量販店のショッピングカートの滑車が買物時間、買物金額を左右する
2017年10月24日 19:15
量販店でショッピングカートをよく使うと思います。時々、カートの滑車の具合が悪く、押し辛い経験したことありませんか?この現象は結構深刻な影響を量販店に与えます。
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●カートの滑車の具合が悪いとカートを押す人の機嫌を害する?
量販店の入口付近で、50代夫婦の2人連れのお客さまがカートを使ってお買物中です。
奥様が前を歩き、その後ご主人がカートを押して歩いています。しかし、ちょっと変です。押しているカートがフラフラしています。カートの滑車の具合が悪く、押し辛いのです。そのご主人の顔はイライラして苦虫を噛み潰したような表情になってしまいました。
先を歩いていた奥様が振り返るとイライラした表情のご主人の顔が飛び込んできました。『あら嫌だわ。急に機嫌が悪くなったみたい。早々に買物を済ませなくては!』と奥様は思いました。
この奥様はご主人のイライラ顔を見て、買物同伴を嫌々していると勘違いしてしまったのでした。
量販店ではお客さまに依頼して、このような買物行動情報を定期的に収集しています。
●カートの滑車の具合がお客さまの買物金額を左右する
スムーズに動いて当たり前のカートが動き辛いと、イライラして買物に集中できず、買物時間が短くなってしまうのです。本来、買物を支援するはずのカートが買物を邪魔しているのです。この買物行動情報はこの事を教えてくれました。
落語の『風が吹けば桶屋が儲かる』のような、全く関係なさそう要素が実は関係していることが店舗では起きるのです。この例ではカートの滑車と買物金額の関係です。この関係は店舗で働いて人間にとっては実感し辛く、お客さまの買物行動情報は量販店にヒントを与えてくれたのです。
量販店にとって買物時間は大変重要な要素です。お客さまの買物時間が短いと買物金額が小さく、買物時間が長いと買物金額が大きくなるからです。ここで、カートの滑車と買物金額が繋がりました。
この買物行動情報からこの量販店は、買物金額を上げるためにカートの滑車の点検、不具合なものは修理、また新店には丈夫で長持ちする滑車付きカートの導入等、カートの改善を徹底的に行ないました。
今まではカートと言えば資産管理の対象で、あまり重要視されていなかったのですが、売上高に影響する重要な要素の一つをなったそうです。皆さんの近くの量販店のカートの滑車は不具合なく、動いていますか?(記事:KMAきむらマーケティング&マネジメント研究所 木村博・記事一覧を見る)