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【QAあり】ツナググループHD、物流・飲食等への採用支援で人手不足を追い風に3Q売上高前年比+15%成長
【QAあり】ツナググループHD、物流・飲食等への採用支援で人手不足を追い風に3Q売上高前年比+15%成長[写真拡大]
目次
米田光宏氏(以下、米田):株式会社ツナググループ・ホールディングス代表取締役社長の米田です。本日の流れとしては、最初に会社・事業概要について、続いてFY23.9月期第3四半期の業績について、最後にFY23.9月期通期計画に対する進捗についてお伝えしたいと考えています。
会社概要
米田:まず、会社概要です。ツナググループ・ホールディングスの設立は2007年。私はもともとリクルートグループに在籍していましたが、2007年当時は現在と同様に人手が不足していました。
例えば、飲食店などのスタッフを募集しても、有効求人倍率が1.0倍を超えており、人が採用できなくなっていました。そのような状態では、リクルート1社だけに頼んでもすべてを解決できません。それは事業企画や商品企画を担当していた私が一番感じていました。
これからの日本国内においては人口減少が進むことが試算されており、その中で人手不足を解消することは、これまでのやりかただけでは難しいと思いました。お客さまから求められていることが何かと考えた時に、今後は、プロダクトを作るよりも採用に悩まれている企業に寄り添い、最適な採用のポートフォリオをコンサルティングするような事業が求められるのではないかと考えました。
例えば、ランチタイムのスタッフを募集する時は、大きなWebメディアではなく、その地場にある折込チラシで集めたほうがよいとか、もしくは、コンビニで花火大会の時だけスタッフがほしいと考えている時は、求人媒体を使ってレギュラーの人を採用すると固定費が上がってしまうため、その日だけ手伝ってくれる派遣のような仕組みを活用した方がよいということがあります。
このように、お客さまに最適なポートフォリオを提案し、採用課題を解決することを目指した会社が、我々ツナググループ・ホールディングスです。
沿革 ・売上高推移
米田:そのような考えが市場や業界、お客さまにご評価いただき、創業以来CAGRで32パーセントの成長となっています。
しかし、2021年と2022年はコロナ禍で非常に苦しい2年間となりました。我々はエッセンシャルワーカーやサービス業で現場を支えるスタッフのみなさまの採用を支援することが多いのですが、コロナ禍では、飲食店はそもそもお店を開けておらず採用どころではないという状態でした。
その2年間を経て、今期の通期売上高は147億円を計画しています。リスタート、リバウンドの最中に再び人手不足が叫ばれており、あらためて再成長路線が始まったことをみなさまにお伝えしておきます。
主な顧客
米田:サービス業を中心とした現場スタッフの採用をご支援する中で、従業員数が多い、もしくはチェーン展開されている企業が、我々の主なお客さまになっています。スライドに記載のように多くの企業に支えていただき、再成長路線に舵を切っている状況です。
株価推移
米田:株価推移です。コロナ禍で業績が非常に厳しかったため、言葉を恐れずに言いますと、底を這っていた部分もあります。しかし、直近の業績回復とともに株価も回復しています。
「人手不足 」が進み 、日本の大きな社会課題に
米田:今後の業績の見立てについてお話しします。我々のサービスの業績は、基本的には人手が不足しているかどうかということに比較的リンクしています。そのため、コロナ前は有効求人倍率1.58倍だったところがコロナ禍で1.0倍くらいになると、業績が悪化しました。そして、また人手不足が叫ばれてくると業績が上がっていきます。
そこで、日本における人手不足をどのように捉えているかを、みなさまにぜひお話ししたいと思います。スライドは、パーソル総合研究所というシンクタンクが発表している数字です。2030年には、現在の総労働力人口の10パーセント以上にあたる約644万人の「労働需給GAP」が発生することは、人口ピラミッド上避けられない事実となっています。
例えば、2030年に新社会人になる2008年生まれの方は、出生人口で100万人を切っています。一方、2023年に65歳で定年を迎えてリタイアされるのは1965年生まれの方で、出生人口で170万人です。
つまり、100万人弱が入れ替わります。ただ、入れ替わりだけであれば当分は問題ありませんが、働く人数そのものも減っていきます。100万人弱の半分が労働力であると仮定すると、2030年には約40万人が減少することになります。
40万人とは、例えば、兵庫県西宮市や鳥取県の人口に近い人数で、これだけの労働力人口が毎年減っていくということです。さらに2030年には約644万人の労働需給GAPが生じますので、これをどのように解決していくかを考えなければなりません。
一方、「もっとシフトを増やしたい」という方や、国会でも議論になっているように、「106万円の壁」や「130万円の壁」により、働きたくても働けない方もたくさんいます。この追加就労希望者は直近で約180万人となっています。
さらに、非労働力人口の労働化ということで、いま働いていない方にいかにして働いていただくかを考える必要があります。例えば、1993年頃の学生のアルバイト時間は平均月100時間です。しかし、2022年には70時間になっています。つまり、働く時間が短くなっているということです。
当然、ロボットやAIによる生産性向上もあります。また、一番大きいのは外国人のみなさまに日本に来ていただき、活躍していただくことも重要となります。
日本のGDP・就業者の7割がサービス産業(広義)
米田:我々はソリューションを提供することにより、人口減少がダイレクトに影響するサービス業などに引き続き採用支援を提供していきたいと考えています。
「労働需給GAP解消」に向けた対策と当社サービス
米田:644万人の人手不足に対して、558万事業所でいかに採用を進めていくべきかを考えています。1日だけ働きたい場合や、テクノロジーを使ってロボットに掃除してもらいたい場合、とにかく採用した人が定着してくれれば問題ない場合など、さまざまなニーズがあります。必要とされるサービスを組み合わせることによって、日本の社会課題でもある労働力不足に対して、貢献できればと考えています。
ツナググループのバリューチェーンと成長の源泉
米田:RPO(採用代行)もしくはコンサルティングを中心に、あらゆるソリューションを提供していきます。そこで得たデータをデータベース化し、より確実な採用ソリューションをお客さまに提供します。そのこと自体を価値として、我々の成長の基盤にしていきたいと考えています。
私たちは社会課題解決のインパクト最大化を目指します。
米田:投資家のみなさまや社会、お客さま、業界に向けて、「ツナググループは『2030年労働需給GAP解消』を目指す、ソリューションカンパニーです。」というテーマをお伝えしています。
第3四半期業績 ハイライト
米田:先日開示した第3四半期の業績についてお伝えします。第3四半期は、過去最高の売上高・営業利益・営業利益率を達成しました。特に伸長に寄与したのが、昨年から新規事業として進めているスタッフィング事業です。いわゆる派遣事業であり、売上伸長が非常に大きくトップラインを伸ばしました。
また、四半期で過去最高の営業利益率となりました。こちらはコロナ禍以降、我々自身が固定比率を下げて筋肉質な収益構造を目指した中でトップラインが伸び、改善につながったと考えています。
第3四半期業績 概要
米田:セグメント別では、派遣事業以外も2桁成長を実現しました。しかし、派遣事業の立ち上がりが想定以上に早く、スタッフィング事業の売上高は35.4パーセントと大きく伸長しました。
坂本慎太郎氏(以下、坂本):本業であるヒューマンキャピタル事業もセグメント利益がかなり回復していますが、こちらは市況による影響が一番大きいのでしょうか? 固定費の削減など、それ以外にも何かトピックがありましたら教えてください。
米田:繰り返しになってしまいますが、コロナ禍が本当に大変でした。我々も2期連続赤字という中で、いかに事業継続を目指していくかという壁に直面していました。
まずは、売上を上げなくてはいけませんでした。今まではフード業や小売業などのサービス業を中心に提供してきましたが、コロナ禍により、ターゲットをピボットする必要がありました。
そのような中で、物流や倉庫のお客さまの新規開拓を進め、アマゾンジャパンやヤマト運輸、佐川急便などに営業活動を行い、ご依頼をいただきました。コロナ禍が明けて飲食や観光業が復活したことも、ヒューマンキャピタル事業でセグメント利益が増えたポイントです。
さらに、オフィスを縮小したり、いくつかの固定費削減施策に取り組んだことにより、筋肉質な体質となりました。その結果、本業であるヒューマンキャピタル事業でセグメント利益を大きく伸ばせたと考えています。
坂本:固定費削減については、事務所の縮小以外にも何か行いましたか?
米田:固定費削減としては、オフィスが一番大きかったのですが、人員の自然減があったところにシステム投資も行いました。そのため、1人あたりの利益生産性が大きくなったことも大きなポイントだったと考えています。
スタッフィング事業 株式会社LeafNxT四半期業績推移
米田:スタッフィング事業の業績推移についてです。新規事業である人材派遣事業が大きく伸長し、対前年プラス191.2パーセントとなっています。
コロナ禍の巣ごもり需要でECや宅配事業が伸び、世の中の物流量が大きくなったことで、物流や倉庫業の人手不足が進みました。そうした状況において増えた「広告を出して面接する時間がないため、とにかく明日働いてくれる人を派遣してほしい」という問い合わせに対応し、この新規事業が立ち上がりました。こちらが第3四半期にかたちとなり、収益化につながったことがポイントだったと考えています。
坂本:非常にビジネスチャンスですよね。物流倉庫は高速道路の近くなどにできると思いますが、同じような倉庫がたくさんできている中で、やはり常勤の人の取り合いが行われているとうかがいます。そこで人が足りなくなって御社にお願いするケースもあるのでしょうか?
米田:おっしゃるとおりです。現在、関東では圏央道の周辺、関西では西宮山口など、どんどん物流センターができています。このあたりは人口が少ない地域のため、我々の1つのソリューションとして、人口の多いところからバスを出すということも含め、さまざまな提案をしています。
また、倉庫にある、ピッキング作業の手前で物を動かすために使うフォークリフトも同様です。フォークリフトは有資格者しか操作できないため、その有資格者の派遣も新たなニーズとして大きくなりました。
2023年8月5日に埼玉で花火大会が中止になりましたが、その理由はフォークリフトのバッテリーが上がってしまい、2台とも駄目になったため、人力で花火を運ばなければならなくなったからです。他のフォークリフトを呼ぶことができればよいのですが、今はフォークリフト自体も足りません。
坂本:フォークリフトの会社も相当業績がよいですよね。
米田:ましてや花火は火を使うため、法律もあります。これからは物流量も多くなりますし、「2024年問題」でトラックのドライバーが少なくなっているため、さまざまな観点において、物流倉庫の質と量としての人的ソリューションが求められています。そこにチャレンジするために新規事業を始め、一定の成果と結果を出したことが、第3四半期のトピックスです。
連結売上高 四半期推移
米田:スライドは四半期ごとの業績推移です。前年からの成長率が15.7パーセント増となり、採用ニーズ回復の動きをしっかりと受け止めることができたと考えています。
連結営業利益・連結営業利益率 四半期推移
米田:サマリーでお伝えしましたが、連結の営業利益と営業利益率も、第3四半期で過去最高になっています。引き続き、しっかりとした構造改革を進めていきたいと考えています。
収益構造 四半期推移
米田:スライドは営業利益率に寄与した固定費比率です。前年同期比で2.5ポイント改善しました。固定費は絞れば絞るほどよいわけではありませんが、構造改革はある程度までできたと思います。
そのため、来期は限界利益率の改善を進めています。粗利向上にはまだ伸びしろがあると考えているため、来期のテーマの1つとして今から準備しています。また機会を持ってみなさまにも共有します。
坂本:筋肉質な収益構造となると、利益率を上げていくための基礎が必要になると思いますが、例があれば教えてください。
米田:1つはシステム導入による仕組み化です。人員が減少したところに、新たに採用して人を補充するということはせずに、例えばコールセンターのチャットボット化や、業務上のワークフローのシステムを一気通貫で進めていくことで、直間比率改善を進めてきました。このような仕組み化を進めたことなどが、筋肉質な収益構造へとつながりました。
貸借対照表と自己資本比率推移
米田:BSについてです。自己資本比率目標35パーセントに向けて順調に推移しています。このコロナ禍を機会に、単純にPLの経営だけではなく、思い切ってBSの経営にも着手し、事業継続をより意識した経営を進めていきます。
世の中は人手不足であり、そこに対して我々の提供価値があると考えています。そのためには我々の事業が継続していくことが大きなポイントになると考え、自己資本比率に関してもコロナ禍でターゲットを決めて進めてきました。おそらく今期末に一定の成果が出ると考えています。
第3四半期累計 財務KPI進捗
米田:自己資本比率だけではなくROICも意識しています。投資分を回収し、いかに利益構造を変えていくかという点に最重要KPIを置いています。ROICを常に意識しながら、財務戦略、および営業利益という意味ではPL戦略も含めて進めています。
第3四半期でROICが10パーセントを超えたことで、コロナ禍から目指してきた経営に近づいていると考えています。
通期 業績進捗
米田:通期計画の進捗をお伝えします。第3四半期累計の売上高は111.8億円で、進捗率は76パーセントです。ある程度予定どおりに進んでいます。
また、5月に営業利益の通期計画を3.3億円から4.0億円に上方修正しましたが、その4.0億円に対して97パーセントの進捗でした。経常利益は99パーセントまで進捗しています。
売上高はアグレッシブな計画でしたが、ほぼ計画どおりです。営業利益は、取り組んできたことが前倒しで効いており、97パーセントの進捗となりました。
坂本:御社の第3四半期までの業績と利益率等を勘案すると、営業利益・経常利益ともに期末には必ず達成できると思っていますが、また上方修正されるのでしょうか? あるいは、第4四半期に何かの投資をお考えなのでしょうか?
米田:当然、今後も修正の必要性が出たタイミングには速やかに開示します。投資については、来期も大きなポイントになると考えており、人手不足にお応えするための追加投資を予定しています。
例えば、営業担当やコンサルタントの人員増強です。また、限界利益率向上が来期のテーマになりますので、一層の仕組み化やシステムの導入について、来期の10月から来年9月まで通年で寄与できるように準備している状況です。
投資内容は人件費、システム費用、マーケティング費用です。広告宣伝費を含めたマーケティング費用を来期のスタートダッシュにしっかりと活かしたく、追加投資を予定しています。
第3四半期累計 事業KPI進捗
米田:スライドは第3四半期の売上です。ご説明は重複になるため割愛します。
外部環境変化と継続的成長
米田:「2023年の後半から2025年はどうなるの?」という点についてご説明します。昔の人材業界のテレビコマーシャルというと、求人広告に関するものばかり放送していたと思います。
しかし、今はタレントマネジメントやアセスメント、もしくはWeb教育など、人材業界自体の組み合わせ・シェアがどんどん変わっており、これからもさらに変わっていくと考えています。これは、最低賃金がどんどん上がっている中、安易な採用ができなくなっているからです。
我々はグループ会社でコンビニエンスストアを経営しています。現在9店舗ありますが、閣議決定を通って最低賃金が予定の値になると、1,000万円くらいの人件費増となります。販売・サービス業は時給が比較的低い業界ではありますが、全国平均の賃金が上がることによって、人が辞めたからこれまでと同様の採用をするという考え方では難しくなります。
今後は、忙しい時だけ人に来てもらったり、もしくは、タッチパネルで注文できるシステムを導入するなどといったことを考えていくことが、より求められるようになっていきます。すると、例えば、求人広告に代わって、「人の代わりになる」という謳い文句でタッチパネルのコマーシャルが増えてくる可能性もあります。
まさに「GAME CHANGE」が起きており、その背中を押しているのが外国人観光客です。安倍政権時代に目標としていたのは外国人観光客数2,000万人でしたが、2019年にはおよそその数は3,200万人。しかし、新型コロナウイルスにより19万人まで減少しました。
そのため、飲食業も観光業も大変な状況になりましたが、「おそらく2023年には1,300万人に戻る」「もう2,000万人に届くのではないか」という声もあります。
坂本:意外と回復が早そうですよね。
米田:ホテルや観光業も一気に稼働していますし、もちろんフード業にも影響があります。観光業であればビルメンテナンスやベッドメイキングなど、さまざまな現場で人材が枯渇してきます。しかも、2025年には大阪万博もあります。
結果として、「人がいなくなったら、自分たちで求人広告を出して、求職者を集めて選んで採用」という時代から、我々のような者にお任せいただき、一気通貫のポートフォリオを組んだサービスを行い、いろいろな事業者とお客さまを組み合わせることがよりいっそう求められるようになると考えています。
坂本:先ほど最低賃金のお話がありましたが、企業や派遣側からも値上げがあると思います。最低賃金が引き上げられた分がそのままスライドしていくのでしょうか? それとも少し高くなって御社の利益が増えるのでしょうか?
米田:まず、当社は最低賃金が上がることによる影響は特にないと思います。一方で、世の中では大きな影響があると思います。
例えば、花火大会のお話に戻りますが、一時的に人が必要になったコンビニエンスストアでは、「バイトを増やそう」ではなく「花火大会がやっている3時間だけ働いてくれる人を集めよう」となります。レギュラーで働くバイトを採用するのではなく、限られた時間だけ働いてくれる人を確保できれば、花火大会後の人件費は変わりません。
我々はずっと「ショットワークス」というサービスを提供していますが、「タイミー(Timee)」「シェアフル」などのような、コロナ禍前には多くはなかった短時間仕事の求人サービスがどんどん増えてきています。
坂本:余分に雇っていた時間を短くするのですね。
米田:おっしゃるとおりです。そうすると、今度はシフト管理システムが必要になります。今まで「Excel」をプリントアウトしたものにマーカーで「何時から何時まで」と書いていたものをDX化し、「この期間の3時間だけ人が必要」というかたちで可視化しなければ、お店のオペレーションが回らなくなります。また、マーケットもそちらに移っていくと考えた時に、世の中の人材セクターといわれる領域は大きく変化していくと思います。
外部環境変化と継続的成長
米田:先ほど追加投資のお話をしましたが、第4四半期はスライドのような追加投資を行っていきたいと考えています。
株主還元
米田:株主還元の基本方針です。2023年9月期に増配とさせていただき、1株あたりの年間配当金は8円を予定しています。当然、ここも修正が必要な場合は速やかに開示します。
人材セクターは「1人紹介するといくら」というイメージが多いのですが、我々はコンサルティングの費用と、人事のみなさまの代わりのBPOを月額固定でいただくことが多いです。つまり、どちらかというとストック型のビジネスです。株主のみなさまにも、積み上がっていく様子を長い目でご支援いただけるとありがたいと考えています。
そのような意味では、配当は長い期間お付き合いさせていただく、非常に大切な還元施策であると考えています。今後もこの部分は十分に進めていきたいと考えています。
坂本:配当性向の業界平均というのは、人材系の業界という意味ですか? それとも、サービス業全体という意味ですか?
米田:人材系と同じ、という意味です。30パーセントから40パーセントではありますが、そこはしっかりとさせていただいた上で、我々ができることに努めていきたいと考えています。
当社からのプレゼンテーションは以上です。もうすでに起こっている、そして起こるべき日本社会の課題である人手不足に対して、「つなぐ、つなげる、つながる」というかたちで、しっかりと努めていきたいと思っています。ご清聴ありがとうございました。
質疑応答:人材採用の投資について
坂本:スライド26ページでは人材採用の投資が一番多くなっていますが、こちらについてもう少し具体的に教えていただけると、視聴者もイメージが湧きやすいと思います。
米田:こちらは第4四半期の追加投資です。もともと予定していた投資ではありましたが、今回は思い切って総額1億円を超える追加投資をしたいと考えています。そのうち約20パーセントが人材採用です。
本当にありがたいことに、我々のサービスに対し、たくさんのお問い合わせをいただいています。中でも多いのは、事業者のみなさまではなく、機関投資家やプライベートエクイティ・ファンドからのお問い合わせです。
ファンドのみなさまが投資をしている、コンシューマ系の企業では「人がいないと業績が上げられない」という状態になっています。ファンドとしては業績を上げなければならない。「お金は出すから、どのように人を採用するのか一緒に取り組んでよ」ということで、当社にお客さまをご紹介いただいています。
もともと私がリクルート出身ですし、当社もいわゆる採用畑の人間が中心です。ファンドのみなさまからお声がけをいただき、一緒にご紹介いただいたお客さまのところへご説明にうかがうと、人材採用だけではなく、事業戦略や事業として利益を上げる方法などについても、その場でテーマとして出てくることが多くあります。
そのようなことを含めたコンサルティングができる人材を、思い切って採用しています。そこがこの人材採用の投資部分です。
そして、その下に教育研修とありますが、これは一般的な教育研修ではなく、例えば、昔でいうアドミニストレーターやプロジェクトマネジメントのような研修が必要であり、ニーズに合わせて追加で行っています。
坂本:高度な研修なのですね。
米田:そのとおりです。今までとは異なる研修です。
坂本:他分野のイメージでしょうか?
米田:おっしゃるとおりです。人材採用のある教育研修に30パーセントほどの投資を追加で行うということです。
また、その次に大きいのは、やはりマーケティングです。おそらく視聴されているみなさまも、株式会社ツナググループ・ホールディングスという社名をご存じない方がほとんどだと思います。
我々は、人事のアウトソーシングを受ける仕事をしており、例えば、株式会社セブン‐イレブン・ジャパンのすべてのオーナーや店長とつながりがありますが、我々は「セブン‐イレブン採用センター」という名称で採用をご支援しているため、当社の名前をご存知の方はおそらくいません。
ただ、今後、新たなお客さまを増やしたり、我々が取り組んでいることをお伝えしていくことを踏まえれば、コロナ禍でいったんしゃがんでいた我々も、リスタートした今こそ、マーケティング活動にも力を入れていきたいと思っています。事業開発への投資を含め、ここでおよそ追加投資予定額の半分を使う計画であり、大きなポイントになると考えています。
坂本:短期で成果が出せそうな施策と、ブランディングを含めた長期施策の両方に取り組まれているのですね。
質疑応答:事業開発について
坂本:事業開発について、ほかに付随するものはあるのでしょうか?
米田:事業開発は、まさに仕組み化の部分です。
坂本:今期計上していたり来期に予定していたことを早めたり、追加で行ったり、などですね。
米田:おっしゃるとおりです。今まで人が作業していたことを、まさにDXを使った仕組みで進めていくことに関する追加投資を行っています。
坂本:システム導入開発も同じですよね?
米田:そのとおりです。
坂本:では、実はそこが意外と大きい点なのですね。
質疑応答:外国人の労働力確保の見通しについて
増井麻里子氏(以下、増井):会場からの質問です。「外国人の労働力確保の見通しについて教えてください」とのことです。
米田:まず、日本全体における外国人の来日の見通しは非常に暗いです。例えば2年前、為替が108円の時に円建てで働いていた外国人は、145円になった今、同じ量の仕事をしていても、30パーセント以上も給料が減っている状態です。
坂本:自国の成長とインフレもありますよね。
米田:それとかけ合わせると、もう日本で働く意味はないも同然です。今まで、外国人採用は人手不足に対する労働力という考えでの施策でした。これからは、いかに外国人に活躍してもらうかを考えていかないと、働く外国人にとってのインセンティブがありません。
坂本:今まで日本で労働している外国人は、どちらかというと単純作業の仕事が多かったと思いますが、もっと高度な仕事を、特に外国人にしかできないような仕事をつないでいくかたちになるのでしょうか?
米田:おっしゃるとおりです。我々はこの8月に「グローバルワークフォース」というサービスをスタートしました。以前は人手不足で単純作業を外国人に任せることが多かったため、ルールチェンジとなっていることをご存じでない企業もまだ多くあります。労働ビザの問題や外国人技能実習制度が、この秋ならびに翌春の国会で大きく変わっていくであろう中で、日本人の人事担当が外国人を採用するのはおかしくないですか?
坂本:おかしいですし、言葉の問題もあります。英語だけならいいのですが、さまざまな言語がありますからね。
米田:そのため、採用する人事担当として外国人を備え、我々がトータル的にサポートしていきます。人手不足解消のための採用は別で行い、企業側の外国人採用プロセスやナレッジなどの仕組みを我々が提供することによって、外国人活躍の場において、競争力を持っていただくためのコンサル事業を、来期から本格的に始動させ、2年後のFY25には50社ほどの取引を目指したいと考えています。
質疑応答:プライム市場への展開について
坂本:「プライム市場への展開はありますか?」というご質問です。
米田:もともと市場変更前は東証一部の企業でした。ただ、ちょうどコロナ禍のタイミングで市場変更となり、我々には2つの選択肢がありました。ひとつは、暫定的な猶予期間を持ってプライムにいくか。もうひとつは、スタンダードに変更するか。これは私の性格で、足元をしっかりと固めたいという意向から、スタンダードを選択しました。
では、足元から固めていった後はどうなるのかというと、プライム市場への展開は「当然選択肢としてある」ということで、ご質問の回答とします。
質疑応答:株価の割安感と上昇の遅れについて
増井:「株価が割安のように感じます。株価はこのところ上がってきていますが、上昇が遅れているのはなぜだと思いますか?」というご質問です。
米田:私の言葉で割安と言っていいかは別として、当社の株価は、当社が考えているいるところよりは低いのではないかと考えています。
なぜかというと、コロナ禍により業績が悪化し、なんとか事業継続できているというところまで追い込まれました。その際、通常のマーケティング活動を抑えています。
今後は業績も含め、先ほどお話ししたマーケティング費用の追加投資により、しっかりと企業認知を進めていきたいと思っています。まさに、このような場もお借りしながら直接お話しし、我々の目指していることやその過程である業績進捗、そして未来に対する見立てをしっかりとお伝えしていきたいと考えています。
直近では、出来高も十分に増えてきているため、投資家のみなさまや株主のみなさまと触れ合う機会が多くなると考えています。我々の発信を強めていくことによって、ご質問いただいた「本当はもっと高いはずなのに、なぜ上昇が遅れているのか?」という疑問と考えに追いついていきたいと思います。
質疑応答:M&Aについて
坂本:「M&Aを実施する際は、御社から提案することが多いのでしょうか? それとも提案されるほうが多いのでしょうか?」というご質問です。
米田:M&Aに関しては、提案されることのほうが多いのですが、結果としてご一緒することになるのは、我々からお声をかけたもののほうが多いです。
そもそも、我々が取り組みたいサービスのひとつは、世の中にあるサービスを組み合わせることによってお客さまへの最適なソリューションを提供することです。「こんな新しいサービスができたのですね」というものを見つけた時には、M&Aに限らず、出資をすることもあります。
直近では、スライド下段の株式会社Helteに出資しました。今までの外国人就労支援は、「人手×単純作業」で働かれている方のヘルプセンター的な役割でした。
しかしHelteは、ただのヘルプセンターではなく、コミュニケーションを通じて日本を好きになってもらったり、街を知ってもらうためのプラスアルファをアドオンさせ、地元のシニアと外国人とのコミュニケーション・マッチングなどを行ったりしています。そのようなおもしろい企業であり、我々の考えている「人手ではなく活躍」というスタンスが「一緒である」と思う企業には、積極的にM&Aや資本業務提携を行っています。
質疑応答:自己資本比率の下限に対するイメージについて
坂本:M&Aや財務に絡む部分についてお聞きします。スライド20ページで自己資本比率推移を教えていただきましたが、これからまたM&Aを進めていくことになった場合、この自己資本比率の下限のイメージはすでにあるのでしょうか? ある程度利益が見えていると、「このぐらい使っちゃっていいかな」ということもあるかもしれませんが、イメージがあれば教えてください。
米田:スライドにあるように、我々はコロナ禍で「1桁になってしまうのではないか」というところまで自己資本比率が落ちたからこそ、今後ひとまず目指すべき自己資本比率は40パーセントと定めました。
このような時だからこそ、40パーセントを超えたら、次はいきなり50パーセントに上げるのではなく、しっかりとした投資と回収のリズムを含め、M&Aなどのコーポレートアクションを安定して行おうと考えました。
40パーセントという1つのラインがあれば、積極的に投資ができ、安定した経営も行えると捉えていますので、「あったら使う」ではなく、40パーセントのラインを見ながら、我々のコーポレートアクションと重ねていこうと考えています。
坂本:そこに先ほどお話があったBS型経営も入っているのでしょうか?
米田:おっしゃるとおりです。
質疑応答:ROICの業界的水準について
増井:スライド21ページのとおりROICが10.4パーセントと、実績が目標を上回っていますが、これは業界的にはどのくらいの水準が妥当なのか教えてください。
米田:我々は、今まさにこの財務KPIを置きながらさまざまな施策を打っているのですが、「ターゲット25」というかたちで25社を勝手にピックアップし、財務目標とする目安を定めています。
坂本:上場企業を25社ピックアップするのですね。
米田:そのとおりです。実際、我々と同じような仕事をしている企業は少ないため、一部でも重なる事業を行っているところを25社選びました。それらの企業を見ると、20パーセントが1つの水準ではないかと思います。
増井:非常に高いですね。
米田:高いです。今期はいったん3.7パーセントを目標と置きましたが、中期経営計画の中で20パーセントを目指そうと考えています。そのように考え、取り組んだ結果10.4パーセントとなり、考えていた以上のスピードで進められました。
当日に寄せられたその他の質問と回答
当日に寄せられた質問について、時間の関係で取り上げることができなかったものを、後日企業に回答いただきましたのでご紹介します。
<質問1>
質問:投資家との対話(ツナグ)手段として新たな方法も模索されていますか?
回答:現状の取組みで十分だとは考えておりません。認知度を上げていくための取組みと、深くご理解いただくための取組みについて、引き続き模索しております。
<質問2>
質問:中国団体旅行が解禁されたことにより、宿泊業や飲食サービス業への人材ニーズが強まりそうですが、いかがでしょうか?
回答:店舗の賑わいが戻るにつれ、人手不足感が強まると想定されます。当社へのお客さまからの採用ニーズも増えることが考えられますので、しっかりとお応えしていきます。
<質問3>
質問:個人投資家との質疑応答は「YouTube」で公開していますが、機関投資家向け説明会時の質疑応答の公開のお考えはありませんでしょうか?
回答:現在は、個人投資家の方も参加いただける説明会を開催しています。機関投資家との面談における質疑応答については、「質疑応答集」として適時開示ならびにIR-noteにて公開予定です。
<質問4>
質問:偶然かもしれませんが、私の会社の外国人労働者は、数年働いてから欧米に移住する方が多いです。何か社内のデータベース上で離職される外国人労働者の傾向などがあれば、可能な範囲でお話しいただけますと助かります。
回答:離職後の情報についてデータ収集をしているわけではありませんが、欧米企業へ転職する外国人労働者の中には、日本企業の評価基準や仕事内容が曖昧なことにより、キャリアプランに不安を感じるということもあるようです。当社の外国人採用支援サービスにおいても、そのような点も含めて外国人労働者の方が日本企業で働く上での不安を払拭できるようなご支援をしていきたいと考えております。
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