ミズホメディーの一転「大幅増収増益」修正にも、株価が様子見状態の理由

2022年10月24日 15:47

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 ミズホメディー(東証スタンダード)。インフルエンザの抗体検査キット(かつては売上高の5割近くを占めていた)をはじめ、各種抗体キット(試薬)を手掛けている。

【こちらも】ウイルスと闘い、ウイルスに収益動向を左右される宿命のミズホメディーの足元

 2021年3月27日・8月26日・11月29日の3回、企業産業欄に投稿した。11月29日の見出しは、『ウイルスと闘い、ウイルスに収益動向を左右される宿命のミズホメディー』。

 改めてミズホメディーを書こうと思ったのは、その属性を文字通り改めて覚えたからである。公的医療保険が適用される、新型コロナウイルス対応の遺伝子検査キット「スマートジーンSARS-CoV-2」も手掛けている。

 2020年12月期はコロナ禍への対応策(マスク・手指消毒の徹底の習慣化や外出禁止令などの発出etc)の結果、インフルエンザの羅漢が激減した。その影響で「34.6%減収、62.5%営業減益、19円減配10円配」と大きく落ち込んだ。だが21年12月期は「212.4%増収、161%営業増益、145円増配155円配」。そして今12月期は急転し「48%減収、32.5%営業減益、53円減配102円配」と、再度の大幅減収減益で立ち上がった。

 しかし第2四半期「前年同期比15.1%増収、46.4%営業増益」開示と同時に8月10日、上方修正。「10.4%の増収(145億300万円)、27.4%の営業増益(85億3200万円)、35円増配155円配」とした。

 発信されたニュースリリースを手元に<問い合わせ先>と記されていた、ミズホミディーの総務部に電話取材した。こう噛み砕いて話をしてくれた。

★発表時点はオミクロン変異株の感染(第7波)が再拡大。スマートジーンSARS-CoV-2、及び各種抗原キットの需要は急増していた。この売り上げ増が中間期の利益を引き上げていた。

★だが「第7波は現在ピークに差し掛かっている。その後は収束に向かう」という予想を前提に積算した。

★結果「スマートジーンSARS-CoV-2」の下期の出荷数は上半期の約100万個に対し、約75万個を見込んだ。

★新型コロナウイルスの各種抗原キットは、インフルエンザ抗原同時検出キットを含め約260万個(上半期約120万個)を見込んでいる。

 新型コロナウイルス第7波の動向は限定的。が、抗原検査キットの需要は続こう、という見方だ。

 「この間、インフルエンザの発生が低下傾向にあった。抗体を有する羅漢者が減少している分、今年の冬は流行もありうるという指摘もある。インフルエンザワクチン接種が増加傾向と伝えられている。同時検出キットの増加分を含めて260万個というのは、その当たりも勘案した積算に基づくものか」と聞いた。「そう認識してもらってよい」という答えが返ってきた。

 やはり、ミズホミディーはウイルス動向に揺さぶられている。上方修正にも株価は先取りするかっこうで7月末に3320円をつけたがその後は、3000円を割り気迷い商状を見せている。(記事:千葉明・記事一覧を見る

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