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社会保険に加入しない「女性」のナゼ? 公的年金・医療にメリット無し
リクルートが「2022年10月社会保険適用拡大に関する調査」。もっと働きたい女性でも「社会保険に加入しないよう労働時間短縮」が約2割[写真拡大]
少子高齢化で21世紀に社会保障制度は持続不可能になると最初に指摘したのは1960年代の人口問題審議会の答申だ。現実は想定以上の少子化で社会保障を支える生産年齢人口は急減し、政府は困難な資金繰りをせまられている。社会保障負担を支える対象人口が急減する中で、社会保険への参加者を増加させる必要がある。
専業主婦がいる世帯がモデルケースであった時代は既に昔のことだ。賃金上昇が低水準の社会で、非正規として働く女性は激増している。こうした女性達にも社会保険に加入してもらえるような、抜本的な制度の改革も必要だ。2016年から既に従業員数500人超の企業で非正規への社会保険の適用拡大は実施されている。さらに、今年10月から従業員数100人超の企業でも非正規への社会保険適用の拡大がスタートした。しかし、リクルート・ジョブズリサーチセンターの調査によると、「もっと働きたい女性でも社会保険に加入しないよう労働時間を短縮」する者が約2割もいるという。
10月31日、リクルートの調査機関ジョブズリサーチセンターが8月下旬に20~59歳のアルバイト・パート女性1113名(有効回答)を対象に実施した「2022年10月社会保険適用拡大に関する調査」の結果を公表している。これによれば、「社会保険に加入しないように労働時間を短縮する」と回答した者の割合は24.6%、「実際はもっと働きたい」と答えた者だけでも18.5%と、約2割の者が社会保険加入を回避するために労働時間を減らしているようだ。社会保険に加入したくない理由については「手取りが減るから」と直近の収入を重視する回答が最も多くなっている。
勤務先に求める説明内容についてみると、「将来もらえる年金が増えること」や「医療保険が充実すること」は全体の2割前後で、加入メリットへは関心はあまり高くなく、むしろ社会保険への加入は保険料負担が増えて「損をする」と捉えている者も少なくないようだ。加入することで「将来もらえる年金が増える」ことを「知っている」と答えたのは55.7%、「医療保険が充実する」では43.9%となっており、知識や社会保険に対する信頼が十分でないという背景もあるとも言える。
現況では、知識不足や信頼度の低さから社会保険への加入より労働時間短縮を選択する者が2割以上存在する。女性は相対的に賃金が低く直近の手取りを重視すると言うことも理解できるが、社会保険加入はメリットのほうが大きいと思わせる信頼と説明が必要なようだ。(編集担当:久保田雄城)
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