踊り場の収益状況:エニグモ須田CEOのメッセージを株価は信用している!?

2023年3月3日 08:21

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2022年11月に全国放映されたバイマのTVCM。(画像: エニグモの発表資料より)

2022年11月に全国放映されたバイマのTVCM。(画像: エニグモの発表資料より)[写真拡大]

 エニグモ(東証プライム)の創業者社長:須田将啓氏は、一口で言えば「やんちゃさ」を残した磊落な御仁。Zoomで2度ほど話をしたが、それが率直な実感。出身地:茨城県に自前で築古ビルを購入し「起業家塾」を催すなど、起業家の輩出を牽引しようという側面などにも魅力を覚えさせてくれる人物でもある。

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 エニグモは周知の通り、服飾品に特化したネット通販「バイマ」を展開している。日本では手に入らない品物を、パーソナルショッパーと称される海外の会員(72カ国20万人余り)がネットを介し提案(提供)、国内の購入会員(1000万人余り)が買い入れる。提供される商品数は年間640万品余りに及ぶという。

 そんなエニグモの収益が、踊り場を迎えている。2021年1月期は「7.6%増収(76億1600万円)、2.0%営業減益(29億7100万円)、2.1%最終減益(20億5500万円)、10円配」。対して23年1月期は「環境不透明」を理由に、「収益」「配当」とも未定計画とした。遠からず23年1月期が開示されるが、第3四半期時点の実績は「47億4000万円、8億2400万円、5億9000万円」という状況。

 やんちゃな須田氏の顔はどんな具合かを拝んでみたいなと思っていた矢先、早々にカウンターパンチ?を食らった。

 1月19日、当初未定としていた今期の配当を「10円配実施」と発信した。「当社は引き続き成長過程にあるため、成長投資(M&Aや資本提携のみならず、人材への売り上げ成長をもたらす戦略的マーケティング投資を含む)を最優先している。当期については厳しい外部環境下で当期純利益は減益となる見込みだが、来期以降の投資計画を勘案しても安定した配当を維持できる財務状況であると判断した結果、当期配当は前期同様の10円とすることにした」。

 また今後の見通しも、こう語っている。「創業時からの信念『世界を変える。新しい流れを。』をより強く意識するとともに、これを基軸においた長期的な企業価値の創造と向上に邁進することにした。このための投資を、短期的な利益成長を追わず直近数年をかけて行うことで一過性ではなく、時代を超えて価値を提供する会社を目指す」。

 コロナ禍を潜る中で消費者の購入意欲の変化、かつ円安進行という状況下で捉えた「変化」を今後に着実に活かしていこうというわけだ。

 そんな須田:エニグモに株価はどんな姿勢を見せているのか。昨年来高値772円(昨年1月)から同安値457円(7月)まで下落。その後600円近くまで戻し480円水準まで調整。昨年末から今年初めに660円水準まで買い直され、時価は600円台入り口水準。「配当実施」「新戦略」を評価していると映る。時価の予想税引き後配当利回り1.3%を享受しつつ待ってみるのも一法か。(記事:千葉明・記事一覧を見る

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