両重量1440kg エンジン2.0L 154ps/6000 20.0kgf/4000
インプレッサ-L タイヤ205/50R17 車両重量1370kg エンジン2.0L 154ps/6000 20.0kgf/4000
外観からはSUVとワゴンで明白に区別がつくが、仕様でSとLのセッティングの違いはタイヤの違いだけだ。しかし、乗ってみれば全くはっきりと違いが見える。
タイヤを含めたサスペンション・セッティングは、実用上での大きな違いを感じさせるのだが、一般的には意外に注意が向かない仕様だろう。またS仕様については、日本国内では明らかな思い込みとも言える期待値があるようだ。どちらが実用的であるのかを検証してみる。
エンジンは同じもので、ミッションも同じだ。若干(70kg)車両重量がXVが重いようだが、これはSUVなので仕方があるまい。最低地上高はXVは20cmほどあり、インプレッサと同じプラットフォームであることが信じがたい。よくサスペンション・ストロークを調整したものだ。
■走ってみれば違いは歴然
走り始めて気が付くのが、XVの静粛性だ。インプレッサはエンジン音、車外の音が若干うるさく感じる。エンジンは同じなのだが、音の印象ではXVがはるかに静かに感じる。これは、インプレッサが価格が安いためで、エンジン取り付け部のブッシュの材質が落ちるのか、防音材が省かれているのだろう。しかし、どちらも直線加速はスムーズで歯切れが良い。SとLの違いは感じない。
日常使用の道路では、XV-Sは明らかに硬い。「ゴトゴト」と音がするように路面のデコボコを拾う。実際に音は出ていないのだが、乗り味が悪く感じる。XVは車高が高いこともあり、上下の振動は仕方ないとしても、路面と共に左右に揺れるのが不快だ。S仕様のサスペンションを好むのは走り屋のはずだが、意外に日常は買い物などに使う人もいるようだ。これは不思議だ。
一方、インプレッサ・スポーツのL仕様では、これは乗り心地が良い。明らかにサスペンションが軟らかい。これで速度を上げると、足回りに不安を覚えるのだろうか?通常は、曲がり角でアクセルを踏むと、FFでは外に膨らむアンダーステアの癖が出る。FRではリアが流れオーバーステアとなる。しかし、XVもインプレッサも見事にハンドルの操作に従う。スバルAWDの成果だ。明らかにライントレース能力は高い。
XV-Sではサスペンションが硬いせいか、立ち上がり左右に揺れる中で、若干トレースが乱れるようなところを感じる。これは路面に左右されるからであろう。一方、インプレッサスポーツ-Lでは何の不安も感じない。極めて正確にハンドル操作に従ってトレースするようだ。サスペンションが柔らかく感じるのと、路面の凸凹にも左右に揺さぶられる感覚がないので、安心できる。もっとスピードを上げて滑り出すギリギリのスピードになると、S仕様は落ち着くのかもしれない。
■見事なバランスを見せるL仕様
しかし、一般道で限界を試す勇気はないので、下り坂でのコーナリングを試してみる。コーナー手前でブレーキングを試みたがダイブが明らかに少ない。不安を持たずにハンドルを切ることが出来る。軟らかい割にはロールも少なく、かなりのスピードを出せるだろうと感じる。XV-Sよりもインプレッサスポーツ-Lのほうが切れ味があると感じられるぐらいだ。XVの225/55R18のタイヤはセッティングに合っていると感じるが、車高が高いのをうまく補っているようだ。
しかし、XV-Sは車高が高く、固いセッティングなのが、一般道路では不利に感じる。インプレッサ-L仕様のほうが、ラフロードにも強いと感じる。バランスはLが取れていると感じた。
■なぜS仕様はそれほど固めるのか?
試乗してみてわかったのだが、L仕様が日常の使い方では明らかにバランスが良く、スポーツ走行にもかなり対応できると思う。なぜS仕様は乗り心地をかなり犠牲にしながら、これほどサスペンションを固めなければならないのであろうか。(記事:kenzoogata・記事一覧を見る)