【スーパーカーの行方】ランボルギーニ・ウルス12/4発表 ターボと4WDの必然
2017年9月14日 06:50
PHEV(プラグインハイブリッド)のスーパーカーがデビューする。ランボルギーニのSUVであり、初のPHEVであることは、時代の流れを感じさせる。ランボルギーニは12日、新型SUV「ウルス」を、12月4日に正式発表することを明らかにした。「スーパースポーツメーカーにSUVが必要なのか?」「ターボチャージにして良いのか?」「4WDは必要なのか?」など疑問は湧く。
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「SUVには強力な低速トルクが必要」とのことだが、スーパースポーツカーの高回転型エンジンは、もう必要ないのだろうか? フェラーリはターボチャージを取り込み、SUVは必要ないとしている。
高回転型エンジンとクロスレシオのミッションを組み合わせ、FRドライブの癖を利用した運転テクニックが、あまりにも普及している。4WDはスポーツカーには邪道とされてきた。RRのポルシェ・オーナーは「ポルシェ使い」と呼ばれて、尻を振り出すRR車を無理やり抑え込んで、コーナリングと立ち上がりの加速を速くするのが、テクニックであった。しかし、ニッサンGT-Rの4WDはFRの欠点を補い、コーナリングスピードと立ち上がりの加速を速くすることに成功している。現代4WDスポーツカーのスタンダードを作った立役者だ。ランボルギーニもこの道を進むようだ。
ターボチャージャーにすると、低回転トルクが太くなり、エンジンを高回転に保つ必要さえなくなった。HV、PHEVでは、モーターのアシストを受けるため、低速からの立ち上がりは、かなり向上した。HVとエンジン車の混合レースでは、立ち上がりはHVが圧倒的に有利なことを教えてくれる。
4WDを採用すればFRのように立ち上がりで駆動を掛けたとき、リアが流れることなく、やはり立ち上がりが速くなるし、コントロールも特別なテクニックを必要としなくなる。ターボチャージャーと4WD、PHEVの組み合わせであれば、だれでも、かなりの立ち上がり加速を得ることが可能だ。スーパーカーの運転も乗用車並みになってくる。
アウディと共通のPHEVユニットであるのだろうか?
高回転型エンジンはボアが広く、ストロークが短い。現代のHV・発電エンジンはアトキンソンサイクルをミラーサイクルで実現しているのであり、ストロークを出来るだけ長く取ろうとしている。高回転には不向きだ。モーター駆動に発電エンジンの組み合わせだと、モーターの高回転領域が苦しくなる。リダクションギアは必須であるし、多段となろう。
操縦の難しさがスーパーカーの特別感を演出していたが、これからは誰でも乗れるのだから、その中で「特別感」を演出しなければならない。ランボルギーニ・ウルスは、まぎれもなくランボルギーニのデザインだが、特別な腕前を必要とはしない。スーパーカーの特別感は、高価であること、希少価値、などで得られるものであろうか?
かつてマクラーレンF1を一般道で試乗しないかとディーラーの営業マンに誘われた。ちょうど舗装のやり直し中で、路面は凸凹。「これじゃー床をこするよ」と遠慮した。本当のところは、ぶつけないで運転する自信がなかったのだ。こすれば買わなければならない。1億円の資金を趣味の車に投入する実力もなかった。
現代では、気軽に試乗できる車にスーパーカーもなってくるのであろうか? 少なくともランボルギーニ・ウルスはそんな、誰にでも運転できる車のようだ。(記事:kenzoogata・記事一覧を見る)