相場展望10月28日号 日本株: 石破政権は早晩に行き詰まり短命に 投機筋の株買いの追随は慎重に

2024年10月28日 12:24

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■I.米国株式市場

●1.NYダウの推移

 1)10/24、NYダウ▲140ドル安、42,374ドル
 2)10/25、NYダウ▲259ドル安、42,114ドル

【前回は】相場展望10月24日号 米国株: トランプ氏勝利⇒米国はインフレ・金利上昇、中国経済は奈落へ 日本株: 円安も、短期筋の先物売り浴びせ・米国株安を受け下落に転換

●2.FRBの物価対応は未完、終了宣言は「尚早」=クリーブランド連銀総裁(ロイター)

 1)インフレ圧力は低下傾向にあるものの、望ましい水準にはまだ達していない。

●3.米国総合PMI、10月は54.3で9月の54.0から上昇、物価上昇圧力は緩和(ロイター)

 1)米国総合購買担当者景気指数(PMI)は9月から上昇し、堅調な需要を背景に米国企業活動は拡大したほか、モノやサービスの値上げペースが約4年半で最も緩やかとなり、米国経済が第4四半期を好調な出だしを切ったことを示唆した。

 2)10月の総合の新規受注指数は54.2と、前月の52.5から上昇した。

●4.米国新規失業保険申請は22.7万件と、予想24.2万件から予想外に減少(ロイター)


■II.中国株式市場

●1.上海総合指数の推移

 1)10/24、上海総合▲22安、3,280
 2)10/25、上海総合+19高、3,299

●2.中国の工業利益、9月は前年比▲27.1%減、月間で今年最大の落ち込み(ロイター)

 1)8月の▲17.8%減を上回る落ち込みとなった。

■III.日本株式市場

●1.日経平均の推移

 1)10/24、日経平均+38円高、38,143円
 2)10/25、日経平均▲229円安、37,913円

●2.日本株 : 石破政権は早晩に行き詰まり短命に、投機筋の株買いには慎重に

 1)日経平均の動き
  ・10/24、 日経平均+38円高の要因
        (1)円安による輸出関連株の上昇 
        (2)海外短期筋による先物買い
        (3)米国での半導体関連株上昇の波及

  ・10/25、 衆院選を前に与党苦戦の報を受け、様子見気分が濃厚となり、買い手控えで日経平均は▲229円安。今年最低の売買高となった。

 2)日経平均は8/5を底に上昇したが、10/18を天井に下落に転じた可能性が深まる
  ・日経平均の推移  
     08/05   31,458円
     10/15   39,910:8/5を底に+8,452円高・+26.8%高
     10/25   37,913:10/15比▲1,997円安

  ・衆院選前の10/25は高値から▲1,997円安、上げ幅の▲23.6%反落で、反発するには下落幅が不足。

  ・10/27の選挙では与党の過半数割れが報じられるなど、様子見気分が濃厚となり買い手控えられた。

 3)衆院選挙結果は、与党の過半数割れ、野党の大幅躍進
  ・与党215議席 対 立憲・維新・国民の3党で214議席と拮抗。
   与党215議席 対 無所属含む全野党で250議席と野党が優勢となり形成が逆転。
   自民党は無所属当選者を自民党復帰させるなど工作するが、力関係は変わらず。

  ・衆院選公示前から、自民党は▲56議席減、公明党は石井代表落選もあり▲8減。
   立憲民主党は+50議席増、国民民主党は現有7議席を4倍増となる+21議席増。
   自民党と立憲との議席差は149⇒43と縮まった。
   れいわ(3⇒9)、参政党(1⇒3)は3倍増。

  ・衆院選の議席数が野党と接近したため、与党優位の今まで通りの法案通過は見通せなくなった。

 4)石破首相は、岸田路線継承を表明したが、いずれ行き詰まる
  ・岸田政権は野党と合意をして予算案など法案を通したが、その後、約束を反故にして、維新と国民民主党をカンカンに怒らせたという事実を作った。

  ・石破首相は、総裁選の取引で岸田首相の支援を受けるという前提で「岸田路線の継続」を約した。つまり、石破首相は「岸田首相の負の遺産も継承」したことになる。

  ・しかも、自民党総裁選で推薦人20人をも確保できず、頭を下げている。総裁選前に公約したことを、総裁・首相になってからことごとく豹変させたことに現れている。自民党内の地盤が脆弱であることの証左である。

  ・しかも、閣僚・自民党幹部人事で、安倍派を中心に切り捨てた。片寄った親石破人事を断行し、あきれさせた。高市陣営への冷淡な人事も際立った。追い打ちをかけるように衆院選挙前の自民党公認問題で安倍派大量落選を企てた。石破首相では、自民党さえもまとめられない。

  ・来年の参議院選挙でも「みそぎ」を受けるため、政治混乱は続く。来夏の参院選を勝つためにも、立憲・維新・国民は簡単に与党とは一線を置くだろう。

  ・したがって、石破政権は行き詰まり、政権維持が出来なくなるとみる。

 5)石破首相は、短命内閣
  ・自民党でも敵を新たに作り、党内地盤が脆弱すぎる。しかも、協力者を減少させている。

  ・立憲民主党を衆院選挙後半では「悪魔の民主党」と口汚く口撃し、選挙後の協力を得ることも考えずに行動した。

  ・岸田路線踏襲発言で、維新や国民との公約違反も引き継いで、怒りをもかった。

  ・総裁選で国民からの「好意」的な視線も、「豹変」で信頼を失った。

  ・与党を組む公明党は、生まれ変われない自民党とともに沈没する可能性がある。公明党代表の落選が、自民党との関係見直しのきっかけとなった可能性がある。

  ・国会で法案も通せない、国民からの信頼を失った石破首相に「短命」を予期してしまう。

 6)ただ、短期筋の海外投資家は「悪材料出尽くし」とみて、先物中心に「株買い」攻勢に転じる可能性がある

 7)短期筋の海外投機家が買い継続とみて追随するのはリスク
  ・投機筋は「儲かればよい」のである。

  ・米国半導体株指数(SOX)の伸び悩みもある。米国大統領選は「買い」という経験則があるが、それを期待した米国株は既に高値圏にあり、高値警戒感が表面化してもおかしくない。

  ・日本市場での海外投機筋の「買い」も持続性に問題があると思われる。

  ・中長期筋の海外投資家は、日本株から離れ続けている。

●3.船井電機、経営が行き詰まり裁判所から10/24に破産手続き開始決定(NHK)

●4.円安加速、専門家の見方は「米国大統領選で165円も」(Quick Money)

■IV.注目銘柄(投資は自己責任でお願いします)

 ・7259 アイシン   業績好調。
 ・8630 SOMPO    業績好調。
 ・9107 川崎汽船   業績好調。

著者プロフィール

中島義之

中島義之(なかしま よしゆき) 

1970年に積水化学工業(株)入社、メーカーの企画・管理(財務含む)を32年間経験後、企業再生ビジネスに携わる。 現在、アイマックスパートナーズ(株)代表。 メーカーサイドから見た金融と企業経営を視点に、株式含む金融市場のコメントを2017年から発信。 発信内容は、オープン情報(ニュース、雑誌、証券リポート等々)を分析・組み合わせした上で、実現の可能性を予測・展望しながらコメントを作成。http://note.com/soubatennbou

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