「Pants」ってどんな意味!? イギリス英語のスラング特集 (15)

2023年10月30日 08:12

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 今回も非常にイギリスらしいスラングを2つ紹介しよう。1つは日本語でもおなじみの「pants」、もう1つは近年イギリス以外にも浸透している「pear-shaped」だ。いずれも知っておいて損はない。

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■Pants

 イギリスでは、「pants」は文字通りパンツ、下着のことを指す。アメリカではズボンのことを「pants」と言って、その影響からか日本でもズボンを指して「パンツ」と呼ぶことがもやは常識だが、イギリス英語で「pants」と言えば、19世紀後半から現在に至るまで「underpants」、下着を指す言葉だ。ちなみに、イギリス英語でズボンは「trousers」と言う。

 それはさておき、イギリス英語のスラングには、下着とは異なる意味を持つ「pants」というスラングがある。それは、「rubbish」、「trash」、「garbage」、つまり、「ゴミ」や「くだらないもの」という意味での「pants」だ。「That is pants.」(あれはくだらない)のように使う。

 この意味でのスラング「pants」は、1980~1990年代の若者たちが発祥のようである。大学内のラジオ局のDJたちが最初に使い、そこから広まったと考えられている。自分の好みでない音楽やバンドを形容する際に、「What a pile of pants that is!」のように使っていたらしい。

 「a pile of pants」(山積みのパンツ)という表現からも、下着のパンツが想起させるイメージから、このような意味が生まれたことは明らかだ。汚れた(男物の)下着が山積みになり、悪臭を放っている様子を想像してみるといいだろう。思わず鼻をつまみたくなるが、要は、そうしたくなるような対象を指すネガティブワードである。そこから派生して、「pants」は今や「bad」や「poor quality」という意味で広く使われている。

 ・The movie was absolute pants.
 (その映画は完全にクソだったな)

 ・I tried the new restaurant, but the food was pants.
 (新しいレストランに行ったけど、料理は最低だったよ)

■Pear-shaped

 「pear-shaped」はイギリス英語に特有のスラングで、何かが計画通りに進まないときや問題が発生したときなどに用いられる。特に「go pear-shaped」という形で使われることが多く、「ダメになる」や「台無しになる」という意味を持つ。

 「pear-shaped」とは、直訳すれば「洋梨の形をした」だが、それがなぜ上記のような意味になるのだろうか。由来に関していくつか説があるが、有力なのが、1940年代にRoyal Air Force(王立空軍)で使用されていたフレーズを起源とするという説だ。パイロットがループ飛行を行う際、きれいな円形ではなく、洋梨のようないびつな形になってしまう失敗を、「go pear-shaped」と表現したと言われている。

 現在では、特定の状況に限らず、何かがうまく行かなかった場合によく使用されるフレーズだ。長らくイギリスのみで通用したスラングだったが、今ではアメリカやカナダでもよく使われている。特にビジネスや経済の低迷を指す文脈での使用が多い。

 ・The company's expansion plans went pear-shaped after unforeseen market changes.
 (予測できない市場の変動の後、会社の拡大計画は大失敗に終わった)

 ・Our vacation plans went pear-shaped after the flight got cancelled.
 (フライトのキャンセルのおかげで、休暇の計画が狂ってしまった)(記事:ムロタニハヤト・記事一覧を見る

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