問題解決の極意その3 〜現場の「やったことあります」「絶対無理です」の反論は問題解決のチャンス〜

2017年5月18日 19:31

 問題解決を進めようとすると現場の抵抗によく遭います。人は現状肯定したいもので、変革しようとすると先ずは反論してきます。「やったことあります。」の言葉はやったと思い込んでいて、実はやってない証拠。また、「絶対無理です。」の言葉は今まで誰も明らかにしたことがない事実、問題が見えるかもしれない証拠となるのです。

【前回は】問題解決の極意その2 〜知恵の出る人は考える回数が多い〜

●現場のネガティブな発言はチャンス

 現場で何か提案すると「そんなことやったことあります。」事実データの収集をしようとすると「出来ません。絶対無理です。」の言葉がよく返ってきます。自分が若い頃は「困ったな、説得が大変だ。」とネガティブな気持ちになったものですが、最近は現場のこのような言葉は「チャンスだ。」と思うようになってきました。その事例をご紹介します。

 あるチェーンストアで、荒利高予算を達成したことのない部門がありました。その担当バイヤーは真面目で、コツコツと仕事をし、商談回数も一番多く、メーカー/産地訪問も欠かしませんでした。

 そこで、このバイヤーに質問をしました。「今週の荒利高予算はいくらですか?」、「今週は1000万です。」と返ってきました。続けて聞きました。「それでは商談の結果、仕入計画での値入高はいくらでしたか?」、「そんなの無理です。販売売価も曖昧だし、販売の数量も決まっていないので、計画段階での値入高計算なんて出来ません。」

 案の定「出来ません。」の返答です。質問した理由は、荒利高予算1000万だとしたら、計画値入高は1100万位いっていないと荒利高予算達成出来ないはずですが、きっと値入れ高計算出来ず、計画値入高を把握出来ていないだろうと思ったのです。

 一緒に計算するからとこのバイヤーを説得し、計画値入高を計算してみました。結構複雑で手間がかかり大変でした。結果は荒利高予算1000万のところ、計画値入高は900万でした。これでは荒利高予算達成は不可能です。担当バイヤーは唖然としましたが、荒利高予算達成の答えを見付けることが出来、ほっとした表情も見せました。

●誰も明らかにしたことがない事実は宝の山

 このように、今まで見たことのない事実、絶対算出は無理だと思っていたデータには大変革の材料が隠されています。何故なら、今まで誰も見たことなく、その事実、データを元に変革の方向を誰も考えたことがないからです。誰もやったことがないことに挑戦出来るチャンスなのです。(記事:KMAきむらマーケティング&マネジメント研究所 木村博・記事一覧を見る

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