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ソシオネクストショックが示唆することとは?
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●ソシオネクスト大株主3社が全株売却で株価急落
ファブレス半導体メーカー・ソシオネクストの大株主である日本政策投資銀行、富士通、パナソニックの3社は、7月5日に全株を売却すると発表した。
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これを受けて、ソシオネクスト株は前日比約5000円下落し、ストップ安となった。大株主である3社の保有比率は約37.5%だった。
ソシオネクストの株価は今年に入り上昇を続け、6月には一時的に年初来から約5倍以上の株価を記録。好調な日本株の象徴的な存在でもあった。
ソシオネクストの急落により、ソシオネクストだけでなく、世界の半導体業界にも日本株全体にも影響を与えるのだろうか?
●ソシオネクストとは?
ソシオネクストは、SoC(System-on-chipa)という半導体に特化し、設計から販売までを手掛けるが、工場を持たないファブレスメーカーである。生産はTSMC(台湾積体電路製造)に委託している。
富士通とパナソニックのSoC事業を統合して誕生した企業で、2022年10月から東証プライムに株式上場している。
上場以来、業績も好調で、業績と共に株価も好調だった。
●半導体も日本株もピークアウトか?
好調な業績に、半導体の世界的な需要を考えれば、ソシオネクストが買われるのはある意味当然だった。
だが信用倍率が240倍となり、個人投資家の間でも過熱し過ぎている感があった。半導体需要そのものもピークアウトとの警戒感も根強い。
今回の大株主による売却は、上昇し過ぎたから売却益を得るために売るという、投資の基本としてはある意味驚きはない。富士通は600億以上の特別利益計上を見込んでいる。
一方で今回の売却劇はあまりにも金額が多すぎたために、需給の悪化を懸念し、パニック的に売られた面も否定できない。
ソシオネクストが経営危機に陥ったとか、半導体業界に陰りが見えてきているなどという悪材料で売られたわけではない。
しかし、好材料が多いからと強気に買いに向かいすぎると、思わぬ落とし穴があるということが今回のソシオネクストショックで示されたのではないだろうか?(記事:森泰隆・記事一覧を見る)
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