赤字脱出、インバウンダー回復で収益様変わりのハナツアーの足元

2024年4月2日 08:48

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 インバウンダーの復活が報じられている。観光局のまとめによると、昨2023年の訪日外国人観光客数は2506万人と、コロナ禍前に比べ8割方の回復を見せた。かつては「爆買い」が代名詞だったが、志向が変化「体験型」が主流にとされる。

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 がそれでも彼らが昨年日本に落とした金は、5兆2923億円。フードサービス協会では「3月の加盟各社の売上高は11.4%増。インバウンド需要で単価の高いメニューの注文増が主たる要因のひとつ」としている。観光立国を標榜する日本にとっては、待ちわびた流れの再来といえよう。

 個々の企業事情からしても、それは同様のようである。

 最たる例が、HANATOUR JAPAN(東証グロース。以下、ハナツアー)などに見て取れる。

 インバウンド専門の旅行会社。2020年12月期:営業損失21億8600万円/21年12月期:同20億2300万円/22年12月期:同13億9300万円。それが前12月期「156.1%増収、8億1900万円営業黒字」に転じ、今12月期も「26.1%の増収(65億円)、58.6%の営業増益(13億円)」計画。

 ハナツアーは韓国の現法からのインバウンドに対する旅行の手配をはじめ、東南アジア・中華系国・欧米の現地エージェントと提携したインバウンドの旅行手配業を展開している。

 日本国内での現地ツアーや交通バス、各種チケットの販売サイトも設営。BtoB(BtoCも予定)向けにワンストップで旅行サービスを提供・販売サイト「Gorilla」を立ち上げ、ホテル・各種チケット・交通バス・レストランチケット・オプショナルツアーなどの旅行商材を販売している。

 具体的にはグループ企業が貸し切り観光バス・貸し切り大型タクシーやホテルの運営を手掛けている。韓国語・英語に堪能なコンシェルジェがそれぞれに配備されている。

 前期の決算資料には「事業の中軸の韓国をはじめとした、順調に回復しているインバウンド状況」、厳しい時期に「徹底した合理化・効率化施策の奏功」が読み取れる。また例えば好採算のホテルの買取りの強化など、「積極策に出るタイミング」を示している。

 厳しい環境下(だからなしえたのか、にもかかわらず行ったのかは判断しかねるが)で、22年12月末時点でハナツアーは東証グロース市場の上場基準のうち、25%が必要な流通株式比率が24.6%に止まっていた。が23年12月末では26.4%と基準をクリアした。株価が今後回復傾向を強めると想定するなら、好材料といえる。

 過去1年余の株価動向は昨年初めの1481円から反発・押し目を繰り返しながら昨夏の2743円を経て、本稿作成中の時価は1700円水準。四季報は来期の「23%営業増益」を独自予想し、今期or来期の配当を見込んでいる。押し目買いに徹し、収益動向と相談しながら対峙するのが賢明か・・・(記事:千葉明・記事一覧を見る

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