ゼンショーHDも1日にして成らず 創業者CEOが「茶月に足を向けて寝られない」とする理由

2024年1月16日 09:00

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 ゼンショーホールディングス(東証プライム。以下、ゼンショーHD)のパワーを今、改めて感じさせられている。2021年3月期/22年3月期は営業減益を強いられたが、23年3月期は「135.4%営業増益、2円増配24円配」。そして今3月期は「15.2%増収、84.5%営業増益、73.4%最終増益、16円増配40円配」で立ち上がり、昨年11月10日に「23%増収(9600億円)、134.7%営業増益(510億円)、126.2%最終増益(300億円)、50円配」に上方修正。

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 周知のとおりゼンショーHDは、時価総額経営を執っている。株価上昇を最優先する経営手法だ。本業を伸ばすだけでなく、不採算事業の譲渡・企業買収・ファンドへの投資によりフリーキャッシュフローを膨らませ株価を上昇させる。

 そしてゼンショーHDの時価総額経営の床の間にデンと構えているのが、M&Aだ。直近でも「増資と第三者割当で最大500億円を調達、海外の飲食チェーン店の買収に充てる」と発信している。

 ゼンショーHDを覗き込んでみて「へえ~」と思ったのは中核4事業の1つとして、「介護事業」と記されていた点。入り口はやはりM&A。2014年1月末に「輝(札幌市。北海道で高齢者向け住宅や住宅型有料老人ホーム17棟を経営していた)」を傘下に収めている。現在、北海道以外でも、愛知・千葉・埼玉・茨城の各県で運営している。

 ところで現在のゼンショーHDの強さを覗くと、「最初からトントン拍子で進んで来たのか」と底意地の悪さが頭に浮かぶ。

 端からトントン拍子ではなかったようだ・・・2010年11月「すき家」の勤務状況が「ブラック批判」の晒されていた最中、創業者CEOの小川賢太郎氏は週刊東洋経済のインタビューに応じ創業期をこう語っている。

 「世界1の牛丼チェーンを掲げ資本金500万円で、45坪の2階建て倉庫を15万円で借り本社・本部として商売を始めた。イートインなど出来っこないから6坪の店を6万円の家賃で借りて、弁当屋として・・・」

 「2年半で7店舗作ったけど、マグドナルドやケンタッキーはがんがん伸びていたけど2年半で7店じゃ世界1になるには3万年もかかっちゃう。7店で作った金を元に原点の牛丼屋、11坪くらいで15席ほどの店を11万円の家賃で出した。でも月商500万円の予定が精々330万円。損益分岐点が300万円くらいなので、ものの見事に失敗。でも500万円を投じていたから、店を買い取ってもらわなくては・・・となった」

 「今でも茶月(持ち帰り寿司業)に、足を向けて寝られない」

 ちなみにゼンショーHDの本稿作成時の時価は7300円台前半、IFIS目標平均株価8450円。2015年の初値を買い保有していると修正済み株価ベースのパフォーマンスは7.3倍強。後は各位がご判断を・・・(記事:千葉明・記事一覧を見る

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