ラサ工:今期上方修正の理由と、社名の由来

2022年12月6日 16:28

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 ラサ工業(東証プライム)。喫緊の課題である半導体不足解消に重要な役割を担う企業の1社。半導体(中心の電子部品)のエッチング(表面加工)に不可欠な燐酸(りんさん)を手掛けている。1949年5月上場。公開企業となって73年目になる。

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 だが創業時の業は、現業とは全く異なる。主力は鉱山事業。社名の冠「ラサ」は1907年にラサ島(南海の無人島:沖大島)で、リン鉱石を採掘していたことに由来する。ちなみに現在、ラサ島の保有者はラサ工業。いまなお、そうした名残でラサ工業が保有権を有する(名ばかりだが?)鉱山は少なくない。

 現業は順調な歩みを示している。前3月期の「22.4%増収、34.4%経常増益、26.7%最終増益、25円増配70円配」に続き、「20.6%増収、1.1%経常増益、2.4%最終増益」上積み計画で立ち上がった。

 が、8月10日時点で、早々に中間期及び通期を上方修正。通期予想は「48.5%増収(526億円)、29.1%経常増益(46億円)、26.5%最終増益、26.1%最終増益(32億円)」。

 その理由としていの一番に「原材料価格の減価償却費増は見込まれるが、引き続き半導体向け高純度燐酸は内外ともに順調に推移すると予想しており・・・」としている。修正後に開示された第2四半期も「売上利益ともに予想を上回って通過」している。

 中間期実績で、セグメント別状況を覗くとこんな具合。

★化成品事業: 燐酸は先の通期修正の理由+価格転嫁。凝集剤関連事業は「電子部品のエッチング用途向けが好調継続」「コンデンサー向け原料が需要増&価格転嫁」。結果、前年同期比79.9%の増収/81.5%営業増益。

★機械事業: プラント向け破砕関連器機、下水道関連の掘進機とも軟調。15.4%減収、13.7%営業減益。

★電子材料事業: ガリウムやインジウム及び塗布材を中心に化合物半導体向けに好調に推移。赤燐(農薬や肥料の製造に止揚)は宮崎県の工場爆発の影響による減収で、総合的に2.6%減収も営業利益116.2%増を確保。

 ちなみに3月には台湾子会社で「半導体生産向け高純度燐酸、5割増し」体制が完工した。中軸事業の体制が整った。

 株式市場にあっては超古株企業。時価2000円トビ台の予想税引き後配当利回りは2.7%余り。予想PER5倍強、同PBR0.7倍強。「市場人気」に「?」を覚えなくはないが、好配当の魅力は評価されて然るべきかと思うが・・・(記事:千葉明・記事一覧を見る

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