収益が経済立ち直りを反映する:ツナググープHDを株価も素直に好感

2023年3月24日 08:34

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 ツナググループ・ホールディングス(東証スタンダード。以下、ツナググループHD)。「小売業や飲食業のアルバイト採用代行が主軸の人材仲介企業」とされる。コロナ禍に伴う社会経済活動の制約が薄れる傾向のいま、その収益動向は興味深い。

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 2020年9月期は6億1000万円の営業赤字、21年9月期は立ち直り基調を示す1億500万円の赤字も連続無配を強いられた。それが前期は2億1500万円の黒字に転じ復配5円配。そして今9月期は「15.5%の増収(147億円)、53.1%の営業増益(3億3000万円)、3円増配8円配」計画で立ち上がった。

 外出規制の大幅緩和策や入国規制の見直しなど「社会経済復活」の兆しが具体化し始めた、第1四半期動向を見守った。結果は「前年同期比25.2%増収(35億1700万円)、220%営業増益(4200万円)、531.4%最終増益(3300万円)」。ツナググループHD、そして社会経済動向の今後に期待を抱かせるものになった。

 期待に胸をときめかせ?決算書類を読んだ。セグメントは『ヒューマンキャピタル事業』と、『スタッフィング事業』。

<前者>: 「RPOサービス」物流・サービス・飲食・小売り・製造業の大手企業中心の、アルバイト・パートスタッフ採用が高まった(前年同期比約3割増)。ビッグデータと広告配信技術を駆使した、DXリクルーティングサービス(効率的な採用を実現するためのWeb面接)が前年同期比7割方増加。短期単発バイト専用サービス「ショットワークス」が、3割方増加。結果前年同期比21.3%増収(27億3600万円)、営業利益5100万円(400万円損失)。

 この限りでは、社会経済の急速な回復への期待を膨らませてくれる。

<後者>: 22年9月期第3四半期から、日総工産(東証プライム。製造業系人材派遣・受託企業)との間で合弁会社を設立。製造業関連の軽作業用人材派遣に進出。また派遣・紹介用スタッフの研修店舗を兼ねたコンビニ(セブンイレブンのFCとして9店舗)も展開している。57.3%増収も1600万円の営業損失だが、事業力強化の施策として評価に値する。

 本稿作成中の時価は600円台前半。予想税引き後配当利回り1%。昨年1月安値238円を底に春以降じり高。11月に600円を超え400円余まで押し目場面を挟んで今年3月に715円。収益回復を勘案すると押し目場面の拾い姿勢が肝要ということか。(記事:千葉明・記事一覧を見る

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