顧客満足経営のツボ8 〜顧客からの満足を獲得するためには小さな積み重ねが大事〜
2017年9月3日 10:37
お客さまは満足したこと、好印象を持ったことへの理由は言えないが、不満/悪印象の理由は明快に言えるのです。
【前回は】顧客満足経営のツボ7 〜お客さまの言葉を鵜呑みにしない〜
●お客さまは不満の理由は言えるが満足した理由は中々言えない
通常の顧客調査をする場合、アンケート方式で顧客満足度調査を行ない、グループインタビュー方式で個人別の意見収集を行ないます。
このインタビューで面白いことが分かります。インタビューでは満足、不満の評価を先ず聞き、その具体的理由を伺います。
お客さまは満足、不満の評価は必ず言ってくれます。その不満の理由も具体的に言います。例えば、「今年の冬、苺を買ったが、パックの下の方にカビているものがあった。それ以来、その店は嫌いになった。」という具合です。
一方、満足の理由を聞くとその答えは抽象的で、「品揃えがいい、新しいものがある。」等の答えとなるのです。
このことから、お客さまは不満の評価を持つ場合ははっきりとした根拠を持って嫌い、不満になりますが、満足評価になる場合はなんとなく好き、なんとなく満足となることが分かることが分かります。お客さまは色々なことの積み重ねで、その店舗、商品のファンになるようです。
この現象は価値理論という概念で説明出来ます。良い要素と悪い要素があった場合、良い要素は実質的価値とその認識出来る印象は比例するが、悪い要素は実質的価値に比べ、その印象の大きさは3倍になるというものです。
言い換えると悪い要素(不満)の方が良い要素(満足)に比べ、3倍強く印象を与えるのです。
●好きになってもらうためには小さな積み重ねが大事
従って、お客さまから好き、満足の評価を頂くためには、強いインパクトのある施策を時々打つことより、日常的な好印象をお客さまに持って頂けるよう、小さなことを積み重ねる方が効果は大きいのです。
お客さまから「そんな小さなことまで気が付いているの!」と言われることです。例えば良い評判を得ているガソリンスタンドでは施設内清掃は元より、敷地周辺の道路掃除/除草も徹底的に行ないます。周辺住民の評価は高く、またそこで働くアルバイトの躾も良いため、自分の子供も働かせたいという声もでてくるのです。
顧客満足獲得は『微差が大差』がキーワードなのです。(記事:KMAきむらマーケティング&マネジメント研究所 木村博・記事一覧を見る)