関連記事
陸軍省の命令で立ち上がったトプコンの、大転換期と足元
2022年10月に発売された「フルオート無散瞳眼底カメラ NW500」(画像: トプコンの発表資料より)[写真拡大]
トプコン(東証プライム)は測量機や、GPS応用製品を展開している。具体的には建機・農機の自動化で世界首位級の実績を誇っている。また、眼科検査機も手掛けている。
【こちらも】メドピアが医者から聞いた、今年を象徴する&来年に期待する1文字の漢字
2022年、創業90年を迎えた。だが入り口は1932年の陸軍省の要請だった。「測量機の国産化」。これを機に、国産光学機器のパイオニアの道を歩み出した。測量機・双眼鏡・カメラ(1950年代半ばには、一眼レフ分野にも足を踏み入れている)であり、終戦直後の47年には検眼機(簡易視力検査機)を眼鏡卸協同組合の要請で開発している。
そんなふうに始まったトプコンの大きな転機は、1994年の米国ベンチャー企業の買収に求められる。現社長の平野聡氏はHPなどでこう振り返っている。
「既に測量機器のデータを活用したCADが使われていた。しかしデジタル化した設計図も印刷して使うなど、建設現場にとってはアナログのままだった。それを解決するためのM&Aだった。ベンチャーが有する技術を活かせば、データを活用し建機を自動的に動かすことができる。そうなると測量・設計・施工・検査をデジタルでつなぐことで建設現場の工事が効率的に進められると思い付いた結果だった。」
その延長線上に、農機を自動的に動かすことで農業現場の効率化が浮上し実践に移した。
建設・農業の現場は、世界中にある。それを効率化するための建機・農機の自動化、言い換えればDX化の推進がトプコンをして世界的な企業に押し上げていった。
そんなトプコンも2021年3月期にはコロナ禍の影響を受け大幅な減益を余儀なくされた。が、22年3月期から収益軌道を回復させている。今期も「7.7%増収、14.7%経常増益、12.2%最終増益、4円増配40円配」で立ち上がり、10月28日に円安を主因に「13.4%の増収(2000億円)、21.5%の経常増益(180億円)、16.8%の最終増益(125億円)、42円配」に上方修正した。
中間期決算を覗くと『アイケア事業』の好調が確認出来る。眼科医不足は世界的なのだとか。そこでトプコン独自の光学技術を活かしたフルオートで測定・撮影出来る装置が開発され、医者や眼鏡チェーンで活かされている。前年同期比24.7%増収(314億9200万円)、188.8%営業増益。「部材価格・物流費増を(高齢化社会進捗に伴う)需要増をカバー」としている。
本稿作成中の時価の予想税引き後配当利回りは2%余。IFIS目標平均株価は時価の800円余上値。どう対応するか!?(記事:千葉明・記事一覧を見る)
スポンサードリンク