関連記事
日野自動車が大赤字!? 今後の行方は?
●日野自動車が下方修正
トラック・バス製造大手の日野自動車は29日、2023年3月期通期決算に関して、純損益予想を1280億円の赤字へと下方修正した。
【こちらも】CJPTから日野を除名 エンジン認証試験の不正で 物流にも影響か
日野自動車は、トラック・バスに搭載するエンジンの認証試験で、長年にわたり不正を行ってきたことが発覚し、業績が悪化していた。不正での業績悪化もあるが、問題はそれだけではなさそうだ。
トラック・バスでは、国内メーカーでいすゞ自動車に次ぐ、世界的シェアを持つ日野自動車だが、今後の見通しはどうなるのだろうか?
●日野自動車
日野自動車は東京都日野市に本社を置く、トラック・バスの商用車メーカーで、トヨタの連結子会社でもある。日経平均株価及びJPX日経インデックス400の構成銘柄ともなっている。
2004年3月期に売上高が1兆円を突破。2010年代からはインバウンド需要にも支えられ、2019年3月期には約2兆円近い過去最高の売上高を記録している。
2020年以降はコロナ禍により、旅行需要の減少や、団体旅行から個人旅行へのシフトチェンジが進み、観光バスの需要が減少。
2022年3月にはエンジン燃費測定試験の不正が発覚し、その後の調査で少なくとも2003年から不正を行っていたことが分かっている。
●追い風のはずのバス・トラック業界!?まだまだ課題も
アフターコロナの波が日本にも波及してきており、外国人観光客も徐々に戻りつつある中、再びコロナ前のインバウンド需要が期待されている。
コロナ禍では、アジア地域のサプライチェーンの崩壊による供給面の制約だけでなく、公共工事の停止によるダンプカーなどの需要も冷え込んだ。
これらが克服されつつある今、日野自動車にとっても追い風になるはずであった。
一方で昨年から続くロシアによるウクライナ侵攻による原油の高騰や、物価高など、まだまだ逆風もある。
燃費不正問題の対処がまず必要だが、先を見通した投資も必要だ。日野自動車は、大林組との共同開発で建設現場の自動運転ダンプ(レベル4)の実証実験を進めており、昨年からは電気自動車(EV)トラックを発売している。
コロナ禍を克服しても、2019年までの好業績とは取り巻く環境が大きく変わっており、復活までの道のりは険しいかもしれない。(記事:森泰隆・記事一覧を見る)
スポンサードリンク