ローソンが目指す次世代型コンビニ
2017年11月21日 17:52
ローソンは昨年12月に、介護業界の老舗格で介護事業を手掛けるツクイとの提携を発表した。その目的を「ケア(介護)拠点併設型店舗:ケアローソンの拡充のため。2017年末までに30店舗体制を目指す」と説明した。
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ローソンは15年から既に「次世代コンビニ」の在り様の一つとして、「ケアローソン」の原形を展開してきた。介護の在り方を検討するケアマネージャーなどを配した「介護相談窓口」を備える一方で、レトルトの介護食品や介護用品を扱う店舗の形態だった。ツクイとの提携発表時には、8店舗を開設していた。
例えばその中には「ローソン芦屋新浜町店」(兵庫県芦屋市)があった。芦屋市に拠点を置き各種の介護事業を展開する社会福祉法人きらくえんが「介護相談窓口」に専門職を配置し介護に関する各種の相談にのる一方で、こと老後や介護に関する自治体や地域の情報を提供する交流の場を設けた。
だが「介護付き有料老人ホーム」「サ高住」「訪問介護」「デイサービス」などを幅広く展開するツクイとの提携を機に、ローソンの介護に対する見方が日増しに変わってきた。まさにSOMPOホールディングスに象徴される、他業態大手資本が「統合・再編」を鎧の下に隠し介護業界に進出してきたタイミングであることも加わりこんな見方も浮上した。「筆頭大株主の三菱商事が介護業界に歩を踏み出す可能性がある。ローソンはその先兵役となる」。
しかし同社の広報室では「我が社が求めているのは、高齢化社会における新たなコンビニの在り様です。確かに“訪問介護事業所の併設などは構想の中にないのか”といった問い合わせを頂くようなことはあります。しかしそうした方向は全く視野に入れていません。現在進めていくケアローソンについて気軽に介護や健康の相談ができ、かつ地域交流の場としてコンビニがより身近になったと評価を頂いております。当方が求める次世代のコンビニの在り様へ着実に近づいています」と繰り返すばかりだ。
だがコンビニ業界のアナリストは「歯医者とコンビニは約同数。歯医者の統廃合は進んでいる。コンビニも既に統廃合の動きが出てきている。介護相談窓口付きコンビニが次世代型なら、訪問介護所付きコンビニも次世代型。と大株主の間から漏れてきている」としたものである。(記事:千葉明・記事一覧を見る)