トヨタの自動運転技術は遅れている? 他社と一線を画して慎重なワケ

2017年7月25日 17:56

トヨタ自動車は、「一般道」での自動運転技術の“実用化”を2020年代前半をめどにしているという。「高速道路」については、同時期に“商品化”することを表明している。しかし、他社のように高らかにアピールしていないため、テスラやグーグルなどの黒船にシェアをとられる?下請けになる?などの推測まで見られるのである。

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■トヨタは自動運転技術に後れをとっているのか?

 今秋発売予定のトヨタの最高級ブランド「レクサス」には、世界初となる安全・事故予防技術が採用されているという。高額な高級車であるからこそ、コストのかかる最新の技術を投入することができる。その裏をみると、トヨタが自律自動運転技術の分野でもトップランクの技術力をもっていることがうかがえるのである。

 ハイブリッド車の歴史を見ても、トヨタはすでに1970年代には実験的にセンチュリーやS800(通称:ヨタハチ)に積んで見せて、プリウスでの発表が1995年、実用車としての発売は1997年と、製造業の開発のスパンというのは何十年という長きにわたっているということがわかる。表には出ないがじっくりと研究開発は進んでいるのだ。(8月4日~6日開催のオートモビルカウンシル2017では、ハイブリッド試作車S800を展示)

 このことから、自動運転技術について、決してトヨタが後れをとってはいないとみるのが正しいだろう。トヨタ幹部も、他社が採用している自動運転技術について現段階でも上回っている、と言及しているようだ。

■なぜトヨタは自動運転に慎重なのか?

 端的に言うと「実用化」、これが難しいのが現実の社会である。IT産業ではアイデアだけで通用する場合があるが、自動車産業ではそうはいかない。 優良企業のタカタがエアバッグの不良で倒産まで追い込まれてしまったのも、1つは「実用化」の難しさにある。

 テスラが自動運転車で事故を起こしたことがニュースになったが、「自動運転」という括りが未だ不明確であることが問題になっている。アメリカ運輸省高速道路交通安全局(NHTSA)が設定しているレベルによっては、人間がハンドルを握っていなくてはならない「運転支援」から「完全な自動運転」まで幅がある。

 メーカーがどの程度を自動運転と設定するのか、ユーザーが自動運転をどの程度と認識しているのか。これが明確になっていないと、とんでもない誤解が生じてテスラのような事故を起こしてしまうこともある。また、法整備が整っていなければ、メーカー、ユーザー(消費者)どちらの責任なのかも不明確になって、社会に混乱をきたしてしまう。事故が多発してメーカーの責任となったときには、タカタの後を追うことになるのである。

 このようなことをわきまえているのがトヨタである。品質保証の常道に従い“より確実に、効率良く”なった技術を世に送り出せるようになるまで、じっと機を待っているのだろう。これが社会インフラ当事者の責任なのかもしれない。(記事:kenzoogata・記事一覧を見る

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