京都府宮津市、商業施設に市庁舎移転へ 基本計画策定費を予算計上

2024年5月28日 15:33

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 日本三景の天橋立で知られる京都府宮津市は、老朽化した市庁舎を民間商業施設のミップルビル(宮津阪急ビル、宮津市浜町)に集約する方針を固めた。基本計画策定費1,500万円を2024年度一般会計補正予算に計上し、6月市議会に提案する。商業施設への公共施設入居は全国各地で増えているが、市庁舎の全面移転は京都府で初めて。

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 宮津市役所は1962年完成の本館、1974年完成の新館(ともに宮津市柳縄手)、1961年完成の別館(宮津市本町)で構成されるが、老朽化が著しいうえ、新耐震基準不適合で、バリアフリー化もできていない。

 宮津市は4月末で人口約1万6,000人。終戦直後の1947年の約3万6,300人をピークに減少を続け、2040年に約1万800人、2065年に約5,200人に減少すると推計されている。65歳以上の高齢者が全人口に占める割合は2019年で40%を超え、社会保障負担の増大などから財政がひっ迫している。

 5階建てのミップルには2017年、3、4階の約8,000平方メートルに「宮津市福祉・教育総合プラザ」として子育て・障害者生活支援センター、図書館、市の健康福祉部、教育委員会事務局などを集約している。新庁舎整備を検討していた有識者会議は2024年3月、ミップルへの市庁舎全面集約が望ましいとする答申を城﨑雅文市長に提出した。

 今回の予算措置は答申を受けた対応で、ミップルの施設所有者である阪急電鉄、京都府福知山市に本社を置き、ミップルで商業施設を運営する地場流通業の「さとう」と協議開始で合意している。

 商業施設に市庁舎を全面移転する例としては、宮城県石巻市役所が2010年、さくら野百貨店石巻店跡に移転したほか、栃木県栃木市役所が2014年に福田屋百貨店栃木店跡、茨城県土浦市役所本庁舎が2015年にJR土浦駅前複合施設のイトーヨーカドー土浦店跡に入居している。(記事:高田泰・記事一覧を見る

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