ドル・円為替、3月23日の動きとポイントは

2017年3月23日 09:23

ドル・円相場は、23日3:00(時間はいずれも日本時間)に最安値の1ドル110円73銭をつけた。予想通りに円高ドル安の流れは保たれている。では、今後の為替相場に強い影響力を持っている要素はなんであろうか。

 円高に傾いているとはいえ、1ドル111円という壁があった。111円40銭を下回ってくると欧州勢などからの円買いが入り、反発するからだ。しかし一気に111円を下回ってきた。状況的には、22日23:00の中古住宅販売件数の指標が発表されたタイミングである。事前予想の556万戸には及ばず、548万戸であった。即座に市場は反応する。長期債権利回りは2.42%から2.38%に下がり、1ドル111円43銭から110円92銭に下がり、23:30には1ドル110円74銭までドルが売られた。これで、アメリカの先行きに不安を持っている層の厚さが浮き彫りになった。

 23日は、今後の為替相場の変動に強い相関を持つであろう2つのイベントがある。1つは21:45を予定しているイエレンFRB(米連邦準備制度理事会)議長の講演だ。彼女の発言はトランプ大統領に次いで影響力を持っている。もう1つはアメリカ本会議でのオバマケアに代わる医療保険改革法案の採決である。トランプ大統領は成功すると信じているというコメントをスパイサー米大統領報道官を通じて発表した。この代替法案が可決するかどうかで、アメリカの政治の流れは変わってくる。仮に滞ることになると、その後に期待されている税制改革などがさらに後手に回ることになる。市場のアメリカに対する不安感はさらに募ることになるだろう。ドルを売り、円を買うというリスク回避の動きは今まで以上に強いものになる。

 21:30にはアメリカ新規失業保険申請件数の指標も発表になる。その後、23:00には2月のアメリカ新築住宅販売件数の指標も発表だ。どちらも予測を下回った場合は反射的にドル売りが発生する。しかし数値が良くても即、ドル買いになるわけではないだろう。

 代替法案が可決されるか、否決されるか、非常に微妙な状態だ。さらに何時に判明するかも微妙である。今晩は眠れない夜になるかもしれない。(記事:ろひもと理穂・記事一覧を見る

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