コロナと値上げで鍛えられ筋肉質になった、尾家産業の魅力的PB商品&投資戦略

2023年5月5日 15:26

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 尾家産業(東証スタンダード)。全国に拠点網を持つ、業務用食品卸大手。PB商品展開にも特徴。

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 1947年(昭和22年)に大阪公設市場中の小さな食料品店として、産声をあげた。その後の流れは大きく2つに収斂される。

 『外食産業市場(ホテル・レストラン・居酒屋/総計25兆円規模)の深耕』、『業務用食品スーパー:サンプラザの拡充』。前者に関しては東京・大阪圏のチェーン店向け、他に対しては各都道府県に相談コーナーを設置し「相談・提案型営業」を主軸としてきた。

 コロナ禍で厳しさに晒されたのは、容易に想像がつく。2021年3月期は、例えば18億3600万円の営業損失に転落した。が「地力」というべきか22年3月期は依然7億8100万円の営業損失下で、10円の復元配を実施した。

 そして23年3月期も「23.4%増収、8億7000万円営業利益、6億5000万円最終純益、20円配」計画で立ちあがり、中間期開示と同時に「27.5%の増収(900億円)、12億円の営業利益、7億9000万円の最終利益」に上方修正。第3四半期の実績は「706億700万円、13億6500万円、12億6100万円」に至っている。

 上方修正に際して尾家産業は興味深いコメントを発している。「コロナと値上げラッシュに鍛えられ、筋肉質になった感じ」。

 そんな尾家産業が目下注力しているのが、病院や介護施設向けのヘルスケアフード。2011年6月に進出。「現在、貴社のヘルスケアフードを導入している病院・介護施設数は」という問い合わせに広報担当者は「公表していない」としたが、その拡充ぶりは(今期)第3四半期の決算書類からも読み取ることが出来る。

 「ヘルスケアフード業態や中食業態で営業強化。ヘルケアフードでは新発売の『おいしい海 骨なし縞ほっけや、おいしい海 骨なし皮なしバサ』などのPB商品が多くの高齢者施設等で採用頂いた。また咀嚼・嚥下しやすい食材を使用した『やさしいお節』も、今年も多くの病院・老健施設でご利用頂いた。結果ヘルスケアフードの売上高は前年同期比109%と伸ばすことが出来た」

 また尾家啓二社長も徐々に浸透する中で2015年には、「前期に初めてヘルスケアフードで70億円の予算を計上したが・・・早期の100億円達成を狙う」と発言している。

 時期を捉えた分野への積極策が打たれ、着実に効果をあげていると捉えることが出来る。

 周知の通り東証は「PBR1倍以下企業」に是正を勧告している。尾家産業の時価のPBRは0.93倍。だが改善に不可欠な巡視残額は、21年3月期の純資産99億円が今期末には106億円超予想と着実な進捗が予想されている。材料株とみることも出来る・・・(記事:千葉明・記事一覧を見る

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