分譲マンション「曲がり角」論の中で気を吐くグローバル社、ホテル事業回復という材料も

2024年9月8日 17:20

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 THEグローバル社(3271、東証スタンダード。以下、グローバル社)。首都圏を中心としたマンション分譲が主力。グローバル社を知ったのは8月13日のことだった。

 周知のとおりブラックマンデー時を上回る大幅下落となった8月5日以来、相場(日経平均)動向は「晴れ間」が確認しきれない曇天状況が続いていた。が13日は前日比1207円高と大幅続伸3万6232円と、すかっとする相場となった。

 押し上げに貢献した銘柄をフォローした。出会った1社がグローバル社だった。寄り付きから買いを集め結局、ストップ高の520円(80円高)で引けた。これを契機にその後のグローバル社の株価を追った。8月26日の672円まで買い進まれた。ちなみに年初来安値は1月4日の365円。

 そしてある意味で今回の上昇に、妙に嬉しさを覚えた。引き金が9日に開示された今25年6月期の計画だった。「116.4%の増収(585億3800万円)、181.7%の営業増益(49億5100万円)、29.2%最終増益(35億700万円:過去最高益更新)、9円増配38円配」。指摘されるように、首都圏のマンション分譲に金利上昇を背景とした「曲がり角」論がある中でのことである。

 グローバル社はマンション分譲の開発・販売を軸に「管理」「収益不動産開発・販売」「戸建て住宅の開発・販売」、そして「ホテル事業」を手掛けている。

 そして今期計画には「ホテル事業の立ち直り」が、大きな要因ともなっている。前6月期のホテル事業は「87%強の減収、営業利益2億5800万円(前々期1500万円損失)」だったが、決算資料を読み込むと来期以降についてはこんな見方をしている。

 「需要は活発な推移をみせている。訪日外国人も24年2月には300万人を超えその後も・・・当社グループが運営する京都エリアの主要ホテルの24年6月の稼働率は19年と同水準まで回復、平均客室単価も30%方上回っている。昨春に営業を再開した施設の稼働も回復傾向で推移している・・・」。

 また分譲マンション事業でも傘下入りしているSBIHDのSBI証券との間で融資枠40億円を新規契約。地銀2行からSDGs融資14億円を調達。物件開発に向けた手元資金の拡充を図っている。

 本稿作成時の時価は9月4日の暴落の中でも600円台前半と、600円台に踏みとどまっている。時価の予想税引き後配当利回りは4%弱。今期計画の進行を見守らなくてはならないが、気に留めるに値すると思うが如何か・・・(記事:千葉明・記事一覧を見る

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