オイシックスドット大地が広げた風呂敷の背景
2017年10月23日 19:53
オイシックスドット大地の設立は2000年(今年3月、大地を守る会を子会社化しオイシックスから現社名に変更)。そう「ネットバブル期」の真っただ中である。食の安全(具体的には、農薬や添加物の使用に配慮)を経営の基軸に、加工食品のネット販売を展開している。
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主力業務である「宅配サービス」会員(キットオイシックス会員)は上場直後の2013年9月時点で、既に約7万5,000人に達していた。
その後、着々と手を打ってきた。例えば「商圏拡大」ではブランド商品の取扱を開始。PB野菜飲料の投入。産地直送の新鮮花束ギフトの通販で知られる、ウェルネスの買収。そして「産直商品など魅力は分かるが、多少割高」という評価の解消策に臨んだ。食材の宅配を手掛けるリクルートHDとの合弁会社設立に代表される。合弁サイト「ごちまる」では、最初のお試し(割安)セットの購入時だけでなく、定期購入に関しても「お試しセット」並み価格で販売を開始したのである。
そんな同社が「2022年度の売上高1,000億円(16年度比2・6倍)。年次成長率22%」「キットオイシックス会員、16年度比2.5倍の50万人」とする目標を公にしたのは、10月12日。高島宏平社長は会見でこう語った。「共働き世代が増加し、忙しい女性が増え続けている。と同時に食の健康・安全志向が高まっている。(大地を守る会との)経営統合により業界ナンバー1の企業となり、売上高1,000億円を目指すスタートが切れた」。
確かに統合により農業生産者を増やし、調達力が強化された。そして生命線である「キットオイシックス」会員の増加に関して同社は、SNSなどの活用に注力している。
同時に興味深いのは、中国・上海に9月「上海愛宜食食品貿易」を設立した点だ。まずは上海現地の日本人向けにサービスを開始するが、来年には中国人向けも視野に入れており「22年度、100億円目標」の海外事業計画を明らかにしている。
EC時代を象徴する事例といえよう。(記事:千葉明・記事一覧を見る)