トヨタ・新型カムリ試乗記(上)オジサン車と言わせない レザーパッケージの不思議

2017年9月6日 19:11

 「無難な車」と北米で言われ続けたトヨタ・カムリ。SUV全盛の時代になり、セダンが売れない中で一人、気を吐いてきた。しかし、本家、日本で発売してみると、ユーザーは60歳以上が半分以上であった。これには少々驚いた。「スポーツセダン」を前面に出し、TNGA適合でプラットホームの剛性を上げて重心を下げ、「ワイドロー」のシルエットを得たその姿は、「オジサン」とは無縁に見えた。

【こちらも】【トヨタ・新型カムリはおじさん車?】目標の5倍受注も大半が40代以上

 それでは、試乗して確かめてみるのが一番だ。

参考: 「これはオジサン車じゃない!」カムリHV試乗記(1)トヨタらしからぬ走り(筆者関連サイト:知恵の輪サイト) 

 ディーラーで若い営業マンが迎えてくれた。元気よく「トヨタの車とは思えない操縦性と言われています」「ワイドローなので操縦性が良いのです」と説明してくれた。これはエンジン出力に対して、負けることのないサスペンションセッティングである状態だ。この状態を「足がエンジンより早い」と言うが、これは若者には通じまい。オジサンには分る。やはり「オジサン車」なのか?

■グレード装備品、パッケージングの不思議

 そこにあったのはGタイプ、レザーパッケージ、235/45R/18のタイヤがついた最上級グレードだった。このパッケージングを外すことは出来なかった。革仕様で豪華さを演出しているのだが、オーバースペックとも考えられる18インチタイヤは、別々に選べる設定にすべきではないのか?トヨタ生産方式で対応すべき内容であると思うのだ。しかし、営業マンは理由を知らないようであった。

 現在、「順序生産(受注順に生産して、お客様を待たせず中間在庫を最小にする)」を目指して、注文順に多彩な仕様をこなせる生産体制を築いているものと考えていた。しかし、このように固定したパッケージオプションをセットしたことは、個別にする必要性をディーラーが感じていないのであろう。それだけ、タイヤの仕様についてユーザーが関心がなくなっていると感じる。必要なタイヤサイズを選ぶ知識がないのであろう。新型カムリで日常使用に対しては、235/45R/18はオーバースペックと感じた。生活道路のコンディションでは乗り心地が悪く、むしろ雨などの場合路面が滑りやすくなっているときには、ブレーキング距離も伸びてしまうだろう。この辺は注意して選ぶべき状態だ。

 バネ下重量(サスペンションで、つっている部品の総重量)が軽いことはセッティングの自由度を広げ、接地性の良いサスペンションセッティングが出来たり、燃費にも良い。やたらに太いタイヤが良い訳ではなく、雪や雨のように滑りやすい路面では、細いタイヤのほうが滑らない場合も多いのだ。自分の車の使用環境を考えて、適切なサイズを選ぶことも大切なのだ。BMW-i3ではバイク並みの細タイヤで燃費性能を上げている。

 レザーシートは少々大きめだったが、座り心地は十分によく、肌触りも良かった。ジャガーなどの革仕様に対しては生地が薄い感じもするが、それが技術のようだ。革仕様でも滑らないのが良かった。

 スタイリングは個人の好みだが、バランスの良さや新鮮味、実用性に関与するデザインなど専門的には、色々評価基準があるようだ。新型カムリに関しては「ワイドロー」のプロポーションを得ているのは、プラットフォームの優秀さを現している。動く車にとって「重心の低さと軽量」は基本的機能である。TNGAで採用されているプラットフォームは、重心を低くできる構造をしている。前面投影面積(前から見て断面積)が小さいと90km/h以上での燃費に大きく影響してくる。常用スピードの高いEU、北米では重要な性能と言える。軽量化は材質を変えることで、さらに追及できるだろう。

 下に続く(記事:kenzoogata・記事一覧を見る

関連記事

最新記事