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ジェームズ・ウェッブ宇宙望遠鏡による、初の太陽系外小惑星帯の研究 ESA
JWSTによって捉えられたフォーマルハウト恒星系の画像 (c) NASA, ESA, CSA, A. Pagan (STScI), A. Gáspár (University of Arizona)[写真拡大]
欧州宇宙機関(ESA)は8日、ジェームズ・ウェッブ宇宙望遠鏡(JWST)による、初の太陽系外小惑星帯研究に関する情報を公開した。太陽系では小惑星帯は火星の公転軌道と木星の公転軌道の間に位置しており、直径100kmを超える小惑星が220個ある。ウィキペディアによれば、これまでに太陽系外で存在が確認されている小惑星帯は14あり、最も遠いものでも地球からの距離は440光年と比較的近くにあるものばかりだ。
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JWSTによる詳細な観測が実施されたのは、地球から25光年の距離にある1等星フォーマルハウトが率いる恒星系だ。
ESAではその詳細画像を公開しているが、これによれば3つのリング構造が鮮明に識別でき、リングの最外周直径は150天文単位、それを取り巻くハローの直径は240天文単位にも及ぶ。これは太陽系のカイパーベルトの最外周直径をはるかにしのぐだけでなく、太陽系を取り巻く小惑星帯やカイパーベルトの構造と比べるとはるかに複雑だ。
フォーマルハウトの小惑星帯はすでにNASAの赤外線天文衛星IRASにより、1983年に発見されていたが、このような詳細な内部構造が明らかになったのは初めてのことだ。またこれはJWSTの優れた赤外線探査能力によるところが大きいという。
太陽系における小惑星帯は、木星がその外縁を周回して他の領域との境界を形成し、海王星がカイパーベルトの内周を周回してそれ以外の領域との境界を形成している。それと同様、フォーマルハウト恒星系における複雑なディスク構造も、地球からは直接見ることができない惑星の存在がカギを握っているのではないかと、研究者らは推察している。
今回は太陽系のそれと比べてかなり複雑な構造の存在が明らかとなったが、それはフォーマルハウトが太陽の約2倍の質量をもち、誕生から5億年ほどしか経過していない若い星だからなのかもしれない。
今後サンプルとなる恒星の年齢や大きさのバリエーションを増やしていくことで、どんな場合にどんな構造に進化するのか情報の類型化が進めば、恒星系の進化論も大いに進歩が期待できることだろう。(記事:cedar3・記事一覧を見る)
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