エスプールは24年11月期3Q累計減益だが計画水準、通期予想据え置き

2024年10月15日 09:55

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記事提供元:日本インタビュ新聞社

(決算速報)  エスプール<2471>(東証プライム)は10月11日に24年11月期第3四半期累計連結業績を発表した。減収減益だった。人材ソリューションにおける新型コロナ関連業務剥落や先行投資などが影響した。ただし概ね計画水準だった。そして通期の横ばい予想を据え置いた。当期は期初時点でビジネスソリューション事業が下期(特に第4四半期)偏重の計画としている。積極的な事業展開で通期予想の達成は可能だろう。株価は反発力が鈍く安値圏でモミ合う形だが底固め完了感を強めている。出直りを期待したい。

■24年11月期3Q累計減益だが計画水準、通期予想据え置き

 24年11月期第3四半期累計の連結業績(IFRS)は、売上収益が前年同期比6.1%減の181億79百万円、営業利益が39.1%減の12億79百万円、親会社所有者帰属四半期利益が21.0%減の10億47百万円だった。ビジネスソリューション事業の障がい者雇用支援サービスが好調だったが、人材ソリューションにおける新型コロナ関連業務剥落や先行投資などが影響した。ただし全体としては概ね計画水準だった。

 セグメント別(内部取引、全社費用等調整前)に見ると、ビジネスソリューション事業は売上収益が11.9%増の101億64百万円で、営業利益が16.1%減の19億63百万円だった。

 障がい者雇用支援サービスの売上収益は24.0%増の58億44百万円だった。法定雇用率の引き上げ(24年4月)などにより受注・販売とも高水準に推移した。期末時点の農園数は51施設、顧客数は651社、管理区画数は8485区画、就労者数は4243名(定着率92%)となった。

 広域行政BPOサービスの売上収益は10.0%減の9億17百万円だった。累計ベースでは減収だが、四半期別に見ると第3四半期は定額減税に関連した国策系業務の開始により四半期ベースで過去最高の売上高(4億45百万円)となった。環境経営支援サービスの売上収益は30.3%減の6億09百万円だった。主力のCDPコンサルティング業務の納品時期変更の影響で減収となったが、受注が好調に推移して第4四半期は過去最高の売上見込みとなっている。

 ロジスティクスアウトソーシングサービスの売上収益は12.5%減の9億78百万円だった。物流センター運営代行業務からの撤退の影響で減収だが、EC通販発送代行業務については収益改善が進展した。採用支援サービス(OMUSUBI)の売上収益は3.6%増の5億66百万円だった。新規顧客は順調に増加したが、AI活用による単価下落の影響で小幅増収にとどまった。利益面は業務効率化効果などで2桁増益だった。セールスサポートサービスの売上収益は34.4%増の8億21百万円だった。拠点開設効果により大規模キャンペーンの受託が進展した。

 人材ソリューション事業は、売上収益が21.9%減の80億73百万円、営業利益が32.1%減の6億31百万円だった。主力のコールセンター業務の売上収益は24.5%減の65億43百万円、販売支援の売上収益は8.3%減の9億89百万円だった。

 なお全社ベースの業績を四半期別に見ると、第1四半期は売上高が56億58百万円で営業利益が25百万円、第2四半期は売上高が64億35百万円で営業利益が7億16百万円、第3四半期は売上収益が60億86百万円で営業利益が5億38百万円だった。

 通期連結業績(IFRS)予想は据え置いて売上収益が23年11月期比4.9%増の270億60百万円、営業利益が1.0%減の27億50百万円、親会社株主帰属当期純利益が5.7%増の18億29百万円としている。配当予想は23年11月期と同額の10円(期末一括)としている。予想配当性向は43.2%となる。

 セグメント別(内部取引、全社費用等調整前)に見ると、ビジネスソリューション事業は売上高が19.7%増の150億23百万円、営業利益が15.0%増の34億97百万円としている。売上高の内訳は障がい者雇用支援サービスが15.9%増の80億円(運営管理費が27.8%増の49億92百万円、設備販売が5.2%増の24億60百万円、人材紹介料が16.5%減の5億47百万円)で、ロジスティクスアウトソーシングサービスが10.6%増の16億26百万円、広域行政BPOサービスが7.6%増の14億95百万円、環境経営支援サービスが50.6%増の14億30百万円、採用支援サービス(OMUSUBI)が11.7%増の8億円としている。

 障がい者雇用支援サービスは需要好調だが、より丁寧な採用・教育に取り組んでいるため販売目標は一旦抑制する方針だ。ロジスティクスアウトソーシングサービスは物流センターの稼働率向上や料金適正化などにより収益改善を推進する。なお物流センター運営代行サービスを終了し、今後はEC通販発送代行サービスに集中する。広域行政BPOサービスは既存センターの稼働率向上に向けて営業強化を推進する。環境経営支援サービスは企業向けコンサルティングサービスの納品が第4四半期に集中する見込みだ。また、企業向けの支援ノウハウを活用して自治体向けの脱炭素支援サービスの拡大を推進する。採用支援サービス(OMUSUBI)はアルバイト・パート領域に加え、正社員採用支援サービスも開始する。また、自動化が難しくアウトソーシングニーズの高い面接代行サービスの拡大に注力する。

 人材ソリューション事業は売上高が7.4%減の123億25百万円、営業利益が11.5%減の11億20百万円の計画としている。売上高の内訳はコールセンター業務が7.7%減の102億43百万円、販売支援が23.8%増の17億82百万円、その他が61.4%減の3億円の計画としている。コールセンター業務の立て直し、アウトソーシング案件の営業強化、新領域へのチャレンジ(施工管理技士の人材派遣を開始)などにより早期の底打ちを目指す方針だ。

 第3四半期累計は減収減益だったが、当期は期初時点でビジネスソリューション事業が下期(特に第4四半期)偏重の計画としている。積極的な事業展開で通期予想の達成は可能だろう。

■株価は底固め完了

 株価は反発力が鈍く安値圏でモミ合う形だが底固め完了感を強めている。出直りを期待したい。10月11日の終値は337円、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS23円16銭で算出)は約15倍、今期予想配当利回り(会社予想の10円で算出)は約3.0%、前期実績連結PBR(前期実績の連結BPS111円78銭で算出)は約3.0倍、そして時価総額は約266億円である。(情報提供:日本インタビュ新聞社・株式投資情報編集部)

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