「風」ではない「wind」を使ったスラング2選! イギリス英語のスラング特集 (32)

2024年3月17日 18:04

印刷

 「wind」と言うと、多くの人は「ウィンド(風)」のことを想起するが、英語ではもう一つ、「巻きつける」、「曲がりくねる」という意味の動詞の「wind」(ワインド)もある。

【こちらも】「whinge」で「泣き言を言う」? イギリス英語のスラング特集 (31)

 今回取り上げるスラングは、そんな後者の「wind」を使ったフレーズだ。どちらも他人の行動や態度に対して使用されることが多いが、具体的にどんな意味を持つスラングなのか探っていこう。

■Wind your neck in

 「wind your neck in」は、「余計なお世話だ」、「おせっかいはやめろ」、「落ち着け」などさまざまな意味を持つフレーズだ。

 要は、関係ないことに首を突っ込みたがりな詮索好きの人に対して、「首を引っ込めろ」と言うようなニュアンスに近い。親しい間柄のからかいから深刻な叱責までさまざまな状況で使える便利な表現だ。

 意味的には「mind your own business」に近いが、それだけでなく、「calm down」(落ち着け)という意味で使われることも多い。相手が怒りや興奮で取り乱しているときなどに、冷静になるよう促す際に使う。

 このフレーズの由来にはさまざまな説があるが、北アイルランドの農民が家畜に呼びかけるときに使っていた言葉という説が有力だ。

 牛などの家畜が言うことを聞かず、あっちに行ったりこっちに行ったりするのを叱る際に、「wind yer neck in」と言っていたらしい。それが時間が経つうちに、ほかのコミュニティにも広がり、日常会話のスラングとして定着したと考えられている。

 ・You should wind your neck in and stop talking about things you don't understand.
 (余計なお世話だ、わからないことについて話すのはやめろ)

■Wind-up merchant

 「wind-up merchant」とは、人をわざとイライラさせたり怒らせたりするような人物を指すスラングだ。ぴったりくる訳語はないが、無理に訳すとしたら「からかい屋」や「いたずら好き」あたりになるだろう。

 日本ではほとんど知られていないフレーズだが、イギリスでは新聞やテレビなどでも見聞きする。日常のカジュアルな会話のなかでも耳にすることがあるから、わりと一般的なスラングと言えるだろう。

 この表現は、「to wind someone up」(誰かをからかう、挑発する、イライラさせる)と、「wind-up toy」(ぜんまい仕掛けのおもちゃ)からなる。まるでおもちゃのぜんまいを回してその反応を楽しむ子供のように、人を挑発してその反応を楽しむ人物のことを指しているわけだ。

 ちなみに、「merchant」には「商人」という意味があるが、ここでは関係ない。ここでの「merchant」は、特定の性質や特技を持つ人物を指す口語的な表現だ。たとえば、「a speed merchant」 (車のスピード狂)という表現がある。

 ・He is such a wind-up merchant, always teasing people and starting arguments.
 (彼は本当にいたずら好きで、いつも人々をからかったり口論をふっかけたりしている)(記事:ムロタニハヤト・記事一覧を見る

関連キーワード

関連記事