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イギリス英語の独特な魅力の1つに、その表現の豊かさがある。「whinge」というスラングはその好例だ。アメリカ英語ではほとんど使われることのないこの単語は、イギリスでは愚痴や不満を表す際に頻繁に用いられている。
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今回は、「whinge」の起源と発展、それに、現在の使われ方を探りながら、この言葉がどのように日常会話の中で生き続けているのかを見ていこう。
■Whinge
アメリカではほとんど聞かれない言葉だが、「whinge」はイギリスではかなりポピュラーなスラングだ。意味は「moan」や「groan」に近く、哀れっぽく、また、愚痴っぽく不満を垂れる様子を指す動詞として用いられている。カタカナで書くと「ウィンジ」に近い発音だ。
「whinge」の語源は、「whine」(発音は「ワイン」、意味は「すすり泣く」、「泣き言を言う」)と同じく古英語に由来している。
「whine」は、「hwinan」という矢が風を切って飛ぶときのような「シュン」という音に由来するが、「whinge」の語源は、犬がクンクンと泣く音を表す「hwinsian」である。なお、馬のいななきを表す「whinny」も、これらと似たようなルートを辿って生まれたと考えられている。
記録によると、「whine」が1275年、「whinge」が1150年には存在していたので、相当古い言葉であることがわかる。最初はどちらも擬音語だったが、時間が経つうちに不満や苦情を言う意味に変化していった。
現在アメリカでは、「whine」しか使われていないが、イギリスでは「whine」も「whinge」もよく使われている。
両者の違いは、「whine」が人や動物の泣き声(鳴き声)から無生物の出す音まで多様な意味をカバーする一方、「whinge」は不平不満や泣き言、わがまななど人の愚痴に特化していることだ。なお、両者の意味を強調するために、「Stop your whingeing and whining!」とセットで使う場合もある。
語源をさかのぼると非常に長い歴史を持つ「whinge」だが、よく使用されるようになったのは1980年代以降である。
・Stop your whingeing and whining, and get on with your work!
(愚痴や不平不満を言うのをやめて、仕事に取りかかれ!)
・I wish she wouldn't whinge about every little thing.
(彼女が些細なことに対して愚痴を言わないでくれたらいいのに)(記事:ムロタニハヤト・記事一覧を見る)
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