ドコモら、EVを用いた基地局電源救済システムの実証実験 災害対策を強化

2024年1月13日 10:56

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EVと基地局を接続し給電する実証実験のイメージ(画像:NTTドコモの発表資料より)

EVと基地局を接続し給電する実証実験のイメージ(画像:NTTドコモの発表資料より)[写真拡大]

  • 実証実験の概要(画像:NTTドコモの発表資料より)

 NTTドコモは12日、電気自動車(EV)を活用した基地局電源救済システムに関する実証実験を開始すると発表した。実験では、EVから基地局への電力供給や、AIによる効率的なEV配車計画の生成などを検証する。停電を想定した災害対策強化の1つとして位置づけており、ドコモとNTT、リース事業を手がける日本カーソリューションズ(NCS)の3社で実施する。

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 実証実験に用いる基地局電源救済システムは、ドコモの基地局電力を制御するエネルギー・マネジメント・システム(EMS)基盤をベースに、AIによる配車計画と、EVの位置情報や蓄電量などのデータ収集・可視化機能で構成される。巡回ルートなどの配車計画の生成には、NTTが研究開発を進めている深層強化学習を活用。最適なEV配車のもととなるEVデータの収集はNCSが担う。

 実験は、千葉県内の広域停電を想定して行う。EMS基盤が把握した各基地局の蓄電状況をもとに、給電計画を策定。給電計画を実現するEVの配車計画は、AIを使って作成する。AIは、基地局の場所とEVの現在位置や蓄電状況などのデータをもとに、派遣に最適なEVを抽出して巡回ルートを生成する。

 ドコモらは、計画にもとづくEV配車・給電を実際に行い、計画の有効性や効率的な電力給電が可能かなどを検証する予定。その中で、基地局電源救済システムの評価や課題の洗い出しを行う。

 基地局は、携帯電話などの無線通信を可能にする電波の橋渡しを行う。災害時には特に重要性が高まるため、ドコモはこれまでも基地局の停電対策を講じてきた。電源停止の異常発生時には、まず予備バッテリーが作動し、停電が長引いた場合には自家用発電機が稼働する。

 衛星通信を利用して、通信が閉ざされた地域の通信環境を一時的に構築する、移動無線基地局車なども配備している。年初に発生した能登半島地震の際は、船舶上に基地局の設備を設置した船上基地局を配置。1月6日より石川県輪島市の沿岸付近に停泊させて運用を開始している。船上基地局の運用は、KDDIと共同で行い、両社の基地局を設置した。

 ドコモらは、今後EVが社用車として普及していくと見込み、今回の実証実験に着手したという。実証実験の実施期間は、2024年1月12日~6月30日までを予定している。(記事:三部朗・記事一覧を見る

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