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甲子化学工業、廃棄ホタテ貝殻を使用のヘルメット「ホタメット」開発
甲子化学工業は14日、ホタテ貝殻を活用した環境配慮型ヘルメット「HOTAMET(ホタメット)」の製品発表を行った。企画開発にはTBWA HAKUHODO、デザイン開発には2016年にTBWAから分社化し事業化支援などを手がけるquantum(クオンタム)が参画。素材には北海道猿払村の廃棄ホタテ貝殻を活用し、製品化により廃棄物の削減と再資源化に寄与するという。
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甲子化学工業は、1969年創業の老舗メーカーで、プラスチックを軸に汎用樹脂や部品、完成品の製造までを手がけている。開発の背景には、猿払村で廃棄されるホタテ貝殻の堆積問題がある。
猿払村は日本有数のホタテ貝水揚げ量を誇る地域で、加工の際に発生する貝殻は年間約4万トン。21年には再利用目的の国外輸出が減り、廃棄貝殻の堆積が増えて、土壌汚染や堆積場所の確保などが問題化していた。そうした現状を受け、甲子化学工業とTBWAとでホタテ貝殻の再資源化に向けた取組みを開始したという。
再資源化にあたっては、ホタテ貝殻の主成分が炭酸カルシウムであることに注目。炭酸カルシウムは硬さや滑らかさの調整などのためプラスチックに配合されており、主に石灰石が原料に用いられている。甲子化学工業は、大阪大学大学院工学研究科の宇山浩教授の協力を得て、廃棄プラスチックとホタテ貝殻の粉末を組合わせた新素材「カラスチック」を開発。HOTAMETはそのカラスチックを用いて製造されている。
カラスチックは、ほぼ100%廃棄素材で作られているため、新品のプラスチックを100%用いた場合と比較し、CO2を最大約36%削減する。石灰石由来のプラスチックとの比較でも、約20%のCO2削減に寄与するという。
HOTAMETのプロダクトデザインには、自然界や生物の仕組みから学び、そのデザインやプロセスを技術開発に用いる、バイオミミクリー(生物模倣)を採用。貝殻特有のリブ(補強)構造をデザインに取り入れ、通常の形状よりも約30%強度を高めた。それにより少ない素材使用量での製造も可能になったという。
HOTAMETの基本価格は1個4,800円。甲子化学工業は、今回の発表と同時にクラウドファンディングでの先行予約販売を開始した。同製品はバイク乗車時には使えないが、自転車乗車時や、防災用などに使用可能。重量は400グラムと軽い仕様だ。一般販売は2023年3月末頃を予定している。
猿払村では、23年春頃から漁業関係者による試験利用を予定。併せて、地域の防災用品として活用するほか、ふるさと納税返礼品などへの展開も見据えているという。(記事:三部朗・記事一覧を見る)
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