NASA、燃料不要の宇宙船ソーラーセイルの稼働状況を公開 肉眼でも確認可能

2024年9月11日 09:08

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NASAのソーラーセイル宇宙線のイメージ クレジット:NASA / Aero Animation / Ben Schweighart

NASAのソーラーセイル宇宙線のイメージ クレジット:NASA / Aero Animation / Ben Schweighart[写真拡大]

 今地球上空で、エンジンも燃料も不要の夢のような宇宙船ソーラーセイルが周回中なのを、知っているだろうか?

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 この宇宙船はNASAが手掛けたもので、2024年4月に打ち上げられ、地球の約1,000km上空で約80平米のブームを展開。そこに照射される太陽光により、推進するエンジンも燃料タンクも持たない究極の省エネ仕様だ。

 海を航行するヨットのように、太陽光を風に見立て、その力を利用して推進するため、エンジンも燃料も要らず、非常に軽量な宇宙船なのだ。しかもブームを適切に制御することで、航行軌道の調整も可能だ。

 9月5日にNASAが公開した情報によれば、ソーラーセイルが有するブームの面積は車6台分の駐車スペースに相当し、地上から金星ほどの明るさでその存在を確認できるという。

 スマホ用に無料で提供されているNASAアプリを用いれば、自分が住んでいる場所でソーラーセイルが見られる方角や時刻が簡単に調べられる。アプリ操作は英語で行う必要があるが、それほど難しくないのでチャレンジしてみてほしい。その手順は以下の通りだ。

(1)アプリをインストール
(2)アプリ起動
(3)最下段のナビゲーションバーでFeaturedをタップ
(4)Featuredの画面でAdvanced Composite Solar Sail Systemをタップ
(5)最下段のナビゲーションバーでSightingsをタップ

 以上の操作により、居住地でソーラーセイルが見られる日時、見られる時間の長さ、最大高度、出現方向などのデータが複数候補表示される。筆者がトライしてみたところ、ほぼ毎日かつ日によっては複数回の観望チャンスがあることが確認できた。

 人工衛星は4等級以上の明るさがあれば肉眼で確認できるが、都会でもはっきり見るためには最低でも2等級以上、できれば1等級以上の明るさが欲しい。

 筆者の知る限り、この条件を満たす存在は国際宇宙ステーション(ISS)くらいしか思い浮かばないが、ソーラーセイルは金星ほどの明るさというから、木星や全天で一番明るいシリウスよりもはるかに明るく、大都会でも晴れてさえいればその存在を肉眼ではっきり確認できるだろう。(記事:cedar3・記事一覧を見る

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