月面の夜間電力を賄うNASAの小型原子力発電プロジェクト

2024年2月9日 08:57

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核分裂表面発電プロジェクトのイメージ。(c) NASA

核分裂表面発電プロジェクトのイメージ。(c) NASA[写真拡大]

 JAXAの月面探査機SLIMによる月面着陸成功のニュースは記憶に新しいが、太陽光パネルが当初意図した方向を向いておらず、電力確保上の懸念が生じた。月面探査では如何に持続的にエネルギーを確保できるかが重要課題だ。NASAは1月31日、太陽光発電ができない場合でも電力を確保する、核分裂表面発電プロジェクトの最新情報を公開した。

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 NASAによると、月面での核分裂表面発電プロジェクトは、開発初期段階(フェーズ1)を終えようとしているという。

 このプロジェクトは、月面の太陽光の当たらない場所で電力確保を可能とするための具体的取り組みで、NASAは少なくとも10年間は人類が月面で継続的に滞在できる電力供給システムの開発を目指している。2022年には、約500万ドルの開発委託契約を3件、民間パートナーと締結し、初期設計を依頼している。

 現在はコンセプト設計が完了し、電力供給システムの概要が示されている。重量6トン未満、出力40kWの小型原子炉で、これは米国の一般家庭33世帯分を賄える能力だという。また少なくとも10年間はノーメンテナンスで稼働可能とするために、宇宙からの放射線被ばくを回避させるための遮蔽技術にも開発の重点が置かれている。

 今後は3社から提案されたフェーズ1設計を検証し、最適なアイデアを選択。2025年に公募が予定されているフェーズ2へと移行させる予定となっている。なお、この電力供給システムが実用化され、月面での稼働が始まるのは2030年代初頭の見込みだ。

 この月面における無人原子力発電所が成功を収めれば、その技術は次の火星に人類を送り込み長期滞在させるミッションにも応用ができると期待されている。

 この技術の成功は、月面基地建設の候補地範囲拡大も意味する。従来月面基地建設は、強烈な太陽光に長時間さらされ、太陽光パネルが高温で機能しなくなるリスクを回避するため、局地付近でかつ、適度な強さの太陽光が当たる地域に限定されてきた。だが太陽光が全く当たらない場所でも、滞在可能となるのだ。月が核で汚染されないようくれぐれも慎重にプロジェクトを進めてもらいたいものだ。(記事:cedar3・記事一覧を見る

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