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【QAあり】パワーソリューションズ、ラストワンマイル領域のDX推進を支援するニッチトップ企業として継続成長を実現
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目次
高橋忠郎氏(以下、高橋):株式会社パワーソリューションズ代表取締役社長の高橋です。この度は当社の説明会にご参加いただきまして誠にありがとうございます。
目次はスライドに記載のとおりです。まず当社について紹介し、2023年12月期の決算内容、2024年12月期の通期連結業績見通しに触れたあと、当社が掲げている中期経営計画の概要とその進捗についてご説明します。
パワーソリューションズ 知ってほしい3つのこと
高橋:会社紹介です。本日は、当社について知ってもらいたいことが3つあります。
1つ目は、パワーソリューションズはラストワンマイル領域のDX推進が得意分野で、M&Aやアライアンスによってサービスの幅を拡大中だということです。
2つ目は、NISA改革で脚光を浴びる金融・資産運用分野において、DX推進を伴走支援するニッチトップ企業として安定成長中だということです。
3つ目は、オーダーメイド開発だけでなく、マルチSaaSソリューションを組み合わせたローコードなソリューション提案で、幅広い産業分野の業務DXを進行中だということです。
会社概要
高橋:当社はBtoB、つまり企業向けのIT会社です。連結子会社にはエグゼクション、および2023年4月のM&Aでグループ会社となったミニコンデジタルワーク、そして2023年10月に新設したOLDEがあります。
パワーソリューションズとは
高橋:パワーソリューションズを端的に表すと、「ラストワンマイル領域のDX化を推進するIT企業」です。
ラストワンマイルとは、顧客企業が導入している業界スタンダードの汎用パッケージや、サービスの間にできるスキマ領域の業務のことです。
このスキマ業務は往々にして自動化ができておらず、非効率になっていることが多いため、顧客のお困り領域です。当社はこのラストワンマイル領域のDXを伴走支援しています。
売上高推移
高橋:スライドのグラフは、創業時からの売上推移です。当社は創業時から継続的に、安定した売上高成長を実現しています。
前年度比で売上高が減少したのは過去2回のみです。第8期はリーマン・ショックによる影響、第19期は新型コロナウイルス感染症拡大の影響となっています。
事業領域の拡大
高橋:スライドの図は、2019年10月の上場からの当社の成長を表しています。上場後は、さらなるDX推進のため、M&Aやアライアンスによってサービスの幅を拡大中です。
kenmo氏(以下、kenmo):このあたりから質問を挟めればと思います。直近で3社ほど子会社化しており、今後もまだM&A戦略を推進していくかと思います。どのような企業を買収していこうと考えているかなど、M&A戦略について教えてください。
高橋:スライドにも記載のとおり、DXを推進する上で必要な手段を得ることや、サービスの幅を拡大することを意図して取り組んでいます。
例えば、我々は今まで業務ソフトのアプリケーション開発や業務コンサルティングにおいて、インフラ領域が非常に弱かったのです。そのため、そのような領域を我々のビジネス領域にしようと考え、エグゼクションの子会社化を実行しました。
また、最近の取り組みでは、SaaSソリューションを使ったコンサルティングを行うオーストラリアの会社と業務資本提携を結びました。あるいは、既存業務であったRPA関連サービスをより強化するべくミニコンデジタルワークを買収・子会社化しています。
このように、我々の現状のサービスに足りないところがあれば、そこは積極的に機会を見つけてM&Aを実行していこうと考えています。
事業内容
高橋:現在、当社が顧客企業のDX支援を行っている事業は主に4つあります。DX推進・DXコンサルおよびアウトソーシングがパワーソリューションズのビジネスであり、インフラエンジニアリングが連結子会社であるエグゼクションのビジネスです。また、RPA関連サービスは今年から連結子会社になったOLDEのビジネスです。
成長に向けた両利き経営を実践
高橋:当社の特長です。スライドの図は、当社のポジショニングおよび成長戦略を表しています。
図の右上の業界特化のDX推進・DXコンサルティングで、得意分野を深掘りしていきます。それと同時に、図の左下、業界を問わずDXに必要な技術やノウハウを提供する「両利き経営」を実践しています。
右上の「深化」がターゲットとしているのは、金融・資産運用業界の業界スタンダードなアプリケーションでは解決できない、あと一歩の部分です。当社はその領域を埋める役割を果たすことで、強固な顧客基盤の確立と安定した成長を実現しています。
また左下の「探索」は、DXに必要な技術やノウハウを提供することで、幅広い産業分野のニーズに応えることが目的です。
深化については「貯蓄から資産形成」の追い風を受けていると感じていますし、探索も業界を問わないDXテーマである「業務自動化」の追い風を感じており、当社は2つの追い風を受けているところだと思っています。
参考:金融・資産運用業界の取引実績
高橋:参考までに、スライドには金融・資産運用業界における具体的な取引実績を記載しています。
当社の事業はニッチなポジションとなっていますが、主要な顧客は金融・資産運用業界の大手企業ばかりです。野村アセットマネジメントさんをはじめとする野村グループさんや、三井住友トラスト・アセットマネジメントさん、三井住友信託銀行さんなどの三井住友トラストグループさんが当社の売上高上位企業グループとなります。
参考:UiPathのダイヤモンドパートナー
高橋:探索の部分である業務自動化において、当社グループはRPA市場を牽引する米国のUiPath社のダイヤモンドパートナーになっています。
UiPath社はグローバル企業ですが、日本市場に非常に力を入れており、国内RPA市場のシェアトップの企業です。そのUiPath社のダイヤモンドパートナーとしてのアドバンテージを活かし、業界を問わず幅広い業種に対して着実にライセンス数を増加させています。
2023年度は、UiPath社のグローバル表彰である「Industry Solutions Partner of the Year」を受賞しました。これは日本法人で唯一の受賞です。
大手ITベンダーとの違い
高橋:スライドでは、ほかの大手ITベンダーとの違いという観点で、当社の事業をご説明しています。
左の図を見ると、我々はBtoBの会社ですので、企業A、企業B、企業Cをお客さまとした場合、それぞれIT課題を抱えています。
真ん中の図を見ると、大手ITベンダーは基本的に各社の課題が重なる部分、つまり各社に共通する、いわば最大公約数を解決する汎用システムやサービスを作って提供しています。
一方、右の図が当社の領域で、我々は顧客の個々のニーズが存在する領域を「ラストワンマイル領域」と呼び、課題解決を行っています。
kenmo:こちらのスライドを少し掘り下げたいのですが、DXのニーズが非常にたくさんある中で、大手ITベンダーではリソースが足りない部分を御社が拾い上げていくというイメージでよいでしょうか?
高橋:そのようなイメージでよいと思います。真ん中の図で示した最大公約数を、もう1つの考え方で捉えると、非常に堅牢でセキュアなシステムを作るとなった場合は、やはり大手ITベンダーのほうが得意な領域だと思います。
ただし、先ほどもご説明したとおり、そのシステムは各社共通のものですので、エンドユーザー視点から見ると、あと一歩足りない領域はどうしても存在します。
kenmo:使いにくかったり、「こことここを連携してほしい」という要望があったりしますよね。
高橋:おっしゃるとおりです。そのような複数の背景があり、システムは部門ごとに持っているため、ある意味で縦割りになっています。我々はそこに横串を通しており、ここがけっこう特徴的な部分だと思っています。
岸田彩加氏(以下、岸田):個人投資家からも「金融機関向けSIに強い大手企業との違い、強みについて教えてください」というご質問をいただいています。まさにそのようなあと一歩に手が届くところだと思ったのですが、いかがでしょうか?
高橋:先ほどご説明したとおり、金融機関向けSI会社では堅牢かつセキュア、そして大規模で長い期間をかけて作るようなシステムが多いと思います。要は、開発の規模が重要なシステムだと感じます。
我々はラストワンマイル領域ですので、業務変化の激しい領域で、機動性や柔軟性を活かしたシステム構築や、それらシステムを「つなぐ」ことも含めて手がける場合が多いです。堅牢で強固なシステムは長期間に渡って構築することが多いですが、我々のシステムは何年もかかるプロジェクトが少ないのが特長です。
また、一つひとつのプロジェクトを最初から最後まで完遂した経験数が多いため、プロジェクトマネージャーやプロジェクトリーダーを育成するという面でも強みになっていると思います。
岸田:スピード感を持って取り組んでいるということですね。
当社が推進する「ラストワンマイル領域」のDX
高橋:スライド左側に、例として企業Aの抱えるIT課題を図示しています。先ほどお伝えしたとおり、企業Aでは各部門単位の縦割りでシステムを導入しており、それを使ってIT課題を解決しようとするのですが、図にあるとおり、どうしてもスキマが残ってしまいます。
このスキマが、ニーズが満たされていない部分だと考えると、我々は実際にシステムを現場で利用するユーザーに近いところで、業務の変化に対して、水を注ぐようにソリューションを提供しています。ここが当社の特長だと思います。
我々のシステム開発のアプローチは、右の図のイメージのように、お客さまの全体業務を俯瞰的な視点でよく考え、スキマを発見し、そのスキマにRPA等のローコードな先端ITサービスをくっつけて、それでも残るラストワンマイルは自ら埋めるというものです。
このようなアプローチでDXを推進し、業界スタンダードな汎用パッケージやサービスだけでは未解決であった企業AのIT課題を解決しているとご理解ください。
ミッション / ビジョン
高橋:当社のミッションとビジョンをご紹介します。2022年に創業20周年の記念プロジェクトとして、ミッションをあらためて言語化しました。
「あらゆるラストワンマイルに、ITで立ち向かう」が私たちの使命です。「ラストワンマイル」は当社の事業を象徴する言葉ですので、ぜひ覚えていただければと思います。
また、当社が目指す未来として「誰もが新たな一歩を、踏み出せる社会」をビジョンに掲げています。
ラストワンマイル領域は非効率になっていることが多く、そのような非効率な状況に対してITを活用した解決策を提供することができれば、人はより創造的な仕事に挑戦することができます。
「人間の力をもっと、創造すること」のために私たちは尽力していきたいと考えています。
岸田:ここで視聴者からのご質問をご紹介します。「顧客は毎年どのくらい増加しているのでしょうか?」とのことですが、いかがでしょうか?
高橋:先ほど、両利き経営についてお伝えしましたが、深化の部分は資産運用会社自体がそれほど多くないため、着実に増えてはいるものの数社です。
反対に「探索」については、RPAのライセンスを中堅・中小企業にも販売しており、数十から数百の単位で増加しています。
kenmo:お客さまを獲得する方法として、こちらから営業をかける、お客さまから依頼がくる、あるいはご紹介などさまざまな方法があると思います。どのようなかたちでお客さまと接点を持つのでしょうか?
高橋:まず、DX推進・DXコンサルティングについては、資産運用業界を主なターゲットとしています。こちらは顧客の人材の流動性が非常に高い業界で、我々が担当しているお客さまのシステム担当役員が転職して別の資産運用会社に行くといったことがけっこうあります。その場合に、転職した方からまた仕事の依頼をいただくことも多いです。そのため、我々は顧客満足度を重視しており、高い顧客満足度が我々の営業力の源泉だと考えています。
2023年12月期 連結決算ハイライト
高橋:2023年12月期の連結決算のご説明です。まずは決算概要として、主に中期経営計画で数値目標を設定している項目についてご説明します。
2023年12月期は連結で、売上高は前年同期比11.6パーセント増の59億3,100万円、経常利益は前年同期比33.5パーセント増の6億2,700万円、当期純利益は前年同期比40.3パーセント増の4億4,600万円となりました。いずれも2桁成長を達成しており、好調です。
売上高は、開発期間が比較的長期にわたるレベニューシェア型のシステム開発案件に取り組んだ影響などがあり、当初の予想に対しては未達となりましたが、ほぼ想定どおりの着地となっています。
経常利益および純利益は、VCファンドからのリターンにより大きく増加し、前年同期比で大幅な増益となりました。
KPIの1つである総人員数は、正社員、契約社員、ビジネスパートナーからの派遣スタッフ等の総数です。こちらは中計の2024年度目標を前倒しで達成できています。
P/Lサマリー(参考)
高橋:スライドは参考としてのP/Lサマリーです。前ページで数値の記載がなかった営業利益は、中期経営計画どおり成長投資に注力しつつ、前年同期比0.6パーセント増と利益を守りながら進捗しています。
2024年12月期 通期連結業績見通し
高橋:2024年12月期通期の連結業績見通しについてご説明します。売上高は前年同期比14.6パーセント増の68億円、営業利益は前年同期比21.8パーセント増の5億7,700万円です。
経常利益は前年同期比4.3パーセント減の6億円、当期純利益は前年同期比11パーセント減の3億9,700万円を予想しています。
売上高・営業利益は、引き続きDX推進・DXコンサルティングおよびRPA関連サービスの業績向上を見込んでおり、2023年度を上回る予想です。
営業利益は、売上高の成長や子会社であるエグゼクションののれん償却が完了したことなどから、人材採用・人材育成・R&Dなどの成長投資を行いつつも、前年同期比で21.8パーセントと大幅な成長を見込んでいます。
経常利益・当期純利益については、2023年度に発生したVCファンドからのリターンによる一過性の増益の反動で前年同期比では減少します。しかしその影響を除くと、前年同期比20パーセントの増益を見込んでおり、継続的な成長を維持しています。
岸田:個人投資家の方から「中計では2024年度に利益を伸ばす計画ですが、これは投資を控えて利益を確保するということでしょうか?」というご質問です。
高橋:成長投資の額自体は伸ばしているため、成長投資を控えて利益を出すのではなく、売上が伸び、成長投資も継続しながら利益を出すかたちです。
kenmo:具体的にはどのようなところへの成長投資がありますか?
高橋:大きく3つです。1つ目は人材確保です。2つ目は、当社が人材育成として行っている社内大学のような取り組みにかかるコストです。
3つ目はR&Dです。我々のR&Dは、研究開発をするというよりはリサーチです。海外SaaSでどのようなものがこれからのDXに必要なのかをリサーチし、それを現行のDX推進・DXコンサルティングに適用しています。大きくはそれら3つを成長投資として考えています。
中期経営計画(2022年〜2024年)基本方針の前提
高橋:中期経営計画の概要をご説明します。スライドは、2022年から2024年までの中期経営計画の前提となる考え方です。
DX市場は中長期的な追い風で、当社の強みを活かせる状況だと判断しています。したがって、2022年からの3年間を大きな成長を目指した基盤固めの期間と位置づけ、利益を守りながらも事業拡大に向けた成長投資を行います。
中期経営計画(2022年〜2024年) 基本方針
高橋:中計の基本方針はスライドに記載の3つです。1つ目は人的資本への投資強化、2つ目はマネジメント強化、3つ目はR&Dとしての先端IT商材の有用性検証です。
これらの基本方針に基づいた施策のトピックスは後ほどお伝えします。
中期経営計画の進捗状況
高橋:基本方針に基づいて経営を進めている中期経営計画の進捗をご説明します。スライドは、上場期から2024年12月期までの売上高・経常利益の推移と、中期経営計画の目標値を比較した図です。
当社は中期経営計画の目標値において売上高と経常利益を重視しており、2022年・2023年ともに目標値を達成しています。2024年も目標値を達成見込みであり、3年間を通して中期経営計画の進捗は順調です。
中期経営計画の事業別売上高進捗状況
高橋:当社が提供するサービス別の売上高進捗の内訳です。当社グループの主力ビジネスであるDX推進・DXコンサルティングは、中計の目標値を上回って進捗しています。また、RPA関連サービスは計画を大幅に上回って進捗しています。
一方で、アウトソーシングサービスは業務スペシャリストをIT人材にシフトさせるためマイナス成長です。しかしながら、全社的な業績は目標値を上回る結果となっています。
kenmo:4つの事業があり、それぞれに事業部があって縦割りの組織というイメージでしょうか?
高橋:4つのうちのインフラエンジニアリングは、子会社であるエグゼクションのビジネスです。また、RPA関連サービスは、今期からOLDEの事業となります。
DX推進・DXコンサルティング、アウトソーシングは当社のビジネスで、3つの本部がそれらを担当している状況です。
kenmo:事業間でのシナジーについても教えてください。
高橋:DX推進・DXコンサルティングは、お客さまに対してDXの支援を行っています。そのDXの手段として、例えばRPAが必要であればRPA関連サービスを提供しているOLDEと協働します。あるいはクラウドインフラが必要であれば、エグゼクションと協働するといったかたちでの事業シナジーがあると考えています。
kenmo:DX推進・DXコンサルティングについて、DXには広いイメージがありますが、今の顧客課題としてはどのようなものが多いのでしょうか?
高橋:当社の顧客企業は、すでに各部でいろいろなシステムを導入しており、各システムが持つデータをその部署だけで使っている状況です。そこに横串を通して複数部門でのデータの統合ができれば、今までしていた無駄な作業が削減されたり、業務フローが変わったりします。そのような課題に対応することが多いです。
中期経営計画の財務目標進捗状況
高橋:中期経営計画で掲げている財務目標の進捗状況です。ROE・ネットD/Eレシオについては目標値を達成しています。
株式還元については、個人投資家向けIR強化など、一部しか対策できていませんでしたが、現在、配当や株主優待について前向きに検討中です。
kenmo:還元について、個人投資家の方から「これまで配当がなかった理由を教えてください。また、今後についてはどうでしょうか?」というご質問です。
答えられない部分もあると思うのですが、条件や方針の提示をいつ頃までに行いたいかなどを教えていただけますか?
高橋:中計の目標として、株主のみなさまから応援されるような会社を目指すために、この2年間ほど株主還元についていろいろなリサーチや検討をしてきました。現在、打ち手として特に配当や株主優待について、どのような順番で対応していくかを整理しているところです。その内容を実行に移せればと考えています。
岸田:「ROEは15パーセント以上ありますが、業界の中では高いほうでしょうか?」というご質問です。
高橋:中期経営計画でも12パーセント超を目指すとしており、これは業界においても恥ずかしくない数値だと考えています。現状では良い状況で推移しているとお考えください。
TOPIC 1.-1 採用強化・パートナー推進
高橋:中期経営計画の基本施策に対するトピックです。まずは基本方針の1つ目、「人的資本への投資強化」に対する施策についてです。
当社は人材獲得のための施策を積極的に行っています。2023年度末時点で、ビジネスパートナーを含めたグループ総人員数は668人で、2024年の目標値を1年前倒しで達成しました。
kenmo:御社のような業態だと、どうしても人がたくさん必要だと思います。いろいろな会社が採用に苦労していますが、御社の採用計画や戦略について、今後どうしていきたいかを教えてください。
高橋:人材獲得の方法としては採用のほか、M&Aもあります。今後も、M&Aについては機会を見つけて実施しますが、計画として何社が加わるかはお伝えできません。
採用についてはグループ全体として60名から70名程度、中途採用と新卒採用を半々くらいの割合で考えています。
ただし、中途採用がなかなか難しい状況も理解しています。その中で我々が取り組んでいる他社と違う施策は、もともとSI企業で働いていて退職された主婦の方の採用です。時短勤務や週3日勤務の制限はありますが、積極的に採用を進めており、採用人数は10名を超えています。
ポテンシャル採用では、他業種など、未経験者を採用しています。当社は教育に力を入れており、教育カリキュラムは非常にしっかりしていると自負しています。こちらも積極的に採用を進め、かなりの成果が出ていると感じています。
kenmo:紹介での採用が多いのでしょうか?
高橋:リファラル採用の話かと思いますが、こちらも制度を確立し、高額な報酬を社員に還元しています。一定数の採用はありますが、さらに強化しているところです。
TOPIC 1.-2 M&A・アライアンス推進
高橋:3つ目の基本方針である、R&D投資にも関連する施策として、新本部の設立および豪州に本部を置くSazae社との提携を行いました。
当社のR&D投資の特長は、ゼロからプロダクトを作るのではなく、すでに世の中にあるプロダクトをリサーチし、選定し、その有用性を検証し、既存サービスに活用することです。
このR&D投資をより一層推進するため、2023年4月にオープンイノベーション本部を新設しました。また、2023年4月にSazae社と資本業務提携を締結しました。Sazae社は海外SaaSを利活用したITコンサルティング企業であり、米国で浸透しつつあるマルチSaaSインテグレーションを先行実現している会社です。
すでに多くのSaaSを取り扱っており、当社の海外SaaS知見の補完およびリソースパートナーとして、協業を開始しています。
TOPIC 1.-2 M&A・アライアンス推進
高橋:2023年4月には、M&Aによりミニコンデジタルワークを子会社化しています。ミニコンデジタルワークは、RPAを活用した業務改善支援およびシステムエンジニアリングサービスの提供を行っている企業です。
当社のRPA関連サービスとの親和性が非常に高く、RPAの人材およびノウハウを相互に補完することにより、両社のRPA関連サービスの、より積極的な事業拡大を目指しています。
TOPIC 1.-2 M&A・アライアンス推進
高橋:今後、パワーソリューションズグループとして、RPA事業領域をさらに強化するため、パワーソリューションズのRPA関連サービス事業部であったデジタルインテグレーション推進本部をカーブアウトし、ミニコンデジタルワークに合流させました。
そして、リソースの共有などによるシナジー効果を目的に、今年より「株式会社OLDE」として再出発しました。今後も、RPA関連サービスの事業のさらなる成長を目指します。
TOPIC 1.-3 人材育成推進
高橋:人材育成推進についてご説明します。今後の人員規模拡大をサポートするために、階層別研修による優秀なマネージャー育成、社内のナレッジ共有による生産性向上、また新技術リサーチにより得た知見を共有することで、IT人材からDX人材への育成を行っていきます。
TOPIC 1.-3 人材育成推進
高橋:人材育成の仕組みとして、昨年1月から「Next Mile University(略称:ネクスト大学)」という社内大学を開校しています。社内大学とは、企業が社内に設置する研修制度の一種です。
社内の有識者を講師とする講座はもちろんのこと、社外の研修サービスなども積極的に取り入れています。何かを「教わる」だけでなく、コンサルタントやエンジニアのこれまでの経験を、社内研修講師として社員に「教える」ことを通じて、社内人材のバリューアップを図っています。
大学の講義録はデジタル社内報でも発信しています。社員は講義を通して新しい技術を習得したり、業務の知識を体系的に学んだりします。また、プロジェクト事例の共有など、同じような過ちをほかの人が犯さないようにするために、失敗談も紹介しています。
kenmo:ネクスト大学について、社員の評判はいかがでしょうか?
高橋:これまで教育はOJTに偏っていましたが、教育制度がバックにあるため、非常に安心していただいています。また、現場では局所的なことについて詳しくなれますが、体系的に物事を知ることが手薄になりがちです。そのような点もカバーできるという声をよく聞きます。
kenmo:プロジェクトの失敗を共有する話は、とても良いと思いました。1つのプロジェクトが終わると、次のプロジェクトにアサインされていくものですが、知見としてデータベースとして後世に伝えていくことは、非常に良い取り組みだと思います。
高橋:『しくじり先生』というテレビ番組をもじったような講義もありました。失敗した本人から話を聞くと「本当に気をつけなければ」と、みんなにきちんと伝わっていきますので、良い効果が出ていると思います。
パワーソリューションズ 知ってほしい3つのこと(再掲)
高橋:「知ってほしい3つのこと」について、本日のおさらいです。
1つ目は、パワーソリューションズは、ラストワンマイル領域のDX推進が得意分野であり、M&Aやアライアンスでサービスの幅を拡大しているということです。
2つ目は、NISA改革で脚光を浴びる金融・資産運用分野で、DX推進を伴走支援するニッチトップ企業として、安定して成長しているということです。
3つ目は、オーダーメイド開発だけでなく、マルチSaaSソリューションを組み合わせたローコードなソリューション提案で、幅広い産業分野の業務DXを進行中だということです。
以上で、ご説明を終了します。最後までご清聴いただき、ありがとうございました。
質疑応答:競合他社の状況と、業界でのポジショニングについて
岸田:「資産運用会社向けのSIについて、競合他社の状況と、業界でのポジショニングを教えてください」というご質問です。
高橋:我々のラストワンマイル領域は、顧客企業のIT部門が担当することが多いです。大きな金融機関では、系列のシステム子会社が競合他社に該当しますがラストワンマイル領域として、明確な競合はいないといえます。
岸田:競合がいないのはすばらしいことですね。
高橋:今お話ししたのは、深化と探索の「深化」である金融・資産運用業界の部分です。しかし「業務自動化」という非常に大きなテーマで見れば、当然ながら競合は存在します。いわゆるITコンサルティングファームや、一般的なSIerが競合になることはあります。
岸田:その中で御社の立ち位置はどのようなものでしょうか?
高橋:業務自動化でいえば、UiPath社のダイヤモンドパートナーとして、実力を認められているところです。そこが1つの強みになっていますし、ほかの海外SaaSも組み合わせて提案できることも強みです。
岸田:確かに、ダイヤモンドパートナーは9社ほどしかいないというのは、かなりの強みですね。
高橋:その9社は日本を代表するような会社です。我々は、その中で見ると小さな会社ですが、ダイヤモンドパートナーでいられることは、大きな強みだと思っています。
質疑応答:人材不足解消への取り組みついて
kenmo:他社の直近の決算を見ていると、業績悪化の中で下方修正しています。採用を拡大したものの、プロジェクトマネジメントができる人材、いわゆる「PM人材」が育たず、プロジェクトが破綻したという話があります。
御社において、現状でPM層が不足しているなど、プロジェクトマネジメント上の課題やリスクで顕在化していることはありますか?
高橋:PM層と言いますか、プロジェクトリーダー層が足りないという話はありますが、いろいろな手を打っています。
例えば、システム開発はプロジェクトが終わると保守のフェーズに入ります。PM層が保守を担当していると、そこがネックになり、新しい案件に全力で立ち向かえないことがあります。そのため、保守のチームをきちんと組成し、一括して既存の保守を受けることで、100パーセントの力で新しい案件に立ち向かえるようにしています。
また、金融機関のSIerといえば大規模なプロジェクトを想像すると思います。当社はフロントに出て、その中でも小粒の案件を、最初から最後までたくさんこなしています。ある意味、それ自体がPMとしての人材育成になっており、それが当社の強みだと思います。
大規模なプロジェクトで人材を育成しようとすると、一部の工程には詳しくなっても、3年後にPMとして小さい案件がこなせないかもしれません。しかし当社のPM層は、誰にも負けないくらいのプロジェクト完遂経験を初期の頃から積んでおり、その数には一定の自負があります。
質疑応答:10年後の企業像について
kenmo:「10年後に目指したい企業像について教えてください」というご質問です。
高橋:我々はラストワンマイル領域について、これまではスクラッチで開発することが多かったのですが、そこに「UiPath」を入れたり、今でいえば「Smartsheet」や「Boomi」などにあたる新しいSaaSソリューションを入れたりしています。
そして、「作る」ことから「組み合わせて使う」というソリューションへ変えていきたいと考えています。そうすることで納期が短縮できますし、古くならないようなシステムを作ることができると思います。
「10年後に目指したい企業像」という話でいえば、作る割合を大きく減らし、既存のSaaSソリューションをいかにうまく組み合わせるかに注力できる会社、そのようなコンサルティングがきちんとできる会社を目指したいと考えています。次期中期経営計画は、そのあたりを意図して打ち出したいと思っています。
kenmo:ご期待いただければということですね。
岸田:これからが楽しみですね。
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