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松江の一畑百貨店が2024年1月で閉店へ、島根が全国3カ所目の百貨店空白県に
島根県唯一の百貨店である一畑百貨店(松江市朝日町)が、2024年1月14日で閉店することが決まった。2014年度から9期連続で赤字が続く中、ばん回をかけて計画したリニューアルのテナント誘致に失敗した。島根県は山形、徳島両県に次ぐ全国3カ所目の百貨店空白県となる。
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一畑百貨店は1958年、地元の一畑電気鉄道が松江市殿町で開業し、1998年に松江店をJR松江駅前の現在地に移転した。売り場面積は約1万4,000平方メートルで、中心市街地の商業が停滞する中、2001年度にピークの年商108億円を達成するなど2000年代は毎年のように年商100億円以上を売り上げ、地域の経済を支えてきた。
しかし、郊外型ショッピングセンターの進出やインターネット通販の台頭、地域の人口減少で2010年代に入って売り上げが低迷、赤字に転落した。出雲市や浜田市にあった他店舗を閉め、2024年を目標に松江店をリニューアルする計画だったが、テナントが集まらずに断念した。
地方百貨店の苦境はここ数年、急加速している。山形県と徳島県で唯一の百貨店が閉店し、小規模のサテライト店を除いて百貨店空白県になったほか、福島県や滋賀県、和歌山県、高知県、佐賀県など1店舗しかないところも増えている。
若者の百貨店離れ、高齢化社会の進行もあって、地方百貨店の購買層は急激に高齢化している。コロナ禍前に大都市の百貨店を活気づかせた訪日外国人観光客の恩恵を受けなかった地域では、商圏の縮小とともに百貨店が体力を削られ、コロナ禍の打撃が重くのしかかっている。
アパレル業界など百貨店に出店しているテナントも、地方百貨店への店舗開設に二の足を踏むようになっており、政令指定都市規模の商圏を持たない地方百貨店の苦境は当分、解消されそうにない。(記事:高田泰・記事一覧を見る)
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