【映画で学ぶ英語】『フェイブルマンズ』:副詞・前置詞aroundのもう1つの使い方

2023年5月3日 16:16

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 5月10日からダウンロード先行販売が開始される映画『フェイブルマンズ』は、巨匠スティーヴン・スピルバーグの青春時代の経験にもとづくドラマ映画だ。

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 ゴールデングローブ賞では、スピルバーグ監督が作品賞と監督賞のダブル受賞という、『プライベート・ライアン』以来24年ぶりの快挙を成し遂げた。アカデミー賞でも受賞こそならなかったものの、7部門にノミネートされている。

 今回はこの映画のセリフから、前回もとりあげた副詞・前置詞aroundの別の用法を紹介したい。

■映画『フェイブルマンズ』のあらすじ

 1952年1月、両親に連れられて映画『地上最大のショウ』を観た少年サミー・フェイブルマンは、列車が車に衝突するシーンが目に焼き付いた。

 家でサミーは、父親の8ミリカメラと鉄道模型を使って衝突のシーンを再現して撮影する。現像された自分の映画を観たときから、サミーは映画の魅力に取り憑かれた。

 5年後、コンピューター技師だった父の仕事の関係でフェイブルマン一家はアリゾナ州フェニックスに引っ越した。すっかり映画に夢中のサミーは、ボーイスカウトの仲間や妹たちを役者にして映画を撮影し、片時もカメラを手放すことはない。

 ある日、一家は父親の同僚で親友のベニーも連れてキャンプに出かける。その様子をカメラに収めたサミーは、家でフィルムを編集しているとき、母親の重大な秘密を知ってしまう。

 かくして少年サミーは、思いがけず芸術と人生の葛藤に直面することになるのだった。

■今回の表現

 映画の前半、父親のバートは食卓で家族に自分が開発に携わる巨大な真空管電算機、BIZMACの解説を始める。ちなみにバートのモデルでスピルバーグ監督の父親のアーノルド・スピルバーグは、実際にこのコンピューターの開発に従事していた。

 専門用語を用いたバートの話は、子どもにはチンプンカンプン。だが同席した親友のベニーは、磁気テープを映画のフィルムにたとえて、子どもにもわかりやすく仕組みを解説した。

 それを聞いていた母親のミッツィは、2人を褒めて次のように言う。

 I love Burt’s brain. Especially when your’re around to explain what’s in it.

 「バートの頭脳には惚れ惚れする。特にベニーがその中味を解説してくれるときには」

■表現解説

 今回の表現を解説する前に、本作のタイトルについてふれておく。

 原題は「The Fabelmans」となっており、これは『アバター:ウェイ・オブ・ウォーター』で学習した、「~一家」を意味する複数形だ。ちなみに「フェイブルマン」という姓は、ドイツ語のFabel、英語でfable「寓話」という言葉から作り出された架空の名前である。

 さて、今回とりあげる副詞・前置詞aroundの基本的な意味は、「周囲に」「あちこちに」である。

 前回紹介した、「I’m not from around here、私はこの土地のものではない」のaroundは、「周囲」の意味の例だ。

 だが、aroundの最も根幹となる意味は「円周に沿って」という意味で、「the wheel goes around、車輪が回る」のように使われる。

 このことから、円周の長さを質問するときには「How many feet around is the pool?(円状の)プールの円周の長さは何フィートか」となる。答える場合には「It (the circumference) is about thirty feet around. 円周約30フィート」となる。

 さらにaroundは別の意味にも応用できる。

 今回とりあげたセリフにあるaroundは、「ある場所に存在する」という意味で、be aroundの組み合わせでよく用いられる。

 たとえば転勤の前など、「I'll be around helping the team until the first week of May、5月の最初の週まではチームを支援しています」と言う場面が考えられる。(記事:ベルリン・リポート・記事一覧を見る

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