仕事に役立つマネジメント技法のすすめ2 〜これから起きる問題に対処する先行管理〜
2017年10月2日 16:37
通常のマネジメントは起きた問題を対象にしますが、先行管理ではこれから起きる問題を予測し、先手を打ちます。
【前回は】仕事に役立つマネジメント技法のすすめ1 〜重点管理で有効かつ効率的な仕事をする〜
●既に起きた問題対処の弱点
マネジメントは『問題を考える』ことですが、その弱点は対象となっている問題は既に起きており、その時起きた損失、例えば売上げ不調、コスト増は挽回することは出来ません。
起きた問題への対処は再発防止策とはなりますが、起きた損失は残るのです。それが通常マネジメントの弱点です。
勿論、マネジメントはこの弱点を超えるメリットは数多くあり、この弱点を補完する先行管理は通常のマネジメントを経験した人のみが挑戦出来るのです。
●他責の問題と自責の問題
問題を考えていると、自責の問題と他責の問題とあることに気付きます。自責の問題とは自分に責任がある問題、他責の問題とは他人に責任のある問題です。自責の問題は原因追求して解決策を見いだすことが出来ますが、他責の問題は自分では解決策を見いだすことが出来ません。
そこで、通常のマネジメントで他責の問題に遭遇すると『しょうがいないね』と諦めます。自分で解決出来ないのですから。
●先行管理のすすめ
しかし、通常のマネジメントで問題を見付ける活動をしていると『しょうがないねと諦めていた問題』が多いことに気が付きます。そして、この種の問題が業績に大きい影響を与えていることにも気が付くのです。
この他責の問題を調べると大きく三つに分かれます。台風の影響や気温の影響等の気候の問題と仕入れ先の工場の問題や売り先企業の動向等取引先の問題、そして、税金や世相等の社会問題です。
これら、気候の問題や取引先の問題、社会問題は過去にも同種類の問題が起き、悪い影響を与え続けているのです。しかも、その情報はほとんどの場合、事前に入手しています。例えば、『台風が上陸して生産地が出荷出来ません』、『工場の不具合で欠品になります』、『在庫過多で買い付けを一次延期します』等の情報です。
このようなことから、他責の問題情報が入手できた段階で、その影響を予測し、その問題が起きる前に計画を修正、代替の先手を打っていくことが可能になるはずです。これを先行管理と言います。
マネジメントの始祖P.F.ドラッガーはこれを『既に起きた未来』と呼んでマネジメントレベルを上げることを提唱しています。(記事:KMAきむらマーケティング&マネジメント研究所 木村博・記事一覧を見る)