認知症者の徘徊対策、新商品が続々登場 懸念解消なるか
2017年8月16日 11:46
厚生労働省の試算では、2025年には高齢者の認知症患者数は700万人を突破するという。残念ながら現段階で「認知症治療薬」は開発されていない。グループホームで「認知症専門病棟あり」とする病院でも、「同じ境遇の人達に極力、穏やかな日々を共有してもらうための場所」とその存在理由を語る。
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ところで認知症患者に一番懸念される事態は、徘徊。対応策が色々講じられているが最近、介護関連企業の老舗ツクイが位置検索システムの製造を手掛ける電機メーカーと共同でIoT技術を活用した「認知症徘徊検出・発見/見守りシステム(仮称)」を開発したという。建物(介護施設やコンビニ等)に専用アンテナを設置し、認知症患者が身に着けた小型タグが発信する電波を感知。同時にインターネットを経由して介護職員や家人に自動的にメールが送られ、レーダー内臓の端末を使い小型タグを着けた患者の位置を割り出し「早期発見」につなげるシステムになっているという。
この報に接した際、ある徘徊対策商品を思い出した。フランスベッドが投入した「認知症外出通報システム」。同社は介護用ベッドを中心に高齢者向け福祉介護用具で介護ビジネスに注力している。18年3月期を最終年度とする中期経営計画でも、「向う3年間を“介護事業の基盤を盤石にするための3年間”と位置づける。利用者は勿論、介助者にもやさしい新商品を開発し投入する」と謳い「有言実行」の一環として登場したのがこの商品。池田茂社長が提案した「逆転の発想」を基に生まれたという。「逆転」とは、従来の徘徊対応商品の殆どが「認知症者がタグを身に着ける」が基軸になっていた。だが、この商品は認知症者がタグの類いは全く身につけない。その代わりに当該者が出口を出ようとすると置かれた本体ユニットが感知し、例えば台所仕事をしている介護者が傍らに置いたサブユニットの注意メロディが鳴る仕組みという代物。
この種の商品開発競争は大いに結構なこと。ますます「競争」が「激化」することを期待したい。(記事:千葉明・記事一覧を見る)