Jトラストは24年12月期2Q累計大幅営業減益だが計画超で着地

2024年8月14日 11:41

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記事提供元:日本インタビュ新聞社

(決算速報)  Jトラスト<8508>(東証スタンダード)は8月9日に24年12月期第2四半期累計連結業績を発表した。不動産事業において前期計上した負ののれん発生益の剥落などにより大幅減益だが、営業収益が第2四半期累計として過去最高と順調に拡大し、営業利益も計画を上回る水準で着地した。そして通期予想(負ののれん発生益の剥落により減益予想)を据え置いた。ただし、第2四半期累計の営業利益が計画を上回ったことなどを勘案すれば保守的な印象が強く、通期予想にも上振れ余地がありそうだ。積極的な事業展開で収益拡大を期待したい。なお24年2月13日付で発表した自己株式取得について、8月9日付で取得枠の拡大を発表した。株価は地合い悪化の影響で急落したが、目先的な売り一巡して反発の動きを強めている。出直りを期待したい。

■24年12月期2Q累計大幅営業減益だが計画超、通期上振れ余地

 24年12月期第2四半期累計の連結業績(IFRS)は、営業収益が前年同期比22.2%増の654億27百万円、営業利益が78.4%減の20億57百万円、親会社の所有者に帰属する中間利益が83.6%減の27億62百万円だった。

 不動産事業においてミライノベートを吸収合併したことに伴い前期計上した負ののれん発生益の剥落などにより大幅減益だが、日本金融事業と東南アジア金融事業が牽引して営業収益が第2四半期累計として過去最高と順調に拡大し、これに伴って営業利益も計画を約8億円上回る水準で着地した。

 日本金融事業の営業利益は47.6%増の33億53百万円だった。証券業務やクレジット・信販業務における手数料収益の増加などで17.8%増収となり、貸倒引当金(損失評価引当金)繰入額の減少も寄与した。

 韓国およびモンゴル金融事業の営業利益は12億56百万円の損失(前年同期11億96百万円の損失)だった。貸倒引当金(損失評価引当金)繰入額の増加や債権売却損の増加などで営業損失が小幅に拡大した。ただし下期からの営業黒字を見込んでいる。

 東南アジア金融事業の営業利益は83.8%増の14億10百万円だった。銀行業における貸出金の増加や新規貸出金利の上昇、保有有価証券の増加に伴う利息収支増加などで32.6%増収となり、また、貸倒引当金(損失評価引当金)繰入額の減少なども増益に寄与した。

 不動産事業の営業利益は96.7%減の3億34百万円だった。Jグランドの不動産取扱件数の増加、ライブレントの連結取込などにより68.9%増収だが、ミライノベートを吸収合併したことに伴い前期計上した負ののれん発生益が剥落した。

 投資事業の営業利益は6億11百万円の損失(前年同期9億60百万円の損失)だった。PCL社に係る訴訟費用が増加した一方で、訴訟判決による回収金を計上したため営業損失が縮小した。その他事業の営業利益は5百万円の損失(前年同期11百万円の損失)だった。

 なお全社ベースの業績を四半期別に見ると、第1四半期は営業収益が315億54百万円で営業利益が2億81百万円の損失、第2四半期は営業収益が338億73百万円で営業利益が23億38百万円だった。

 24年12月期通期連結業績予想は、営業収益が23年12月期比12.0%増の1280億円、営業利益が8.2%減の74億円、親会社の所有者に帰属する当期利益が60.8%減の64億円としている。配当予想は23年12月期と同額の14円(期末一括)としている。予想配当性向は30.0%となる。

 セグメント別営業利益計画は、日本金融事業が22.9%増の57億22百万円、韓国およびモンゴル金融事業が8億37百万円(23年12月期は33億34百万円の損失)、東南アジア金融事業が17億32百万円(同10億19百万円の損失)、不動産事業が89.5%減の11億33百万円、投資事業が1億53百万円(同20億72百万円の損失)、その他事業が50百万円(同55百万円の損失)としている。

 日本金融事業は信用保証業務、債権回収業務、証券業務が順調に伸長して大幅増益を見込む。韓国およびモンゴル金融事業は質の成長を目指し、貯蓄銀行業務と債権回収業務による安定的な利息収益計上を見込む。東南アジア金融事業は、インドネシアでは銀行業務の積極的な貸出残高の増強など、債権回収業務の買取債権増加による収益機会の拡大、カンボジアでは富裕者層顧客のニーズを汲み取った商品開発などを推進する。不動産事業では総合不動産会社として商品ブランド認知に注力する。投資事業では裁判費用等の回収コストを抑制しつつ、GL社に対する債権回収強化を図る。

 通期予想は据え置いて、負ののれん発生益の剥落により減益予想としている。ただし、第2四半期累計の営業利益が計画を上回ったことなどを勘案すれば保守的な印象が強く、通期予想にも上振れ余地がありそうだ。積極的な事業展開で収益拡大を期待したい。

■株価は反発の動き

 株価は地合い悪化の影響で急落したが、目先的な売り一巡して反発の動きを強めている。出直りを期待したい。8月13日の終値は356円、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS46円61銭で算出)は約8倍、今期予想配当利回り(会社予想の14円で算出)は約3.9%、前期実績連結PBR(前期実績の連結1株当たり親会社所有者帰属持分1104円10銭で算出)は約0.3倍、時価総額は約490億円である。(情報提供:日本インタビュ新聞社・株式投資情報編集部)

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