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FRBが利上げ見送り! 今後の米利上げの見通しは?
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●FRBが利上げを見送り
6月13、14日に開催されたFOMC(米連邦公開市場委員会)で、FRB(米連邦準備理事会)は2022年3月の利上げ開始後、初めて利上げを見送った。
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昨年3月から10会合連続で利上げをしてきたFRBだが、初めて政策金利を据え置くこととなった。
ただFRB参加者による政策金利の見通しは、中央値で0.5%上昇しており、今回は据え置いたが、年内にあと2回利上げが行われるという予想となった。
この想定以上のタカ派な声明を受けて、NYダウは大幅下落し、一時400ドル超も下げる場面もあった。
その後、パウエル議長が追加利上げについて明確な方針を示さなかったことで、下げは約230ドルで収まった。
●FRBの思惑
パウエル議長は、見送りの原因を相次ぐ銀行破綻とははっきりとは言わなかったが、銀行破綻と住宅ローン金利の上昇による不動産市況の悪化が影響していることは、否定できないだろう。
一方で、インフレ率2%からは程遠いこと、労働市場が好調なことなど、利上げを続けるだけの条件はそろっている。
特にコア個人消費支出(PCE)価格指数が低下していないことに言及しており、まだまだインフレ抑制には不満であるととれる。
一方で、パウエル議長は緩やかな利上げペースを目指しているという発言や、ペースを緩めることは妥当とも発言しており、利上げペースの鈍化を認めていることは確認できる。
●利上げの停止はいつになるのか?
今回の利上げの見送りは市場でも想定内だった。今回を見送り、7月の会合での利上げが最後という見方が多かった。
しかし今回の会合で政策金利見通しが上がり、利上げがあと年2回あること、パウエル議長が「利下げが2年先になるかもしれない」と発言するなど、内容は“タカ派”であったと受け取られた。
当然のことながら、今後の行方は経済指標次第になる。
翌日に発表された5月鉱工業生産指数は予想に反しマイナスだが、5月小売売上高は予想以上に好調であるなど、景気は順調とも言える。
今後、景気指標の悪化のニュースが出て、景気減速が顕著となれば、一気に利上げ停止、利下げの前倒しが意識される展開となりかねない。
まだまだ紆余曲折がありそうである。(記事:森泰隆・記事一覧を見る)
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