顧客満足経営のツボ5 〜顧客の業務を把握し、受発注業務精度を上げた消耗品問屋〜

2017年8月11日 16:35

 顧客に自社作成の発注台帳を使ってもらえず、受発注業務が混乱していた消耗品問屋が顧客の在庫管理の仕方を把握し、自社作成の発注台帳を顧客が使い易いように変更、WIN—WINの関係を構築しました。

【前回は】顧客満足経営のツボ4 〜顧客の声から隠れた顧客期待を把握、売上拡大、工場効率アップを同時実現したハムメーカー〜

●作成した発注台帳を顧客に使ってもらえない消耗品問屋

 お弁当屋さん、肉屋さん等の個人商店へトレイ、袋、洗剤等の消耗品を卸している問屋さんで毎日起きている問題を聞いてびっくりしました。

 個人商店/問屋間の取引ではEOS等の電子的受発注システムは殆ど使われていません。今でも電話、FAX発注が主流となっています。

 そんな中、この問屋は自社で作成した発注台帳を顧客に配布し、FAX発注することを顧客にお願いしてきました。しかし、顧客は問屋が作成した発注台帳を使用せず、電話での発注や乱雑に書かれた手書きFAXで発注してくるのでした。

 その結果、発注内容の聞き間違いや判読不明な手書き発注に翻弄され、受注業務は大変な時間がかかっていました。

 その問屋で作成した発注台帳を確認したところ、発注台帳に記載されている商品の順番は問屋の設定した分類、コード番号順に作成されており、顧客にとっては非常に使い辛いものであることが分かりました。

●顧客の消耗品在庫保管状況、発注作業の確認

 そこで、全営業マンに全顧客の消耗品の在庫置場の状況、またその顧客の発注方法を調査することを指示しました。そして、その調査に基づいて、顧客別に使用している消耗品のみ掲載、かつ消耗品在庫置場の並び順と同じ順番で発注台帳を作成し、今一度発注台帳を配布、FAXでの発注をお願いしました。

 すると今度は全顧客がその発注台帳を使用してFAX発注してくれるようになったのです。今までは、電話発注での聞き間違いを修正するための確認電話や判読不明のFAXの確認電話で、顧客、問屋双方ともイヤな思いをしていたのですが、後追い作業がなくなって作業が楽になり、信頼が回復してきたのです。

●自社の仕事のその後を知ることが大事

 この問屋は自社が作成し易い発注台帳を作成、顧客に配布していましたが、顧客には使って貰えませんでした。この問屋の営業マンが自分の仕事(発注台帳配布)をした結果、顧客にどんな仕事をさせるのかと思い、顧客の仕事(発注作業)を見に行けば、もっと早く改善出来たはずです。

 この教訓から、この問屋では企画提案、見積書提出、納品、請求等問屋業務をした結果、顧客にどんな仕事が発生するのか調査し、顧客に迷惑が掛からないよう、顧客が仕事をし易いように自分達の仕事の終わり方を決め、業務を進めています。今では顧客から大変高い評価を得て、WIN—WINの関係を構築しました。(記事:KMAきむらマーケティング&マネジメント研究所 木村博・記事一覧を見る

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