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アスカネットは調整一巡、25年4月期2桁増益予想、フューネラル事業が堅調に推移
アスカネット<2438>(東証グロース)は、葬儀社・写真館向け遺影写真加工のフューネラル事業、写真館・コンシューマー向けオリジナル写真集制作のフォトブック事業を主力として、空中結像ASKA3Dプレートの空中ディスプレイ事業の拡大にも注力している。25年4月期は2桁増益予想としている。フューネラル事業の堅調推移、フォトブック事業における生産効率化、空中ディスプレイ事業の拡販に加え、前期計上したM&A費用や特別損失の剥落なども寄与する見込みだ。積極的な事業展開で収益拡大を期待したい。株価は安値圏で軟調だが、調整一巡して出直りを期待したい。なお12月9日に25年4月期第2四半期決算発表を予定している。
■写真加工関連を主力として、空中ディスプレイも推進
葬儀社・写真館向け遺影写真加工のフューネラル事業、写真館・コンシューマー向けオリジナル写真集制作のフォトブック事業を主力として、空中結像ASKA3Dプレートの空中ディスプレイ事業の拡大にも注力している。
24年4月期のセグメント別売上高(外部顧客への売上高)構成比はフューネラル事業47%、フォトブック事業51%、空中ディスプレイ事業2%、営業利益構成比はフューネラル事業168%、フォトブック事業151%、空中ディスプレイ事業▲71%、調整額▲149%だった。フューネラル事業は葬儀関連、フォトブック事業はウエディング・卒業・入学イベント関連などが主力市場のため、いずれも下期の構成比が高い季節特性がある。
23年12月にはBETの全株式を取得して子会社化した。BETはバーチャルライバー(Vライバー)(バーチャルキャラクターにて各種アプリサービスを利用し、ライブを行う配信者)事務所Razzプロダクションの運営を行うスタートアップ企業で、所属Vライバーが550名を超える最大手のVライバー事務所である。バーチャルライバー事業を通じてXR領域への事業展開を強化する。
また新規事業も視野に入れて、人工知能搭載ソーシャルロボット「unibo」を開発・製造するユニロボット、全身高速3Dスキャナーおよび3Dデータ処理システム開発・製造のVRC社、AIカメラソリューション開発のAWLと資本業務提携している。22年1月にはベンチャーファンド「XVC1号投資事業有限責任組合」へ出資した。
■フューネラル事業は葬祭市場をIT化する葬Techも推進
フューネラル事業は、専門オペレーターによるデジタル加工を行い、葬儀社に設置されたハード機器に出力する。収益は加工オペレーション収入、サプライ品売上、ハード機器売上などである。
92年に国内初となる遺影写真デジタル加工・出力を開始し、24年4月期末時点のハード設置件数は23年4月期末比166カ所増加の2986カ所、24年4月期の遺影写真加工枚数(新規加工枚数)は23年4月期比6.1%増の47万246枚となっている。葬儀は年間約110万件施行されているため推定市場シェアは約3割~4割(1位)となる。
成長戦略として、葬祭市場における豊富な顧客基盤(葬儀社)を活用し、葬儀社・喪家・会葬者を繋ぐサービス「tsunagoo(つなぐ)」(特許取得済)、ASKA3Dプレートを使用した焼香台、動画やサイネージによる新たな演出ツールの提供など、葬祭市場をIT化する「葬儀×TECH=葬Tech」を推進している。今後もサービス機能充実に向けて開発やアライアンス強化を推進する方針だ。
■フォトブック事業は写真集製作サービス
フォトブック事業は、オリジナル写真集をネットで受注・製作するフォトブックサービスである。高度なカラーマネジメント技術やオンデマンド印刷制御技術などを強みとしている。
全国の写真館・プロフェッショナル写真家向け(BtoB)の「アスカブック」と、一般消費者向け(BtoC)の「マイブック」を主力として、NTTドコモのフォトブック印刷サービス「dフォト」にフォトブック・プリント商品を供給するOEMも展開している。24年3月期の分野別売上高構成比はBtoBが64%、BtoCが29%、海外が1%、送料ソフトオプションその他が6%だった。また24年4月期末時点のBtoB契約件数は23年4月期比991件増加の1万6980件、稼働件数は229件増加の5817件、マイブック会員数は8.7%増の36万9397人となった。
BtoBではスタジオ写真向けや建築写真向け製品などの拡販、BtoCでは子どもの成長記録やカレンダー・卒業アルバムなど季節製品の拡販、等身大アルバム付き出張撮影サービスなどを推進している。24年4月には、赤ちゃんの成長記録をほぼ等身大で残せるフォトボード「Photo Growth」の販売を開始した。
■ソーシャルVR向けサービス「かえでラボ」
22年8月には、仮想空間で活動するメタバースユーザーの「おもい」を表現していくソーシャルVR向けサービスとして「かえでラボ」を設立し、仮想空間上で撮影された写真を現実空間でカタチにするテストマーケティングを開始した。
23年9月には、「ハロー!パソコン教室」を展開するイー・トラックスとの共同プロジェクトとして、法人・自治体向けのメタバース体験&基礎研修を開始した。23年11月には、ソーシャルVRやメタバースで撮影した思い出の写真をフォトアイテムにできる新商品「スクボ」「ラミカ」の販売を開始した。
今後は子会社化したBETと連携し、Vライバーとの商品企画・開発・制作、リアル×バーチャルのコミュニケーション企画、メディミックスなどバーチャルライバー事業を通じてXR領域への事業展開を強化する。
なお25年3月8日~9日に徳島市内のライブ会場でVTuber×地域交流イベント「阿波VTuberフェス」開催を予定している。音楽ライブだけでなく、バーチャルとリアルが繋がる新感覚のMRファンミーティング「マリネdeみーと」なども開催する。
■空中ディスプレイ事業は空中結像ASKA3Dプレート
空中ディスプレイ事業は、サービスブランドをASKA3D、プレート名をASKA3Dプレートとして、量産化(ファブレス形態で製造、自社ブランドで販売)を推進している。プレートだけで空中に映像を浮かばせる空中ディスプレイが可能となるシンプルな構造が特色であり、サイネージ分野の他、車載、医療、飲食、アミューズメント、エレベータの操作パネルなど多方面の業界・業種から注目されている。
高品質の空中結像を可能にする小ロット向けの大型ガラス製プレートはサイネージ用途、大ロット向けに低コストでの供給が可能な樹脂製プレートは製品組込用途として開発・製造・販売を進めている。また樹脂製プレートについては従来よりも大きいサイズの開発により、操作パネルとしての用途拡大を推進している。
生産面では、外注によって月産3000枚~1万枚程度の生産能力を有しているほか、20年6月に技術開発センター(神奈川県相模原市)を設立し、ガラス製ASKA3Dプレートに関する量産技術の内製化と生産体制の確立を推進している。営業面では海外販売体制拡充に向けて、20年11月に米国・UAE・中国で販売代理店契約を締結した。
なお22年1月には大和ハウス工業およびパナソニックと、ASKA3Dプレートを活用した「空中タッチインターホン」共同実証実験を開始した。22年2月にはセブンーイレブン・ジャパンがセブンーイレブン店舗において、ASKA3Dプレートを使用した世界初の非接触・空中ディスプレイPOSレジ「デジPOS」実証実験を開始した。
22年6月にはASKA3Dプレートを搭載した非接触ホログラフィックエレベータ操作端末が、米国クリーブランド・ホプキンス国際空港に設置された。ASKA3Dプレートの販売代理店である中国のYesar Electronics Technology(Shanghai)がCSA認定を取得し、エレベータメーカーの製品テストをクリアした。
22年9月には、ASKA3Dプレートの北米地域におけるパートナー企業であるHolo Industriesが、ASKA3Dプレートを使用した「Holographic Touch」と、Mastercard社のタッチレス決済機能を組み合わせた非接触クレジットカード決済システムを共同開発中と発表した。
23年5月には広島市並びに広島サミット県民会議の依頼を受け、ASKA3Dを使用した空中ディスプレイインフォーメーションをG7広島サミット国際メディアセンター内の広島情報センターに展示・実演した。
■サステナビリティ経営
サステナビリティ経営への取り組みとしては、23年7月に女性活躍推進法に基づく一般事業主行動計画を更新し、目標として女性管理職比率13%以上、正規雇用労働者の男女賃金差異78%以上、有給休暇取得率85%以上維持を掲げている。
CSR活動としては、23年8月に同社初の試みとなる本社近隣の小学生を対象に会社見学会・体験会を開催、23年12月に広島県グリーンボンドへの投資を実行した。さらに地元・広島のスポーツチームへの応援として「広島カープ」の広島市民球場、および「サンフレッチェ広島」のエディオンスタジアムとエディオンピースウイング広島に看板を掲げている。
環境問題への取り組みとしては、工場のエアコンの稼働を自動制御して節電するスマート省エネシステムにより、23年5月~24年2月の実績として約3400kgのCO2排出量カットにつながった。またスタッフが葬儀社を定期的に訪問し、使用済みインクカートリッジ回収に取り組んでいる。23年の回収個数は4015個、回収率は13%だった。
■25年4月期2桁増益予想
25年4月期の連結業績予想は、売上高が23年4月期比9.7%増の77億20百万円、営業利益が16.2%増の5億20百万円、経常利益が12.9%増の5億35百万円、親会社株主帰属当期純利益が前期の特別損失に計上した投資有価証券評価損の剥落も寄与して51.4%増の3億24百万円としている。配当予想は23年4月期と同額の7円(期末一括)としている。予想配当性向は35.5%となる。
第1四半期は売上高が17億10百万円、営業利益が25百万円の損失、経常利益が25百万円の損失、親会社株主帰属四半期純利益が23百万円の損失だった。前期第3四半期から連結決算に移行したため前年同期の非連結業績(売上高16億09百万円、営業利益28百万円、経常利益34百万円、親会社株主帰属四半期純利益22百万円)との単純比較で見ると、増収ながら減益(赤字化)だった。フォトブック事業の需要回復が遅れていることに加え、人件費や営業経費の増加などが影響した。
セグメント別(内部売上・全社費用等調整前)に見ると、葬儀関連のフューネラル事業は売上高が7億81百万円で営業利益が1億32百万円(前年同期は売上高が7億18百万円で営業利益が1億19百万円)だった。増収増益と順調だった。売上面は自社営業強化によって新たな葬儀社との契約獲得が順調に進展し、遺影写真加工サービスが伸長した。利益面は画像加工部門のオペレーターを積極的に採用(新卒)したことに加えて、クラウドサービス利用料の増加などでコストが増加したものの、増収効果で吸収した。
写真集関連のフォトブック事業は売上高が8億92百万円で営業利益が98百万円(同、売上高が8億58百万円で営業利益が1億59百万円)だった。売上面は、プロフェッショナル写真家向け「アスカブック」が前期にコロナ禍待機の解消でウエディング関連が好調だった反動で苦戦したことに加え、一般消費者向け「マイブック」とOEMが海外旅行回復遅れや撮影写真アウトプット減少の影響で厳しい状況が継続した。利益面はコスト削減を推進したものの、原材料価格高騰や人件費増加の影響で減益だった。
空中結像プレートASKA3Dの空中ディスプレイ事業は、売上高が37百万円で営業利益が85百万円の損失(同、売上高が34百万円で営業利益が86百万円の損失)だった。自社営業による国内外向け販売が一定の成果を上げたものの、海外代理店経由の販売が低調だった。利益面は、専門人員採用に伴う人件費の増加や積極的な営業活動による営業経費の増加があったが、セグメント損失は想定を下回った。
通期連結業績予想は据え置いている。フューネラル事業の堅調推移、フォトブック事業における生産効率化、空中ディスプレイ事業の拡販に加え、前期計上したM&A費用や特別損失の剥落なども寄与する見込みだ。セグメント別売上高の計画は、葬儀関連のフューネラル事業が4.8%増の34億40百万円、写真集関連のフォトブック事業が11.7%増の40億40百万円、空中結像プレートASKA3Dの空中ディスプレイ事業が71.4%増の2億50百万円としている。
売上面は、フューネラル事業では新規顧客の積み上げなどによって堅調な増収を見込む。フォトブック事業では市場環境の回復を楽観視できないものの、新商材の取り扱い開始やBET社の新規連結により増収を見込む。空中ディスプレイ事業ではサイネージ用途での高単価案件の獲得に注力する。利益面は、フューネラル事業ではオペレーションセンターの効率的な運営を推進して利益率の維持を目指す。フォトブック事業ではM&A費用の剥落や生産効率化により増益を見込む。なおBET社についてはPMI関連費用が発生するため、のれん償却を加味すると利益寄与は限定的の見込みとしている。空中ディスプレイ事業では増収や粗利益率改善の効果で損失縮小を目指す。
第1四半期は赤字だったが、下期が需要期となる季節要因があり、積極的な事業展開によって通期ベースでの収益拡大を期待したい。
■株主優待制度は毎年4月末の株主対象
株主優待制度(詳細は会社HP参照)は毎年4月30日現在の株主に対して、所有株式数に応じて自社サービス(マイブック)割引利用券を贈呈している。
■株価は調整一巡
株価は安値圏で軟調だが、調整一巡して出直りを期待したい。10月25日の終値は468円、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS19円73銭で算出)は約24倍、今期予想配当利回り(会社予想の7円で算出)は約1.5%、前期実績PBR(前期実績の連結BPS374円12銭で算出)は約1.3倍、そして時価総額は約82億円である。(情報提供:日本インタビュ新聞社・株式投資情報編集部)
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※この記事は日本インタビュ新聞社=Media-IRより提供を受けて配信しています。
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