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会社概要
青木文恵氏(以下、青木):ミアヘルサホールディングス株式会社の青木文恵です。どうぞよろしくお願いします。それでは早速、会社概要からご説明します。
設立は2021年10月1日で、ミアヘルサ株式会社の持株会社として発足しました。創業者は代表取締役会長の青木勇で、私は2代目です。主な事業内容としては、医薬、介護、保育、食品事業の機能連携により、高齢化社会に必要な街づくりに向けて、生涯を支える地域包括ケアを展開しています。
グループ会社は、ミアヘルサ株式会社とライフサポート株式会社です。従業員数は2023年4月現在で、パート社員も含めて2,695名となっています。
ミアヘルサグループの理念
青木:ミアヘルサグループの理念は、「少⼦⾼齢化社会の課題に挑戦し、地域社会を明るく元気にする」というミッションへの取り組みを通して、「地域包括ケア」を実現することです。
そして、経営理念には「私が変わる愛の経営『響働』」を掲げています。「少し珍しいですね」とよく言われますが、私どもの仕事は、人の幸せづくりにつながるサービスですので、理念も人にスポットを当てたものになっています。
何か問題が発生すると、相手が悪いと思いがちで、相手を変えようとしてしまいますが、相手というのはなかなか変わりません。そこで問題解決のためには、まず自分から変わることにより、響き合ってお互いの信頼関係を作り出し、ともに成長していくことが大切であるという考えをベースにしています。
会社沿⾰(1)
青木:沿革です。1966年に給食普及会を創業し、小中学校への食材の卸業からスタートしています。当時の社員は会長1名のみで、売上高は120万円でした。
次に、医薬分業が囁かれ始めたことから、1984年に日本生科学研究所を開所し、医薬事業本部を設立しました。1998年には大型門前薬局を開局し、ここから本格的な医薬分業がスタートしています。
1999年には、2000年から始まる介護保険制度に向けて、介護事業本部を設立しました。調剤薬局で提供できる介護サービスを検討し、ケアプランという相談業務や福祉用具などであれば対応できると考え、当初はその2つに絞って事業を展開していました。しかし、これではサービスが足りていないことがわかり、2000年までに在宅サービスをほぼ揃えています。
2005年には、無菌調剤室を設置しました。こちらは、中・重度の患者さま向けに在宅サービスを行うにあたって、無菌調剤室の必要性が高いことから設置したものです。
2007年には、「和光市 新倉⾼齢者福祉センター」の指定管理運営を受託しています。
会社沿⾰(2)
青木:2011年には給食普及会を合併して、食品事業本部を設立しました。また、待機児童問題が囁かれ始めていましたので、保育事業本部も設立しています。
さらに同年には、国土交通省のモデル事業として、サービス付き高齢者向け住宅「日生オアシス和光」を開設しました。こちらは地域包括ケアの第1号店で、官民協働モデルとしてスタートしています。
2014年には、地域包括ケアの第2号店となる「⽇⽣ケアヴィレッジひばりが丘」を開設しました。こちらは、UR都市機構の団地再生モデルとしてスタートしています。
会社沿⾰(3)
青木:2017年には、地域包括ケアの第3号店として「オアシス柏豊四季」を開設しました。こちらは、地域交流モデルとしてスタートしています。
そして、2019年にミアヘルサ株式会社へと社名を変更しました。社名は約300名の社員から公募し、その中から選定したもので、スウェーデン語で「もっと健康に」という意味を持つ言葉です。
2020年には、東証JASDAQスタンダード市場に上場しています。また、認可保育園6園を運営している東昇商事を完全子会社化しました。さらに同年には、「オアシス東新⼩岩」に在宅ホスピスフロアを開設しています。
会社沿⾰(4)
青木:2021年には、2例目のホスピス対応型ホームとして「メディケアオアシス新百合ヶ丘」を開設しました。
また、ライフサポートを完全子会社化しています。ライフサポートは、保育園をはじめとする54事業所を運営している会社で、こちらを子会社化することにより、当社の展開エリアが広がりました。加えて、すでに子育て支援に取り組んでいる会社であったため、そちらにおいても当社の事業の幅が広がることから、今後注目すべき点だと思っています。
さらに同年には、ミアヘルサホールディングス株式会社を設立し、2022年に東証スタンダード市場へと区分変更しています。
また、同年4月にはJR東日本と自治体との協働モデル事業として、「びゅうリエット新⼩岩」を開設しました。こちらが子育て版の地域包括ケアの最初の事例となります。
ミアヘルサグループの事業拠点(188 拠点)
青木:スライドに記載のとおり、当社は1都3県に展開しており、事業拠点は188拠点です。
「地域包括ケア 第1号」-官⺠協働モデル-
青木:当社の特徴である「地域包括ケア」について、少し詳しくお話しします。第1号店がなぜ官民協働モデルなのかと言いますと、「和光市 新倉⾼齢者福祉センター」には地域交流室があり、市から委託を受けて予防事業を地域のみなさまにも開放しています。この点が、他社と少し違うところです。
また、「オアシス和光」には医薬と介護のサービスが揃っています。多くの施設では建物内だけでサービスを提供する中、当社では地域の方向けにもサービスを提供しています。さらに、地域の方が地域交流室に来たり、デイサービスに来たりと、行ったり来たりの交流をしているところが他社との違いです。
他にも、これらの場所では年に1度、いろいろな市民活動や予防事業の成果を発表するお祭りを開催しています。こちらには毎年1,300名ほどの幅広い世代の地域の方々にお越しいただいています。
また、改善型の予防事業を行っているのですが、日本のモデルケースのようになっており、日本中あるいは世界中から視察に来ることもあります。
「地域包括ケア 第2号」-団地再⽣モデル-
青木:第1号店のケースをもとに、第2号店となる「ケアヴィレッジひばりが丘」を開設しました。こちらは団地再生モデルです。「全国的に古くなった団地をどうにかしたい」という課題があったため、私どもは「医療・介護と、生活支援としてコンビニを入れたい」と少し珍しい提案を行い、団地再生モデルが実現しています。
こちらでは、オープンの6ヶ月前から自治会の方たちとの交流がありました。スライド右下の写真に写っている男性は認知症の方なのですが、若い頃に野球部に所属していたようで、子ども会や早稲田大学の学生との交流の中で「この歳になって野球ができるなんて」と元気をもらったとのことです。
「地域包括ケア 第3号」-地域交流モデル-
青木:第3号店の「オアシス柏豊四季」には、1階に地域交流室があります。こちらは、地元の高校のコーラス部に練習場所を提供したり、地域の方がトレーニングマシンを体験するのに使ったり、サークルの活動場所として提供しています。
そして、その方たちはオアシスやデイサービスのボランティアとして入ってくださっており、その数は現在150組ほどに上ります。入居者のみなさまが元気になるのと同時に、地域の方たちの活躍の場の提供や生き甲斐づくりにも役立つという相乗効果が出ています。
「地域包括ケア 第4号」-JR東⽇本・⾃治体 協働モデル-
青木:第4号店はJR東日本と自治体の協働モデルです。当社としては初めて、保育園をメインにした地域包括ケアの仕組みを作りました。こちらは昨年4月にオープンしています。
地域の方にも解放している交流ホール「新小岩すまいるホール」、一時保育などもできる「ほほえみひろば新小岩」「介護と住まいの総合相談窓口」を開放しております。子どもと高齢者の2つの地域包括ケアという当社が目指すかたちを、こちらで初めて実現しています。
当社グループのサービス対象者の範囲
青木:当社グループのサービス対象の範囲は、医薬事業と食品事業では0歳から高齢者まですべて網羅しています。保育事業は小学校に入るまで、児童育成事業は小学生、介護事業は40代から終末期の方までと、全世代を幅広くカバーしています。
ミアヘルサグループが描く未来ビジョン
青木:ミアヘルサグループが描く未来ビジョンとしては、「『地域包括ケアシステム』を推進し、健康・安心・絆のライフラインを構築する」ことを掲げています。
エリアとしては中学校区域で、そこに当社のさまざまなサービスが入っていきます。そして、地域に根ざした生活のライフラインと連携し、住民の方たちとコラボレーションすることで行ったり来たりのサービスを行い、いざという時にこの地域で完結できる包括ケアを目指しております。
坂本慎太郎氏(以下、坂本):ここから質問も織り交ぜながら進めていきます。御社の強みである「地域包括ケア」については、今まで手掛けてきた薬局、保育園、学童、介護などのさまざまなパーツがないとなかなか達成できないモデルだと思いますが、今後の取り組みを教えてください。
例えば、「ケアヴィレッジひばりが丘」の後に、またUR都市機構から声がかかっているのでしょうか? あるいは、自分たちで作るのかも含めて、展望を教えてください。
青木:UR都市機構とは、赤羽でも展開しております。UR都市機構としても、古い建物をどうするかという課題が非常に大きいようです。また、高齢者だけでなく多世代の方がその地域に住むということも賛同いただいております。
坂本:言い方が良くないかもしれませんが、赤羽はあまり治安が良くないイメージがあり、幅広い国や世代の人に住んでほしいという要望があると思います。それができるのが御社の地域包括ケアですよね。
青木:そうですね。UR都市機構としても、幅広い世代の方にその地域に住んでほしいという思いが非常に強くありました。
坂本:このような取り組みを、今後も広げていこうとお考えでしょうか?
青木:おっしゃるとおりです。また、自社だけですとお金も時間もかかってしまいます。
坂本:ノウハウがないといけませんよね。テナントを募集してもパーツが1個ない、となると困ります。
青木:そのとおりです。そのため、医薬では、保険薬局の全国的な組織があり、そちらに理事として所属しています。介護もまた同様に全国的な組織で常任理事をしておりますので、ネットワークができてきています。その方たちと連携して作り上げていくという手もあると思っています。
2023年 新規開設事業所
青木:2023年の新規開設事業所は、スライドに記載してあるように認可保育園が3園、学童クラブが1校、そして8月から「メディケアオアシス流山運河」という施設を開設予定です。この施設は1階がサービス付き高齢者向け住宅、2階・3階がホスピスフロアとなっています。
2023年3⽉期通期 決算概要
青木:2023年3月期の決算概要をご説明します。売上高は前期比プラス14.0パーセント、営業利益は前期比プラス2.5パーセントとなっています。後ほど詳しくご説明します。
セグメント売上⾼・セグメント利益(前年同期⽐)
青木:セグメント売上高・利益はスライドのとおりです。
2023年3⽉期4Q 医薬事業(前年同期⽐)
青木:医薬事業の売上高は前期比プラス2.3パーセント、営業利益は前期比マイナス5.0パーセントでした。処方箋枚数は、1店舗を新規開店したことで増えています。
処方箋単価は、薬価改定の影響で全国的な薬価改定率がマイナス6.69パーセントになっていますが、当社では、かかりつけ薬局機能や高度薬学管理機能の強化に加え、在宅医療や、地域支援体制加算等でカバーしているため、5.0パーセントのマイナスで済んでいます。
2023年3⽉期4Q 医薬事業(四半期推移)
青木:処方箋枚数は、前年同四半期と比べ7,144枚増えています。処方箋単価は、スライドに記載のとおりマイナス975円となっています。
2023年3⽉期4Q 介護事業(前年同期⽐)
青木:介護事業は、売上高プラス1.0パーセント、営業利益マイナス1億4,700万円です。新型コロナウイルス感染症の影響により非常に痛手を受けており、サービス付き高齢者向け住宅の入居率がマイナス4.0ポイント、通所介護の利用者数がマイナス8.8パーセントとなっています。
通所介護については、ご利用者さまの利用控えや事業所の休業があり痛撃を受けました。昨年度は不採算となっている通所介護事業所1事業所を閉鎖したほか、今年度も4事業所の閉鎖を予定しているため減損会計として計上しています。
2023年3⽉期4Q 介護事業(四半期推移)
青木:スライドにあるとおり、利用者数は閉鎖されるところも含めて前年同四半期と比べ1,763名減っています。また入居率も徐々に減っており、マイナス4.8ポイントとなっています。
2023年3⽉期4Q 保育事業(前年同期⽐)
青木:保育事業の売上高は前期比プラス38.4パーセント、営業利益は前期比プラス48.5パーセントとなっています。主なポイントは、園児数が前期比プラス25.8パーセント、セグメント利益率が前期比プラス0.4パーセントになっていることです。
利益を圧迫していたライフサポートの認証保育園を4園閉園したことにより利益が改善し、コストも削減しています。詳細としては、5園開園し、10園閉鎖あるいは休園しています。
2023年3⽉期4Q 保育事業(四半期推移)
青木:こちらのスライドは園児数の推移です。閉鎖したところもありましたが、前年同四半期と比べ全体で351名のプラスになっています。
2023年3⽉期 業績計画 達成状況
青木:2023年3月期の業績計画の達成状況については、当期純利益の予想達成率が81.9パーセントと低くなっています。これには事業所の閉鎖に伴う減損損失が7,800万円と、閉鎖に関わる関連経費3,700万円も含まれています。
2023年3⽉期 業績計画 達成状況 < 四半期毎 >
青木:四半期ごとの達成状況はスライドのとおりです。
中期経営計画 基本⽅針
青木:中期経営計画についてご説明します。当社にとって今年度は中計3年目の最終年度にあたります。中期経営計画の基本方針としては、「市場機会を活かし、高齢化社会に必要な街づくりに向けて、保育・医薬・介護事業の機能連携により『生涯を支える地域包括ケア』を展開する」ことを掲げています。
基本方針①では、先ほどもお話しした「子育て支援」と「地域包括ケア」という国の2大国策を展開する予定です。基本方針②では、顧客目線で保育・医薬・介護事業の連携を図り、ご利用者さまの満足に応え、地域ナンバーワンを目指すことを心がけたいと思っています。
3事業の市場機会 (医薬・介護・ 保育)
青木:3事業の市場機会に関してです。社会保障の給付費は、2018年の121兆円から2040年には188兆円と1.5倍の拡大が予想され、3事業の成長の機会となっています。国においても「こども家庭庁」が発足され、東京都による子育て支援策の推進が発表され、さらなる成長の機会になると考えております。
医薬事業の経営環境と対応策
青木:医薬事業の経営環境と対応策についてご説明します。最大の課題は、高齢化による医療費の拡大で毎年薬価が引き下げられることです。この対応策として、「高度専門薬局」を展開し、選ばれる薬局を目指しています。また、大病院の移転先や集客率の高い医療モールでの店舗開発を推進していきます。
2つ目の課題として、逆紹介推進による大病院の受診抑制や、紹介状無しの療養費の値上げがあります。この対応策として、「かかりつけ薬局」機能に加え、健康・栄養相談に応じ、地域の関係団体との連携や協力体制を整え、地域に根差した薬局を展開してまいります。
医薬事業
青木:日生薬局・ミアヘルサ薬局の特徴は、スライドのとおりです。現在の取り組みとしては、在宅輸液療法やオンライン服薬指導などで、在宅医療をサポートしています。また、高度薬学管理機能を強化して、処方箋単価は全国平均の約1.7倍となっています。そして、地域連携薬局、健康サポート薬局の認定取得により、地域支援体制加算をさらに強化しようとしています。
坂本:薬価改定が毎年行われていますが、これが非常に利益を圧迫するのではないかと思っています。先ほど、御社の強みである門前薬局を高度な技術が必要なものでカバーしていくというお話がありましたが、それを含めて今後の医薬事業の展開を教えてください。
青木:条件の良いM&Aなどを考えています。また、加算で薬価が下がる影響をフォローしたいとも思っています。当社の薬局は大病院の前に66パーセントあり、新薬などは大抵大病院で扱います。
坂本:高いところから徐々に下がっていくパターンですね。
青木:おっしゃるとおりです。高度薬学管理機能を強化して、狙っているというところがあります。
介護事業
青木:介護事業の主な特徴としては、地域包括ケアシステムの中心的役割を担っていることと、ドミナント展開によりサービス施設集積を図り、効率的運営を行っていることです。
介護事業の経営環境と対応策
青木:介護事業の経営環境と対応策においては、課題の1つとして「ホスピス対応型ホーム」における営業利益の改善があります。実は、末期がんや神経難病パーキンソン病の方の受け入れ、特に病院から退院するときの受け入れが出来難い現状があります。大変困っているケースがあるため、当社はそこにスポットを当て、困っている方をなんとか受け入れていこうとしています。
青木:主な特徴と現在の取り組みはスライドのとおりです。
坂本:新型コロナウイルス感染症の影響で、ここ数年、デイサービスを中心とした利用者の利用控えが御社の経営を圧迫したと思います。今年に入り行動制限が解除されたことを踏まえ、足元や今後の介護事業の展開について教えてください。
青木:おっしゃるとおり行動制限は解除されましたが、依然として控えている方がいらっしゃいます。
坂本:慎重な方がいらっしゃるかたちですね。
青木:高齢者の方は非常に感染リスクが高いため、今までどおりマスク着用や手洗い、うがい、消毒を継続していこうと思っています。ニーズはありますので、ホスピスやサービス付き高齢者向け住宅などの営業を強化しています。すでに1月からスタートしており、いつものペースよりも非常によい状況で、8月にオープン予定の「メディケアオアシス流山運河」も入居ペースが順調です。
保育事業
青木:保育事業の主な特徴はスライドのとおりです。
保育事業の経営環境と対応策
青木:保育事業においては、保育士の人材不足がどの園でも問題となっており、当社では採用ルートおよびグループ会社との連携を強化しています。おかげさまで採用にはさほど苦労せずに済んでいます。
一方で、新規公募数の減少により入札競争が激化しています。対応策として、認可保育園の新規公募に加えて、公立保育園の運営委託や民営化などの受託に挑戦していこうと思っています。
増井麻里子氏(以下、増井):待機児童の問題がけっこう解消されているとうかがっていますが、そのことで御社の保育事業にどのような影響があるか教えてください。また、特色を打ち出さないと募集などが厳しくなってくると思いますが、差別化戦略的なものがありましたら教えてください。
青木:確かに待機児童は解消されてきてはいますが、まだ不足している地域もあります。そのため、そのような地域に出ていこうと思っています。また、当社で一番の差別化になっているのは、人の採用ができているところです。保育園を建てても人が採用できず営業できなくなる園も随分ありますので、この部分が非常に大きいです。
さらに、当社は認可保育園も非常に多いです。認可保育園は自治体で園児を募集するため、こちらでは営業をかける必要がありません。そのあたりが他とは多少違うと思います。
増井:指定管理運営は「ひびき」と「ゆらりん」ですか?
青木:「ひびき」と「ゆらりん」は認可保育園のブランドになります。指定管理としては公立保育園の運営を受託しています。
増井:何か違いはありますか?
青木:「ゆらりん」は、ライフサポートの保育園の総称です。一方、ミアヘルサの保育園が「ひびき」です。
実はミアヘルサの「ひびき」よりも「ゆらりん」のほうが早くスタートしています。そのエリアでは「ゆらりん」のほうが浸透しているため、あえてそこを切り替えなくてもよいのではないかと思っています。
ライフサポート
青木:ライフサポートの特徴は児童育成を実施していることが大きいです。その実績はスライドのとおりです。
ライフサポート
青木:ライフサポートの取り組みでは、児童育成事業の新規プロポーザルの獲得に力を入れていきます。
中期経営計画(進捗状況)
青木:中期経営計画の進捗状況です。2023年3月期の業績状況と足元の事業環境を踏まえ、2024年3月期の計画を下方修正しました。スライドには、2022年6月8日に開示した修正版中期経営計画との比較を載せています。
中期経営計画 数値計画
青木:業績予想はご覧のとおり、営業利益と経常利益の目標を2億8,000万円とし、まずは利益の回復を見込んでいます。また、当期純利益は1億3,000万円で減益の見込みとなっていますが、こちらは特別利益である保育園の施設開設補助金を計上していないためです。
中期経営計画 セグメント別数値計画
青木:セグメント別の数値計画はスライドのとおりです。ここで特筆すべきは介護事業で、先ほどもお伝えしたとおり、営業の強化を図り増収増益を狙っているため、このような見込みとなっています。
財務・資本施策(計画)
青木:資本政策と株主還元のうち、財務・資本施策についてです。キャッシュフローでは、営業キャッシュフローの増加と財務の健全化に取り組み、効率的な成長投資を行います。また、純資産としては、安定的な継続配当に向けて自己資本比率の充足を図ります。
資本政策と株主還元⽅針
青木:資本政策と株主還元方針についてです。成長投資に加え、安定経営に向けた自己資本比率の充足を図り、安定的な配当を継続していきます。利益によってアップダウンするのではなく、あくまでも安定的な株主還元を考えており、今期の年間配当は30円を予定しています。
株主優待制度
青木:株主優待制度についても、昨年と同様の内容を考えています。
坂本:昨年9月に株主優待制度を開始されていますが、個人投資家の反応や効果などを教えていただけたらと思います。
青木:よくぞ聞いていただいたと思います。
坂本:いえいえ。やはりこのようなところは、みなさまもけっこう好きですからね。
青木:株主優待制度を開始したことにより、株主の総数は1.5倍となり、300株の投資家の方は4.5倍に増えました。
坂本:100株の方が一番多くもらえるパターンがほとんどですが、300株が多いとなるとやはり投資すると思います。
青木:おっしゃるとおり、非常に効果があったと考えています。
SDGsに関する取り組み
青木:SDGsに関する取り組みについてです。私たちの事業自体がSDGsで取り組んでいる内容に合致していますので、引き続き社会貢献に努めていきたいと思っています。
以上でご説明を終わります。ご清聴ありがとうございました。
質疑応答:介護・保育分野の現状と今後の対策について
坂本:「介護・保育の分野は、人手不足の問題や良質な人材の確保と教育など、コスト的にも大変だと思いますが、現状と今後の対策について教えてください」というご質問です。
先ほど、御社は人材の確保がうまくいっているというお話をいただきましたが、採用の特徴などもあると思いますので、そのあたりを含めて教えていただければと思います。
青木:介護事業と保育事業の両方で、定期的に新卒者の採用ができていることはとても大きいと思います。
また、人材教育について、介護事業では定期的にケアプランの勉強会を行っています。介護保険サービスを利用する際には、サービス提供者とケアマネージャーの間で意見を合致させた、ケアプランという計画書が必要です。こちらは、利用者にとってどのようなサービスが必要で、どのようなことが経過すると、3ヶ月後から6ヶ月後に改善しているかを見ていくもので、改善型につながっていく部分になります。
保育事業では、階層別に専門教育を行うことで質の向上を目指しています。人材採用の費用を抑え、その分人材教育にはある程度の適正なコストをかけています。
坂本:御社は介護事業、保育事業ともに多店舗展開していますが、やはり人材の融通のようなものはあるのでしょうか? そちらも御社の強みとなっていますか?
青木:おっしゃるとおりです。例えば、入社2年目から3年目に辞めたくなる状況がよく起こるとうかがいますが、エリアで展開していると、そのような状況を防ぐことができます。
坂本:環境を変えてあげることができるということですね。
質疑応答:介護事業の利用者やサービス内容について
増井:「介護事業について、対象の利用者やサービスなどの詳しい内容を教えてください」というご質問です。
例えば、軽度者や中重度者ではどちらのほうが多いか、また通所型や訪問型などのいろいろな形態があると思いますが、そのような内容について教えていただけますか?
青木:当社の利用者は、サービス付き高齢者向け住宅やグループホームに入っている方が多く、平均するとだいたい要介護度は2.8ぐらいです。例えば、90代の方が転倒等による骨折で入院された場合、退院時には介護度が上がってしまっているケースがありますが、もう一度、要介護度を改善させ、長期間維持できるようなサービスを提供しています。
増井:そうしますと、そこまで重度者の方は多くなく、軽度の方が多いのでしょうか?
青木:中には、重度の末期がんの方や動けない方、病院から退院されて余命が1週間くらいの方もいらっしゃいます。しかし、家族の方が来てお会いできると、余命が1週間から10日くらいに伸びることもあります。
質疑応答:首都圏以外への事業展開について
坂本:「首都圏を中心に事業を展開されていますが、今後も首都圏を深掘りしていくのか、それとも近畿など他の地方にも拡大していく方針なのか、見通しについて教えてください」というご質問です。
青木:どうしても、子育て世代の方は都心に集まる傾向があります。また、高齢者も都心に多くおり、今後も増えていくことが大きな課題になっています。そのため、当社では変わらず1都3県にスポットを当てていこうと思っています。現在の段階では関西方面に展開することは考えていません。
質疑応答:配当について
坂本:スライド45ページの配当について、こちらは自己資本に応じての配当というイメージで書かれていると思います。最近よくあるDOE的な考えで、自己資本比率が向上すると配当が切り上がっていくのか、それともいったん30円を下限としてこのまま進めるのか、イメージを教えていただきたいです。
青木:今のところ、まずは利益を多く持っていかなければ、まだ配当を上げることはできないと思っています。今は、下げることなく安定的に維持できる段階まで持っていきたいと考えています。
コロナ禍によってかなりダメージを受けたため、株主としては30円からさらに下がるのではないかと心配されていた方もいるようです。しかし、当社は4事業を展開していますので、介護事業が駄目なら他のところでフォローできます。この特性を活かし、安定的に株主配当を行っていけると思っています。
質疑応答:今後もっとも力を入れる事業について
増井:今後5年から10年のレンジで、医薬事業、介護事業、保育事業のどちらに、もっとも力を入れますか? また、そこに関連してM&Aなどをお考えかどうかについてもうかがいたいです。
青木:今後は、高齢者の数が圧倒的に増えるため介護事業も必要ですし、保育事業も必要です。要するに、介護事業と保育事業は車の両輪なのです。今後は担い手がいなくなりますので、その担い手を作るためにも両方に取り組んでいかなければいけないと思っています。
また、医薬事業については、子供から高齢者の方まで薬を飲みますので、オールマイティーに必要なものだと思っています。
増井:M&Aについてはいかがでしょうか?
青木:M&Aについては、例えば「後継者がいない」「採用ができず継続が難しい」というような、私どもにとって良い案件があれば、積極的に考えていきたいと思っています。
質疑応答:今後のホスピスの展開について
坂本:「今後、ホスピスを増やしていくかどうかを教えてください」というご質問です。同業他社が上場されていますので、そのあたりの動向を聞きたいという意図のご質問だと思います。
青木:ホスピスだけを展開することは考えていません。末期がんの方だけを対象にすると、やはり出入りも多いため、回転が非常に早くなります。したがって、その地域で求められている施設があれば、そちらにプラスアルファして展開していこうと考えています。
今後オープン予定の「メディケアオアシス流山運河」は、1階がサービス付き高齢者向け住宅、2階と3階がホスピスフロアとなっています。このように、末永く住んでいられる方とそうではない方をミックスしていくことが重要だと思います。
坂本:他社の施設を見ていると、パーキンソン病など病状が長引く重度の方を入所させて収益を得ている部分があると思いますが、御社は複合で取り組んでいくイメージでしょうか?
青木:おっしゃるとおりです。
質疑応答:今後の国策が経営に与える影響について
坂本:「国策として、子育て支援や医療・介護などの一体改革が行われていく予定ですが、御社の経営に対する影響があれば教えてください」というご質問です。指針がまだきちんと定まっていないため、なかなか難しい部分はあると思います。
「小1の壁・小4の壁」問題をきれいにすればイメージも上がると思いますし、保育園では高学年の充足率が厳しいなどの問題もあると思いますが、そのあたりについて御社はどのように考えていますか? 改革の方針がしっかりと出てから考える部分もあると思いますが、意気込みや現状を教えていただけたらと思います。
青木:実は、私どもが和光市の北エリアで介護サービスを開始した時、地域包括支援センター業務も2ヶ所行っており、その時から子供の包括支援センターも必要だと言われていました。そのため、市では今ある高齢者の地域包括支援センターの中に、子育て支援も入れていくという方法で進めようとしましたが、やはり厚生労働省と文科省で管轄が違いますので、うまくいきませんでした。
しかし、現在までずっと事業を続けていると、やはりそれが必要になってきているということをすごく感じます。そこで、先ほどお伝えした新小岩のほうで、保育を中心に介護をプラスするかたちでの施設を作りました。
保育については自治体から言われていましたが、プレゼンでは保育と介護の両方に対応できる事業者という点が選ばれたポイントだと思っています。そのため、今後はやはり、その2つが同じ地域にあることがとても大事なのではないかと思っています。
当日に寄せられたその他の質問と回答
当日に寄せられた質問について、時間の関係で取り上げることができなかったものを、後日企業に回答いただきましたのでご紹介します。
<質問1>
質問:中期経営計画の見直しで、2024年3月期の下方修正をしました。この背景と誤算について教えてください。また、修正後の目標の達成に向けた意気込みを語ってください。
回答:決算短信でもご説明していますが、介護部門(通所介護施設等)の業績が新型コロナウイルスの影響を受け、大きく損失となったことが要因です。
2023年3月期は前年度と比較し、ご利用者さま・スタッフ内での新型コロナウイルスの感染者数が多く、事業所の休業日数が増加しました。また、コロナ禍で営業活動が抑制されていたことも大きく影響しました。
今年度は営業活動ができる状況にあり、現在、営業の強化に向けた組織編制を行っています。2024年3月期の業績予想として、まずは2022年3月期の業績まで回復する計画とし、新体制で目標達成に向けて取り組んでいきます。
<質問2>
質問:介護事業の営業利益が減っていますが、入居率や利用者数の減少の要因は何でしょうか? 2022年対比で考えるとコロナ要因ではないと感じるのですが、価格面や競合要因でしょうか? もし、コロナ要因であれば、2024年3月期には介護事業は大幅に黒字になる見込みとみても良いでしょうか?
回答:確かに、前年度も新型コロナウイルスの影響があったことから、新型コロナウイルス以外にも要因があるのではないかとお考えになる方もいらっしゃると思います。
継続的に続く新型コロナウイルスの影響は、ご利用者さまの減少というかたちで現れ、年々大きくなっていく傾向があります。また、利用促進のための営業活動が十分に出来なかったことも翌年に大きく影響しました。
介護の利用料は国が定めているため、価格は影響しておりませんが、2024年3月期の業績予想として、まずは2022年3月期の業績まで回復する計画としています。
<質問3>
質問:来期の利益見通し(経常利益、純利益)を教えてください。
回答:2024年3月期は経常利益2億8,000万円と、前年より大幅な改善を予想しています。また、損失の出ている介護部門の改善に向け、通所介護施設4事業所を閉鎖し、減損処理を計上するとともに、今期は施設補助金を計画していないため、当期利益は1億3,000万円としています。
<質問4>
質問:経常利益率3パーセントの目標は、いつ達成できるのかを教えてください。
回答:次期中期経営計画において、達成に向けた検討をしていきたいと考えています。
<質問5>
質問:物価・光熱費、人件費が上昇していますが、それに伴い保育料、介護費用の値上げ、価格転嫁を行えているのか教えてください。
回答:当社の主事業の価格は政府が決定しており、こうした環境に対しては補助金が交付されています。当社グループでも、特に人件費の高騰に対する補助金は加算・計上しています。
<質問6>
質問:利益が第1四半期・2四半期に赤字で、下期に黒字化するなど、利益が出る時期が下期に偏るのはどうしてなのかを教えてください。
回答:調剤薬局では、12月から3月にかけての季節性インフルエンザ・花粉症等の影響もあり、下期に売上げが増える傾向があります。また、保育園等では園児数が4月以降に増える傾向が見られることや、補助金の処理も後半に集中する傾向にあるためです。
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