顧客満足経営のツボ2 〜CSには顧客期待と提供価値のみ存在する〜

2017年7月22日 19:19

 顧客満足経営の世界には顧客期待と提供価値の二つの要素しかありません。このことが理解出来れば、顧客満足経営は結構簡単なのです。

【その1はこちら】顧客満足経営のツボ1 〜あなたのお客さまは誰ですか?〜

●顧客期待と提供価値の関係

 顧客期待とは製品・サービスへのこうあってほしいという『お客さまの気持ち』です。一方、提供価値は企業がお客さまへ提供した製品・サービス等『仕事のレベル』です。顧客満足経営の世界にはこの顧客期待と提供価値の二つの要素しか存在しないのです。

 顧客満足経営の善し悪しを不等式で表すことが出来ます。顧客期待≦提供価値、顧客期待>提供価値の二つです。前者は提供価値が顧客期待を上回っている及び同等ですから、企業の仕事のレベルが期待以上、期待通りとなり顧客満足を獲得しています。後者は提供価値が顧客期待を下回っていますので、仕事のレベルが期待はずれとなり顧客から不満評価を頂いてしまうことになります。

 顧客満足経営では顧客期待≦提供価値となるように活動を進めます。その理由は顧客期待≦提供価値の結果、顧客から満足評価を獲得出来、顧客からのリピート、またリピート客からの紹介客を期待出来るからです。一方、顧客期待>提供価値の場合は不満評価の結果、離反客の増加、また不評の増加に繋がり、売上損失は甚だしいこととなります。

●顧客期待把握のポイント

 このようなことから顧客満足経営では顧客期待の把握がKFS(KEY FACTOR FOR SUCCESS)となります。顧客期待が分からなければ、自社の仕事のレベルを決められないからです。

 顧客期待を把握し、それと同等またはそれ以上の価値を提供出来る仕事を設計し、実現することが顧客満足経営です。

 しかし、CS調査、VOC(VOICE OF CUSTOMER)等当り前の調査だけでは限界があります。その理由は真の顧客期待はお客さま自身も気が付いていないケースが多く、既存の調査をしても見えてこないのです。

 このお客さま自身も気が付いていない期待、お客さま自身も言葉に出来ていない期待を如何に把握するかがポイントとなります。この見え難い顧客期待を把握し、経営革新を進めている企業は沢山あります。

 例えば、ガソリンスタンドの洗車レベルは水の拭き取りの仕方で決まります。皆さんも洗車後、走り出してフロントグリル、ワイパー等から水しぶきが発生、折角の洗車を代無しにした経験があると思います。評判の良いガソリンスタンドはフロントグリル、ワイパー、ドア窓等の水拭き取りを入念に行ないます。しかし、お客さまは水拭き取り方法まで指定しません。

 この時のキーワードは『お客さまの困りこと』、『お客さまの気持ち』です。この何気ないことに気付けるかが勝負となります。お客さまから『そんなことまで気付いているの!』と感嘆して頂けることを求め、顧客期待把握を進めます。(記事:KMAきむらマーケティング&マネジメント研究所 木村博・記事一覧を見る

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